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第二十九章 クラウディア王国

アルバが目を覚ますと、

エマ様が鬼の形相で仁王立ちしていた。

「……婚約は許しましたけど。

 まさか、もう……?」

アルバの隣には、見知らぬ女性が横たわっている。

「この子が……まさか……」

エマは、ゆっくりと――

コクリと頷いた。

「……っ!」

アルバは悲鳴も出せず、

ベッドから転げ落ち、そのまま壁際まで後退する。

その様子を見て、

エマが吹き出した。

「ハハハ! 騙された!」

隣の女の子も、慌てて両手を合わせる。

「ごめんごめん!」

コインがどこからともなく現れ、効果音付きで言った。

「ジャンジャジャン!

 びっくりカメラでしたー」

アルバ

「カメラってなんだよ!」

コイン

「知らん」

――そこで、アルバは目を覚ました。

「……夢かよ……」

心臓に悪すぎる。

その日のうちに、

アルカディアがアルバのもとを訪ねてきた。

「旅に出ようと思う」

コイン

「いきなりだな」

アルカディア

「俺に国の運営は無理だ」

コイン

「ぶっちゃけたな」

アルバは、かける言葉を完全に失っていた。

アルカディア

「そこは普通さ、

『友達がいないなら俺が支えるから、皇帝をやってくれ』

って言うところだろ?」

アルバ、棒読みで言う。

「……皇帝やってくれー」

アルカディア

「……仕方ない、やってやるか」

コイン

「アイツ何しに来たんだ?」

そこへギルが現れる。

ギル

「俺も旅に出ようと――」

アルバ

「皇帝やってくれー」※棒読み

ギル

「……わかればいい」

一方、王国。

王ヒルダーは、目の下に深いクマを作っていた。

「アルバ君……

 僕は寝ずに、色々考えたのだが……」

完全にノイローゼである。

「現役を引退して、山に籠ろうと思う」

周囲の大臣、家臣たちが一斉にざわめいた。

「ローマの道は全てに通じていたらしいが、

 王国の道は――

 君の国に完全に塞がれた」

アルバ

「大丈夫です。

 通行税は帝国の五分の三ほどに安くしておきますので」

(そこは無料にするとこだろ……)

と言いかけて、言葉を飲み込む。

ヒルダー

「我国の商人は君の領で税を払い、

 さらに帝国でも税を払わねばならない」

「王国の犯罪者が君の領を襲わなければ

 この金額は不要なのだが……」

「その件で元老院が騒いでいてな」

「国庫は空だというのに

『治水をしろ』『道を広げろ』と……」

完全に追い詰められていた。

「そこでだ。

 王国を君に売り渡す。

 私は隠居する」

「国が一つになれば、通行税もなくなる」

コイン

「この人、老後の資金が無かったんだな」

「ほらよ」

床に、金貨がザラザラと積み上がっていく。

国王、第一王妃、ユリアナ

「老後の資金が手に入ったわ」

ヒルダー

「王印と、この国の委任状だ」

全てを受け取った、その直後。

ヒルダーは思い出したように振り返る。

「言い忘れていた」

「元老院に気に入られなければ、

 国王にはなれないからな」

そう言い残し、

逃げるように去っていった。

アルバ

「……ちょっと待ってください」

コイン

「置き土産が爆弾すぎる」


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