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第二十七章 勲章

受付

アルバが挨拶をする前に、シグレットが一歩前に出た。

シグレット

「ジェシカ姫とシスティナ姫の――」

ジェシカ、システィナ

「夫です」

受付は一瞬固まり、慌てて席表をめくり始める。

どこに配置すべきか、完全に判断に迷っている様子だ。

そこへ。

ギル

「アルバ、オマエも来たのか」

受付

「……第一継承者様と、お知り合いで?」

ギル

「竹馬の友だ」

受付

「そ、それではお席は……」

ギル

「当たり前だろ。近くがいい」


会場


「お前、なんでこんな上座に座ってるんだ。うちの席はあっちだぞ」

シグレット

「申し訳ありません。王国の品格上、お姫様方を下座に座らせる訳には参りません。ご了承下さい」

父は言葉を失い、そっと視線を逸らした。

ユリアナ

「まぁ……こんな上座なの? 私が娘だから、ここにしてくれたのかしら?」

皇帝

「ユリアナ、久しぶりだな」

ユリアナ

「お父さまのお隣に座れるなんて、思いませんでしたわ」

皇帝はゆっくりと会場を見渡し、ふと視線をアルバに向ける。

皇帝

「今回のアリ塚討伐、どうやら“影の立役者”がおるらしいな」

カルディ

「義父上様。ご無沙汰しております」

皇帝

「国家戦略級の“運び手”のことじゃ」

カルディ

「我国にいた運び手の四分の三を、帝国に引き渡しました」

皇帝

「その件は感謝しておる」

一拍置き、にやりと笑う。

皇帝

「……まさか、隠し玉がおったとはな」

カルディの表情が露骨に渋くなる。

皇帝

「お前のところには、まだ娘がおらんかったな」

ラナ王女

「……あ」

皇帝

「王国に取られるくらいなら、帝国に譲らんか?」

カルディ

「アルバには、王国の横に王国規模の自治領を持たせる予定でして」

皇帝

「その程度なら、帝国にも出来る」

「名は――アルバ、だったな」

ラナ王女

「貴方、また余計なこと言って墓穴を掘って……」

カルディは何も言い返せず、静かにその場を離れた。

式は滞りなく進み、やがて終盤。

司会

「我国国家戦略級運び手が全滅する中、ただ一人――最後まで補給線を維持し続けた者がおります」

会場がざわつく。

司会

「アルバ・クラウディア殿に、勲章を授与いたします」

皇帝

「君は、帝国の恩人だ」

一歩近づき、声を落とす。

皇帝

「エマの二番目の娘、サーナ姫だどうだ?」

「王国の横に、王国より大きい領土を約束しよう」

ユリアナのこめかみが、ぴくりと跳ねた。

勲章をアルバの胸に留めたのは、兵Aだった。

どこからともなく拍手が起こり、やがて会場全体を包み込む。

皇帝は、近くにいる者にしか聞こえない声で囁いた。

皇帝

「……アリを退治してくれて、ありがとう」

アルバ

「もったいないお言葉です。」

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