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第三十一章 軍部掌握


ヒルダー国王が玉座で唸っていた。

「元老院の偏屈オヤジ共を手なづけただと……」 「これでは私が“無能な王”として歴史に名を刻まれてしまうではないか」

大臣は薄く笑う。

「ご安心を。我々が財布を握っております」 「いずれ“自分には国の運営など出来ない”と泣きついて来るでしょう」 「それに――軍部が反発しております」

その言葉に、ヒルダーはわずかに口角を上げた。

軍の修練場。

「誰だ! ここは立入禁止だ!」

軍曹の怒号が響く。

「まずは名乗らないとね」 アルバは肩をすくめた。 「今の立場は――姫の婚約者だ」

軍曹の顔色が変わる。

「……それは失礼いたしました。どのようなご用件で?」

アルバは懐から委任状を取り出す。

「国王に推挙されてね。軍の修練を見学しに来た」

「そ、それでしたら事前に――」

軍曹は慌ててラッパを鳴らした。

「全員、整列!」

ざわつく兵たち。

「どうしたんです軍曹」 「次期国王が修練を見たいそうだ」

兵Bがアルバを値踏みするように眺める。

「前国王は修練に参加されてましたが」 「今回は……無理そうですな」

「私がちょっと揉んであげますよ」

兵Cが前に出る。

「やめろ!」

軍曹が制止するも、練習用の剣がアルバへ放られた。

その瞬間――

アルバは収納からエクスカリバー(改)を取り出し、

まるでケーキを切るかのように、剣をサクリと斬り落とした。

真っ二つになった剣を見て、兵Bが呟く。

「……兵C、お前、対戦しなくて良かったな」

軍曹が咳払いする。

「闘いは数だ。三対一ならどんな剣豪でも――」

「いえ、兵士に言ってるだけで」 「貴方様を卑下している訳ではありません」

その言葉を合図に、兵D・E・Fが前に出た。

「軍曹、僕たち頑張ります」 「次期国王を倒しちゃってもいいんですよね?」

嘲る笑いが広がる。

「だから、やめろと言ってるだろ!」

日が傾き、松明の火がバチバチと音を立てた。

――次の瞬間。

矢が飛び、盾に命中。 盾は吹き飛び、兵Eが肩を押さえてうずくまる。

「肩が……外れた……」

「大げさなんだよ!」

兵Fの肩にコインが突き刺さる。

「誰か医者を――!」

三枚のコインが、四方から兵Fを襲う。

「♪誰が呼んだか誰が呼んだか、銭形平次♪」

「銭形平次って誰だよ」 「知らん」

「二人やられた! 増援を!」

兵C・Bが加わり、兵Dを先頭に突撃する。

「ヴァンパイアの呪」 「――俺、収納。俺、射出」

ボンッ

兵Dの横に転移したアルバは、そのまま剣の平で薙ぎ払う。

盾に剣がめり込み、兵Dは勢いのまま仲間を巻き込んだ。

「イケー!」

――三人、まとめて動けなくなった。

「だからやめろと言っただろうが……」

だが、もはや止まらない。

三十名の兵が一斉に殺気立つ。

コインが松明を叩き落とし、闇が落ちた。

「おい、火を持ってこい!」 「ぎゃあ!」 「火を取りに行った奴から倒されてます!」

軍曹が松明を灯して戻ると――

そこには三十名、全員が倒れていた。

翌日。

将軍がアルバに告げる。

「決闘を申し込む」

修練所には、剣を構えた千名の兵。

「インドラの呪」

アルバの身体から霊体が抜けるように現れる、

雷を纏った二・五メートルの戦士。

それは、ゆっくりと兵へ歩を進めた。

「触れただけで感電!」 「触れなくても……プラズマで!」 「将軍! 既に九割が動けません!」

「これはクーデターだ! 引けん!」 「残り二千を投入しろ!」

――矢が放たれ、将軍の兜を射貫いた。

「よっしゃー」

肩を射抜かれ、白旗が上がる。

シグレットが進み出る。

「これ以上はお止めください」 「兵は完全に戦意を失っています」

アルバは将軍を見下ろした。

「お前が将軍となり、軍の規律を正せるか」

「……喜んで、お引き受けします」

「首謀者は元王と大臣です。処遇は?」

「元王の側近は家族共々、領地没収、国外追放」 「将軍の一族も同様だ」

「財務大臣が金庫の鍵を渡しません」

「気にせず追い出せ」

金庫の前で、アルバは呟く。

「白霧のスペース」

扉だけが存在する灰色の世界。

アルバが消え、次の瞬間――

金庫の内側から現れた。

シグレットは、ただ目を見張るしかなかった。


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