第十五章 祖父の死
コイン
「お前のじいさん、死んだみたいだぞ」
アルバ
「そんな訳あるか。家族誰も知らないんだぞ」
コイン
「甘いな。コイン情報網=即死判定だから」
ヘルメス教の男
「突然ですがご報告です。
クラウディア家頭首――つまりお爺さまが亡くなりました」
コイン
「ほらな、やっぱり急すぎ――」
ヘルメス教の男
「それとですね。我々が欲しい“情報”がありまして」
アルバ
「早い早い、まだ気持ちの整理が追いついてない」
ヘルメス教の男
「看取ったのはメイド二名。
“妻のように尽くしたのに何も貰えないのは酷い”と、
家に鍵をかけて実家に帰ってしまいまして」
コイン
「妻のようにって言ったな?
情報量が一気に増えたぞ」
カルディ皇帝
「私の父は厳しい人だった。君にも厳しかっただろう」
アルバ
「厳しいを通り越して、会話が常に最終面接でした」
カルディ皇帝
「背中の“紋”は世間に知られてはいけない」
「私も近くまでは行ったが、家に入れなかった」
コイン
「皇帝が扉蹴破ったら、それはもう国家テロだな」
カルディ皇帝
「……それはさすがに」
コイン
「ちなみに金目の物は、メイドが根こそぎ持ってったらしい」
父
「大変な事になった。
俺の父が死んだだけでも地獄なのに、
兄弟間で国家戦略級運びて職の取り合いが始まってる」
アルバ
「遺産よりポジション争いがエグい」
父
「背中の紋が手に入れば、
子々孫々まで仕事を独占できる」
コイン
「言い切ったな。欲望を」
父
「お前、あのメイドの恩人なんだろ?
説得してきてくれ」
アルバ
「……つまり俺に全部押し付けると」
アルバ
「皇帝はここまで来てたのか?」
祖父の家の隣の家の裏に転移。
外は真っ暗、門には帝国兵。
アルバ(夜目が効く)
「白霧のスペース」
――不法侵入。
アルバ
「よし、片っ端から収納してトンズラ――」
コイン
「待て。メイドの部屋が怪しい」
アルバ
「急に探偵になるな」
コイン
「マットレスをめくれ」
小瓶と日記が出てくる。
コイン
「ヒ素だな」
アルバ
「急に物語がミステリーに舵切ったぞ」
全部収納。
翌日。
アルバは街外れの格安土地を購入。
テント張って就寝。
アルバ
「プタハの祝福」
翌朝――
一夜にしてアラジンの城みたいな屋敷が完成。
アルバ
「……お、出来てるな」
完全に祖父と同じ間取り。
コイン
「丁寧にな。壊すなよ、」
収納していた物を同じ位置に戻す。
アルバ
「さて」
メイドの日記を開く。
――心が壊れていく記録。
――少量の毒。
――毎日、毎日。
アルバ
「……少しずつヒ素を盛られてたのか」
父
「兄が憲兵を連れてメイド二人を捕まえた」
「金も鍵も奪い返したが、完全に出遅れた」
メイド
「ヘルメス教と名乗る男がお坊ちゃまを」
コイン
「秘密結社なのに名乗るんじゃねぇ」
ヘルメス教の男
「例の書類は?」
アルバ
「とある場所に隠してある」
男
「では写します」
アルバ邸前。
ヘルメス教の男
「間取りまで完璧ですな。何度も入った気がする」
アルバ
「それ言わなくていい」
写して帰る男。
父
「兄が踏み込んだ時には、もぬけの殻だったらしい」
「帝国は否定したが、帝国に摂取されたんだろうと」
牢屋。
アルバ
「元気?」
ボロボロのメイド二人。
アリサ
「何もしてないのに連れて来られたの」
リサ
「埋葬までしてあげたのに」
アルバ
「でも僕は見捨てたよね?
爺さんと“いい仲”だったから」
二人、顔を見合わせる。
アリサ
「そういう仲じゃない!」
アルバ、日記をヒラヒラ。
アルバ
「でも毒殺はダメだな、毒殺がバレナイように自分で埋めたんだろ。」
小瓶ヒラヒラ。
リサ
「村長に騙されたの!
ヒ素も村長から!」
アルバ
「弁明はもういいよ」
「尾ひれ背びれつけて、さっき憲兵に伝えといた」
二人
「えっ」
アルバ
「罪を軽くしたければ、村長を売ることだね」
父
「メイドが自白した。首謀者は村長だと」
「言わなきゃ誰も気づかなかったのにな」
アルバは憲兵にメイドをうってなかった




