第五章 ダンジョン
アルバは前夜、まったく寝付けなかった。
原因は魔法店長に付与された暗視ゴーグル魔法である。
夜なのに、昼。
まぶしい。
閉じても、まぶしい。
「……太陽、消えてくれないかな」
結果、羊を数える前に朝を迎えた。
◇
集合場所へ向かうアルバは、大きなあくびをかます。
「あぁ〜眠い……ふぁぁ……」
父モートンは心配のあまり、旅行にでも行くのかという量の食料を用意してくれていた。
(……これ全部、収納に入れてるの見てたよね?)
(何も言わなかったってことは……父さん、天然?)
集合場所には、すでに美少女二人・男二人のパーティーと――
ギルがいた。
アルバ
「……なんでいるのさ」
ギル
「お前の親分だからな。晴れ舞台を見に来た」
ギル
「昨日コインに聞いた」
なぜかギルは美少女二人と肩を組んでいる。
一方、男二人は無言でギルを睨んでいた。視線が痛い。
ギル
「それじゃあ皆、気を引き締めて――」
男二人&美少女二人
(引き締まらない原因、目の前にいるんだけどな)
◇
ランタンに火が灯される。
美少女の一人が手を挙げる。
「私、ミカ。魔法使いよ」
もう一人も続く。
「私はヨフィ、テイマー」
彼女はウサギに角が生えた魔物を抱いていた。
どう見ても可愛い。角が余計。
「彼らはゼフィとラグ。二人とも剣士よ」
「チーム名は“ギルティ”。よろしくね」
ギル
「オレはオールラウンダー」
一拍置いて。
「部下のアルバは……剣、槍、弓?」
アルバは黙ってうなずいた。
(雑な紹介だな)
ミカ
「私、照明魔法苦手なの」
その一言で、全員がランタンを取り出す。
文明の勝利。
◇
ギルはコインを数枚、指で弾いた。
ギル
「偵察よろしく」
コイン
「任せとけ」
ヒュン、と飛んでいく。
しばらくして戻ってくる。
コイン
「そんなに広くねぇな。三層で終わりだ」
「もうすぐ吸血コウモリエリアだぞ」
アルバにも普通に聞こえている。
コイン、もはや全体チャット。
◇
その直後。
バサバサバサッ!
吸血コウモリの群れが襲いかかる。
ゼフィとラグは――
片手で両手剣を振り回していた。
結果。
一匹も当たらない。
ミカ
「もっと正確に振らないと当たらないわよ!」
そのミカ自身も、
ランタンの光に映っては消えるコウモリに
ファイヤーボールを乱射。
十発撃って――
当たるか当たらないか。
ミカ
「……私も同じくらいだけど」
ヨフィは召喚獣を跳ばすが、
コウモリの高度に届かない。
ヨフィ
「きゃーっ!きゃーっ!」
結果、ギルにしがみつく。
ギル
「はいはい」
ヨフィを片腕で抱え、
もう片方で剣に炎を纏わせる。
ズバッ、ズバッ。
コウモリが次々と撃ち落とされる。
アルバは横目で見ながら、ぼそっと。
「……それ、オレがやりたかったやつ」
そう言いながらも、
アルバは冷静に剣撃でコウモリを落としていく。
◇
静寂。
コイン
「次、ボスだ。でかいの来るぞ」
暗闇の奥から、巨大な影。
アルバは即座に矢を放つ。
ギル
「さすがオレの部下!」
間髪入れずに叫ぶ。
ギル
「風魔法!」
轟風が巻き起こり――
次の瞬間、コウモリボスの首が噛み切られていた。
ヨフィ
「……あれ、もう終わり?」
アルバ
(初ダンジョン、思ってたのと違う)




