第二十八章 最強対決
司会が声を張り上げた。
「それではこれより――デモンストレーションを開始いたします!」
会場がざわめく。
「今回、多大なる戦果を挙げられた
アルバ・クラウディア様と、
東帝国皇帝カルディ陛下による――模擬試合を開催いたします!」
コインが青ざめる。
「……まじかよ」
ラナ王女は腕を組み、にやりと笑った。
「アルバ君が“まだ未熟”だって思わせる試合なんだから、
負けないでよ?」
カルディは肩をすくめる。
「加減が難しいな」
「大丈夫でしょ。電気抵抗あるし」
――その瞬間。
ゴロゴロ……
遠くで雷鳴が鳴り始めた。
アルバは即座に察した。
「……これ、最初からヤバいやつだ」 「インドラ使わないと」
次の瞬間――
ズドドドドドッ!!
アルバの頭上に落雷が直撃する。
「大丈夫かしら……」
ラナが呟く。
カルディは目を細めた。
「……アレを、防ぐか」
雷光の中、
身長二・五メートルほどの、全身が放電する人影が立ち上がる。
その周囲にコウモリの群れが集まり――
次の瞬間、アルバの姿へと収束した。
「収納に飛び込む、セーフ!」
アルバは叫ぶ。
「インドラの呪とヴァンパイアの呪、両方使っちゃったよ!」
「アッチャー」
ラナが舌を鳴らす。
「一発で決めるつもりだったのに」
アルバは鉄弓を引き絞った。
「――いけぇぇっ!!」
放たれた一矢。
空中に展開された盾が受け止めるが――
そのまま三百メートル後方へ吹き飛ばされる。
カァン――!
「やるね」
カルディが笑う。
「しかし、これで決まりだ」 「君からもらった――この槍でな」
高圧収納から射出された槍が、
アルバの目前に出現する。
「危ねぇ! 収納に飛び込む!」
ギリギリで回避。
その隙に、インドラがカルディへ接近し、
雷の槍を突き立てようとする。
――そこへ。
「雷は雷で、闘いましょう」
ラナ王女、参戦。
八又に分かれたプラズマの先端には、鋭いナイフ。
「二人は卑怯ですよ!」
アルバは叫び、
ラナのナイフを収納で盗む。
「……っ!」
カルディは盾を構え、スキルで加速。
「跳ね上げる!」
「当たりませんよ」
アルバは収納を巧みに使い、
自分自身を後方へ射出。
速度を絶妙に調整し、追いつかせない。
「正面向いて後方にジャンプって、意味あんのか?」
コインが呆れる。
「この伝説の盾にさえ触れさせれば、
MPダウンに持ち込めるんだがな……」
カルディが呟く。
その時――
アルバが、見たことのない剣を構えた。
「……伝説殺しの剣を作ったか」
カルディは目を細める。
「剣が盾に当たれば、こちらの勝ちだ」
ガキン!
伝説の盾が、わずかに軋んだ。
「……君は、なぜ倒れない?」
「伝説には――伝説ですよ」
「……確かに似ている」 「エクスカリバーを改造したのか?」
「罰当たりな」
ラナが言う。
「これは――刃のある鞘です」
「……鞘の上に、もう一層鞘があるの?」
「ありますよ」 「鞘は伝説殺しで――中身は伝説です」
カルディが苦笑する。
「MPダウン、破られてるんだけど」
「降参です」
「何言ってる?」
その瞬間――
アルバの背中を、伝説殺しの槍がツンツンしていた。
インドラは消えている。
「勝ったー!!」
カルディは子供のようにはしゃいだ。
「色々破られて悔しいけど、勝ちは勝ちだ!」
「何、子供みたいにはしゃいでるの」
ラナが呆れる。
「目的が違うでしょ」
「分かってる分かってる」 「帝国皇帝も領土を与えたらしいが、俺もやろう」
コインが肩をすくめる。
「領主になっても、馬車馬のように働けってさ」
王国国王ビルダーが声を上げる。
「ちょっと待ってくれ!
王国を囲むように彼に領地を与えるのか?」
「それじゃ、我が国は
カルディ君の許可なしに外交できなくなるぞ!」
シグレットが即答した。
「東帝国側が――東クラウディア領」 「帝国側が――西クラウディア領」
「……王国の三倍の領土になりそうね」
ラナはカルディに向き直る。
「ところでアルバ君の使った呪」 「スケコマシになる呪よ」
「インドラは女たらし」 「ヴァンパイアは魅了」
「既成事実を作るチャンスね」
ジェシカが笑う。
「おぬしも悪よのー」
「でも、他の女に囲まれてるじゃない」
「大丈夫みたいよ」 「ギル様が対抗して魅了をかけてるわ」
「……じゃあ」 「ギル様が女を総取りしてる間に、近づきましょ」




