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第十四章 公邸執務室

アルバ

「今、帰りました」

カルディ皇帝

「遅かったな。君なら三日程度で帰ってくると思ったんだが」

アルバ

「象と船で移動してるんですよ?

早くても一ヶ月はかかりますって」

カルディ

「君、転移できないのか?」

アルバ

「ちょっと待ってください

その“転移”って名前、チート臭すぎません?」

カルディ

「コイン、教えてやれ」

コイン

「まずな、アルバ。お前が自分の収納に入る」

アルバ

「いやいやいや!

そんなことしたら出る時、何があるか分からないだろ!」

コイン

「そこはオレ達と視界共有できるだろ?」

アルバ

「……言われてみれば、できそうな気がしてきましたけど

それ転移と関係あります?」

コイン

「どこのコインの視界と共有するか選んで

そこに“出現”すればいいだろ?」

アルバ

「それもう世界の裏技じゃないですか!」

カルディ

「次からは三日で行ってきてくれ」

アルバ

「軽く言わないでください!」

コイン

「お前にできんのかよ」

カルディ

「僕にはできない。だが彼なら可能だろう

――商人SSSならな」

アルバ

「父さんも転移できるんですか?」

カルディ

「転移が使えるのは君と僕くらいだろうな

彼らは収納スペースの広さだけで満足する人達だから」

その声には、説明不能な恨みがこもっていた。

アルバが憲兵場の前を通りかかると、

この国最強と名高い憲兵曹長が、にやりと笑って声をかけてきた。

憲兵曹長

「これはこれは、近頃皇帝に可愛がられている

国家戦略級ホープ様じゃないですか」

アルバ

「どのようなご用で?」

憲兵曹長

「お前が警護を断ったせいでな、

この二人、警護職に就く予定だったのがお払い箱だ」

アルバ

「警護の話、初耳なんですが?」

憲兵曹長

「こいつら、結婚も決まってたんだぞ」

アルバ

「それと僕、何の関係が……」

憲兵曹長

「ご破算になってもいいのか?」

コイン

「話聞かない系だなコイツ」

憲兵曹長

「足の一本でも折れれば、警護の必要性が分かるだろうよ

悪いが相手してもらう」

完全に意思確認はスキップされた。

憲兵曹長

「部下A、行け」

部下Aはすらりとソードを抜き、近づいてくる。

アルバ

「こっちから攻撃してもいいんですよね?」

憲兵曹長

「もちろんだ」

アルバは弓を構えた。

憲兵曹長

「それはダメだ!死ぬ!」

アルバは槍に切り替え、

部下Aの剣を巻き上げて喉元に突きつける。

憲兵曹長

「こういう時はソードで戦ってあげるのが男だろ!」

コイン

「武器指定まで始めたぞ

槍持ちに襲われたらどうすんだよ」

アルバは仕方なくソードを構え、

部下Aの剣を叩き落とした。

憲兵曹長

「部下Aで駄目なら、部下Bも無理だな」

憲兵曹長は自らソードを抜き、アルバに斬りかかる。

コイン

「警護する側が襲撃犯になってどうする!」

アルバは収納に入る。

次の瞬間――

憲兵曹長の斜め後ろから射出されるように飛び出した。

アルバ

「いけー!」

剣の“平”で叩いたはずが、

鎧にめり込み、曹長は変な形で地面に叩きつけられ、

バウンドした。

部下が慌てて副曹長を呼んでくる。

副曹長

「……曹長が大怪我をされた」

一拍置いて。

副曹長

「人手不足だ。

曹長の仕事を二人で補えるかは分からないが……

お前達に頼む」

二人の部下は、正式採用された。


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