第三十八章 南下作戦
黃帝
「守備はどうだ」
部下
「母親は実力があり手出しが出来ない為、盗賊団に見せかけて息子をさらい、極東の島へ」
「息子の行き先を知る何人もの証人を立て母みずから極東の島に足を向かわせる作戦で」
「2人は極東の島で再開させる事に成功しました」
黃帝
「どう出るアルバ・クラウディア」
部下
「夜間に三箇所全部アリ兵駆除をしてくれました」
「我国は救われました」
黃帝
「今俺の動かせる兵はどのくらいある?」
部下
「四万でしょうか」
「二百で2人を迎えに行かせて」
「残りで南下しましょう」
黃帝
「この会話も聞かれてると思うか?」
部下
「2人を迎えに行かせた200人が漆黒の騎馬一万に襲われました」
黃帝
「一万の兵が国境を超えたのを気づかなかったのか?」
部下
「突然現れる突然消えたと」
黃帝
「転移」
「確かに今はなきカルディ元東帝国皇帝は転移が出来た」「出来たが運べて6人程度だったはず」
部下
「どうされますか?」
黃帝
「私が四万の兵を率いて南下をすれば
都を陥落させまさよって警告だろうか?」
「一万の兵を都に残し守備にあたらせ
三万対三万の対決に持ち込もう」
部下
「お二人のお迎えは?」
黃帝
「そうであったまず襲われないよう一万の兵で迎えにいこう」
部下
「極東のどの島に?」
黃帝
「極東には琉球以外に島があるのか?」
部下
「南部には琉球どころではない多くの島がありますし」
「もし琉球だとしても島の数がかなりあります。」
「又琉球の北にも島があり」
「迎えに向った200人を失ったいま探しようがありません」
黃帝
「2人を探し終えるまで南下作戦は凍結する」
黄帝は地図を睨みながら、低い声で問うた。
「守備の状況はどうなっている」
部下が一歩前に出る。
「母親――ラナ姫は戦闘能力が高く、正面からでは手出しができませんでした」
「そこで盗賊団を装い、息子をさらい極東の島へと送りました」
「さらに、息子の行き先を“知っている”証人を複数用意し、母みずから極東へ向かわせる策を取りました」
一拍置いて、部下は続ける。
「結果として、二人は極東の島で再会しております」
黄帝は薄く笑った。
「――どう出る、アルバ・クラウディア」
別の報告が続く。
「昨夜、三か所同時にアリ兵の駆除が行われました」
「夜襲でした。我国は救われました」
黄帝は舌打ちする。
「今、俺が動かせる兵は?」
「四万ほどです」
「二百を使って二人を迎えに行かせ、残りで南下を――」
「待て」
黄帝は目を細める。
「この会話、聞かれていると思うか?」
部下の表情が強張った。
「……迎えに出した二百名が、漆黒の騎馬一万に襲撃されました」
黄帝は立ち上がった。
「一万の兵が国境を越えたのに、気づかなかっただと?」
「突然現れ、突然消えたとの報告です」
「転移か……」
黄帝は呟く。
「かつての東帝国皇帝カルディは転移が使えた。だが、運べて六人が限度だったはずだ」
部下が問い返す。
「どうなさいますか?」
黄帝はしばし沈黙し、やがて決断する。
「私が四万を率いて南下すれば、都を落とされる危険がある。それは警告だろう」
「一万を都に残し、守備に回す」
「三万対三万――正面衝突に持ち込む」
「では、お二人のお迎えは?」
「ああ……そうだったな」
黄帝は眉を押さえる。
「襲われぬよう、一万の兵を付けて迎えに行かせよう」
「極東の、どの島へ?」
「極東に、琉球以外の島があるのか?」
部下は慎重に答える。
「南部には、琉球どころではないほど多くの島々があります」
「仮に琉球だとしても、島の数は膨大です」
「さらに琉球の北にも島が点在しており……二百を失った今、手がかりはありません」
黄帝は深く息を吐いた。
「……二人を見つけるまで、南下作戦は凍結する」
遭遇
黄帝――ラグナは、妹ラナ姫と刃を交えていた。
その背後には、ラナの息子アルカディアが立つ。
ラナが叫ぶ。
「なぜ、裏切ったのです!」
アルカディアが声を震わせながら言った。
「僕を襲った一族は……あなたの部下でした」
「なぜ裏切ったのです、兄上!」
黄帝は苦渋の表情を浮かべる。
「……こちらにも、事情があった」
「事情があれば、血族を売っても許されるのですか!」
黄帝は視線を逸らした。
「お前の言う通りだ。南下し、東帝国を取り戻そう」
ラナは迷いの色を浮かべる。
その瞬間――
アルカディアが巨大な岩を掴み、黄帝の頭上へと落とした。
「叔父上は、信用できません!」
黄帝は間一髪でかわした。
岩が砕け散る中、彼は寂しげに微笑む。
「……私は帰る」
そう言い残し、その場を去った。
都
黄帝は怒りを押し殺し、命じた。
「東帝国に使者を送れ。誤解があった――一度、会見を」
だが、部下は青ざめて報告する。
「使者は、宮殿前で突如現れた漆黒の兵に斬首されました」
「……これも」
差し出されたのは羊皮紙だった。
そこにはこう記されていた。
――義理を顧みぬ、愚か者よ。
黄帝は激昂し、頭を掻きむしる。
「アルバ……ッ!」
さらに追い打ちの報告が届く。
「帰国途中の一万の兵が、三万の漆黒の兵に包囲されました」
「敵の象兵も加わり……こちらは一兵も奪えず、一万が全滅しました」
数日後――
帝国に、ラナ姫とアルカディアの遺体が届けられた。
黄帝の書簡には、冷たい文字が並んでいた。
――最大の厄災をもたらした二人。




