第二十五章 チート武器
アルバは採掘と商売の都合上、普通では考えられない種類の金属を日常的に手に入れていた。
アルバ
「……槍を新調しようと思うんだ」
コイン
「こないだエクスカリバー拾ってきてから、急に武器オタクになったな?」
アルバ
「前から考えてはいたんだよ」
「金属って、合金にすると固くなるよな?」
コイン
「なるなる。それで?」
アルバは何の前触れもなく、床にゴロゴロと金属塊を転がした。
「ミスリル、オリハルコン、アダマント、ヒヒイロカネ」
コイン
「……で、これをオレが食って槍にしろって?」
アルバ
「出来ないかな?」
コイン
「オレの口が裂けるわ!!」
アルバ
「……無理か」
コイン
「母さんなら出来るかもな」
その瞬間、コインと鉱石がまとめて消えた。
――頭の中に、聞き慣れた声が響く。
宝箱ママ
『骨が折れたよ』
次の瞬間、コインと共に一本の槍が現れた。
コイン
「よくこんな発想が出てくるな……」
「伝説級の武器すら破壊できる、“伝説殺し”の槍だ」
アルバは目をキラキラさせている。
コイン
「あそこと、ここな。四箇所にコインがはめ込まれてるだろ?」
「お前の意志で自由に飛び回る、追尾型だ」
アルバ
「オーディンの槍並みに魔改造してんじゃん」
コイン
「良くなる分にはいいだろ」
「――ここから伝説が始まる、なんちって」
◇
前線。
兵A
「やっぱ兄ちゃん、こっちに戻されたか」
「この前のおっちゃん、同じ国家戦略級でもあっさり潰されちまってよ」
兵Aは頭を掻く。
「戦線が一キロ後退したせいで、横に広がっちまって大変なんだ」
「兄ちゃん、なんとかしてくれよ」
アルバ
「僕は運び屋であって――」
コイン
「あーあー、言ってるだろ。助けてやれ」
アルバが姿を消してから、約一時間後。
ズズンズズズズン
ズズンズズズズン
振動7の地震が発生した。
昼間だというのに、アリ兵たちは一斉に後退を始める。
兵A
「……あの兄ちゃん、何かやったな」
前線は、再び穴の直前まで押し戻された。
そこには――
直径30メートルの巨大な穴。
底では黒水(石油)が噴き出し、アリ兵たちが溺れている。
周囲には、散り散りになった羽アリの羽根が舞い、
太陽光を反射してキラキラと輝いていた。
――まるで、勝利を祝うかのように。




