第四章 親心
アルバの父、モートンは腕を組み、
まるで床に落ちたゴミでも見るような目で言い放った。
モートン
「……何でも屋になろうとはな」
どうやら「冒険者」のことを言っているらしい。
アルバ
「いやさ、冒険者登録のビラ配ってた女の子が
あまりに可愛くて、登録しただけなんだ」
モートン
「理由が軽い!」
間髪入れず続ける。
「で、明日からその“何でも屋クラッシャー”に
働きに行くんだろう」
アルバ
「いやでもさ、今は働き方改革の時代だよ?
そんなに嫌な仕事はさせられないと思うんだ」
モートン
「そういう問題じゃない」
低い声で言い切る。
「クラウディア家に相応しくない仕事だと言っている」
アルバ
「えー? 仕事っていうかさ、
美少女にいいとこ見せに行くだけだよ?」
モートン
「なお悪い!」
アルバは気にせず続ける。
「それにさ、上の兄さんだって
まだ一度も働いたことないじゃないか」
モートン
「……それは」
アルバ
「本職は後で決めるって。
今は社会勉強、社会勉強」
モートンは深くため息をつき、視線を逸らした。
モートン
「親が、できるだけ危険のない仕事を
させようとしているのに……」
その呟きは小さく、
しかし確かに――親心がにじんでいた。
アルバ
「父さん?」
モートン
「……いや、何でもない」
だがその背中は、
息子が初めて家の外へ踏み出すことへの
不安を隠しきれていなかった。
アルバは気づかない。
「じゃ、行ってくるね!
美少女に好印象を残す旅に!」
モートン
「……せめて、生きて帰ってこい」
その言葉だけは、
やけに真剣だった。




