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第1章1-6 リリアーナとスノウ

リリアーナはシャワーのお湯を浴びながら、緩みすぎてる自分に恥ずかしくなってくる、と顔にパシャっと手ですくったお湯をかけた。

ただ封印の魔法が結構な魔力を使うため、疲れがどっときてしまう。

いつもクローネに寄りかかって休むことも多い。

今日は、スノウもいたので戦うのがリリアーナだけでなかったため、いつもより魔力は消費せずにいれたので、少し余裕が生まれていた原因もある。


シャワーから上がると、スノウはソファに座ってお酒を飲んでいた。リリアーナは、初めてこの部屋に入ってきたのと同じようにベッドへと腰掛けた。

そして狭い部屋なので自然とスノウと視線が重なった。


「さっぱりしたか?」

「はい。」

「なら、もう寝たらいいよ。魔法も使って、疲れてたんだろ?近くでクローネが目を光らせているのか、視線がっつり感じるし、気にせず寝るといいよ。」

「あの。」

「ん?」


リリアーナは、言葉を躊躇った。

スノウはここに雇われた傭兵だとは思う。

この村のことは、一旦は解決したものの、この後の予定もあるかもしれない。

聞きたい言葉を聞けないでいる。


「…俺は行くよ。」

「え?」

「そういう事じゃなくて?付いてきてほしいって事じゃなくて?諸々は道すがら聞くけど、一緒に行くよ。」

「本当…ですか!?」


リリアーナはがばっと立ち上がって、スノウに近寄り右手を取った。


「ありがとうございます!!」

「お、おう。」


スノウは戸惑いながら、にへらと笑うと、リリアーナもにこっと笑顔を返した。


「まぁ、ただな。俺にも目的はあって、人探しをしてるんだ。さっきみたいに黒もやを封印するために色々各所を巡るんだろ?俺も色々な所を回るのに、リリアーナのやりたい事と、一緒に出来るからという理由はある。だから正義感から、ではない。それは言っておく。」

「それでも、心強いです。その、人探しというのはどの様な?国に伝えて探すことも可能ですよ。」


探知の魔法というのも存在しているから、きっとリリアーナの国でも同じようにいて、意見をくれているんだろう。


「……探知の魔法では、見つからなかった。」

「そう、なんですか…。」


きっと魔法大国でも見つけることは出来ないだろう。

魔法に引っかからない、そんな人物。

スノウが見つけたい人物は、長い時間見た目すら変わらない不思議な人だった。


――

……様


「エヴァン?」

「こんな所で休んでおりますと、また父君と母君に叱られますよ。」

「いいよ、もう。父様も母様の小言も聞き飽きた!」


水色の透き通るような髪の少年が、休んでいた木の木陰から出て伸びをした。

白い髭をさすりながら、エヴァンは目を細めて少年を見た。


「お二人共、…様に期待しているのですよ。」

「俺は、…じゃなくて、…のために強くなりたいだけだから。だから、エヴァン!剣の修行手伝ってよ!」

「勿論ですよ。」


噴水の水が光り輝いて、少年の顔を照らし、屈託のない笑顔が更に眩しいと、エヴァンは彼を見つめた。


――


朝日の光りが顔に当たり眩しくて目を覚まし、ソファに目をやると、身長が高いスノウは器用にソファの長さに合わせて、寝ていた。

寝顔は幼くて可愛く、水色の綺麗な髪が朝日に当たってキラキラと輝く。

髪色が透き通っている、それは純度の高い魔力を持っている証拠でもある。

スノウの顔立ちは整っていて、女性から人気がありそうと思った。人探しは、恋人かしら?なんて思案しながら、昨日話を聞いていた。

好奇心で恋人ですか?と聞きたい気持ちもあったが、探し人がどのようにいなくなって、どういう理由で探しているかも分からないなか、好奇心で聞くのは失礼になってしまうので、いつかスノウから話して貰えるまでと思い、止めておいた。


リリアーナはベッドから降りると、洗面台で顔を洗って、鏡を見た。

黄金の色が瞳を輝かせる。

アルカナディアの王族の証のひとつでもある黄金の瞳。

父も母も、兄も、同じ瞳を持っている。

宝石のように輝く瞳は宝石の瞳と呼ばれることもある。

この瞳、髪、そして魔力を次の世代に継がせるために、アルカナディアは血縁婚だ。

リリアーナは兄がいる。

産まれたその時から、兄と結婚することが運命(さだめ)であった。

赤ん坊の瞳が黄金に輝いていれば、決まっていた運命。

他の国からすれば、血縁での婚姻など、軽蔑な目でみられることもあることは、知っている。

でもそれが魔法大国として名を馳せることになったアルカナディアという国のやり方だ。

王の娘として産まれたからには、ただ従うのみ。

自分の責務は分かっているものの、メイドや城のものから聞く話では、街の中の話をリリアーナにとっては魅力的な話だった。

色んなお店には、他国の珍しい物が売っていたり、美味しい屋台、芸を披露するもの等があるみたい。

城から出して貰えないリリアーナには憧れをただもつしかなかったのだ。

毎日毒味のため冷めた料理であるものの、満足するまで食べることは出来る食事に、教育、趣味を嗜むこともできる。そして婚約者までいる生活。

恵まれてはいるのだろうけど、望むものはこれではない。

この瞳が、濁ってしまえばいいのに、と思ったことがあるのは1度や2度ではなかった。

何度何度も願ったから、私の元に『クローネ』がやってきたのかなと思った。

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