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第1章1-3 王の鍵と錠

爆発のした先に急いで足を走らせるリリアーナとクローネの目に飛び込んできたのは、思ったよりも酷い現状だったた。


そこには、進化を遂げていた黒い魔物が立っており、周りには恐らく既に息絶えて居るものと、息があるものの血を流している者が多く、血溜まりが出来ていた。


その者たちを庇うようにスノウがを剣を奮っていた。

その剣捌きは、素早く力強く黒い魔物は怯むほどで、少しリリアーナは見入ってしまっていた。


『リリアーナ!』

「うん!」


リリアーナはクローネに名前を呼ばれたの同時に、黒い魔物の隙をついてスノウの戦っている側に滑り込んだ。


「リリアーナ!?なんで君がここに!?」


スノウは驚いてリリアーナを見るも、リリアーナのことを気にかけるほど余裕がなく、魔物に集中するしかなかった。

そもそも、こんな大きな黒い魔物は見た事がなく、攻撃を受ける剣が恐ろしく重かった。

なんとなく足を進めていくうちに、嫌な気配を感じて来てみれば、黒ずんでいる場所の前にこの大きな黒い魔物が人を襲っていて惨状が広がっていたから何も考えずに魔物に立ってみたものの、あまりいい状況とは言えなかった。

そしてこの魔物はどうも黒ずんでいる靄がある場所と繋がっている節があり、そこから力を得ているようで、切った場所はすぐに塞がりダメージを与えられずにいた。


『おい。小僧。今から示す場所に攻撃を当てろ。』

「は?」


頭に響く謎の声の先がどこか分からなかったが、魔物を見るとある1点が光り輝いていた。

声の先がいう、その場所なのだろうか。

魔物の攻撃を剣で受け流しながら、隙を見極めつつ、その光る場所に剣を突き刺すと、ギャっ!と魔物が声をあげ怯んだ。


「効いたか!?」


と思ったと同時に魔物から黒い複数の魔法の塊のようなものが勢いよく飛んできた。

スノウの後ろには、リリアーナ他、傷ついて倒れてるもの達が多くいる。自分だけ避けるなら剣だけでどうにかなるものの、このままでは周りにも被害が出てしまう。


「魔法はあまり得意じゃないんだけどな。」


そうスノウは口から零し、剣を持っていない左手を前にだすと、ひんやりとした空気が流れ込み青く光り輝いた。


「蒼き氷槍よ、闇を貫け――フロストランス!」


光り輝いた先から無数の氷の槍が、黒い塊に向かって飛んでいき突き刺さった塊が凍りつき細かく砕け散って、水となって拡散して消えていった。


「凄く綺麗…。」


リリアーナがスノウの後ろに立っていて、そう呟いた。


「リリアーナ!危ないから後ろにっ――」


と振り返って、周囲を見ると、血溜まりのなかいつ息絶えてもおかしくなかった者たちが、どう見ても傷1つない綺麗な状態になっていて、安定した呼吸の動きでただ意識を失って横たわっている状況になっている。


「あの裂け目と、魔物の繋がりを切れば恐らく倒せるはず。スノウさん、少し魔物の動きを逸らしてくれますか?」


何を急に?と思ったが、この不思議な状況、説明を聞かなくともリリアーナなのだろう。

色々突っ込みたい所は満載なものの、あまり考えてる時間は無さそうだったので、ああ、と一言伝えて、剣に魔法をかけて氷の魔剣を創り出し、再び魔物に剣を向ければ、先程の魔法を見ていた魔物はすぐにスノウに反応して、手にあたるとこだろうか、黒い影から鋭い爪が伸びてきて剣で受け止める。


その隙にリリアーナは移動をして、裂け目に王の鍵を向けかちりと宙で回す。


「聖なる環よ、闇を隔てその地を閉ざせ――サンクティ・リング!」


裂け目の周りに光の円が現れ、裂け目が円のなかに封じ込まれた。その結果、ぷつりと魔物と裂け目との繋がりが絶たれ、魔物の動きが一瞬ぴたりと止まったのをスノウは見逃さなかった。

魔物の光り輝いてる場所目掛けて走り出し、剣を振りかざす。剣を突き刺すと、突き刺した先から魔物が凍っていき、悲鳴のような叫びが鉱山中に響き渡った。

しかし、それでもまだ致命傷とは言い難い。


「スノウさん、左手を。」


リリアーナは、スノウに駆け寄り、左手をきゅっと手に取ると、なっ、とスノウは声を漏らして手を引っ込めようとしたが止められた。

リリアーナの手は白く小さく、なんだかこそばゆい気持ちになったから、思わず逃げようとしたのだが。


「あなたは、錠を持ってますよね。」


そう言って、リリアーナはスノウを見上げた。

スノウは2つの意味でドキリとした。


1つは、錠について。

そしてもう1つは、フードから少し覗かせたリリアーナの瞳だ。

確かに見えた。黄金がかったピンクの瞳が。

光り輝くブロンドの髪と黄金の光の瞳といえば、この村のすぐ近く大国アルカナディアの王族のもつ特色そのものだったから。

まさかなと思いつつ、じっとリリアーナを見下ろした。


「さっきのはやっぱり、鍵なわけ?それで俺が錠だと気づいた、というわけだ。」

「そうです。見てください。鍵に色が。」


白かった鍵が綺麗な水色を帯びて光り輝いていた。


「力を解放します。」


リリアーナがそう言うと、スノウの左手の手のひらにあった模様の先に鍵を差し込んだ。

差し込んだと言っても、痛みなどなくむしろほんのり暖かい優しい光が手そのものを包み込むような、そんな暖かさが手に広がっていく。

それと同時に力が湧き上がって来るのも感じた。

手のひらを見ると模様が青白い光を帯びていた。

この模様は…そういうことだったのかと。

恐らく1年前位だったと思う。この模様が手のひらに現れたのは。まさか病気なのか、と思って医者にかかってみたものの、そういうものではないようだと、診断されて今日に至る。


今度は間違いなく倒せる、それくらいの力を感じると、

左手をギュッと握った。

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