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第1章 1-1 スノウ

光と魔法のある世界

ノクティルクス


この世界は大まかに6つの国に分かれている。

そのうちの1つは昔に王の鍵に選ばれし者が治めていたものの今は滅びていて、災いの地となり地図上でも国の名前すら消されている。

なので今は、5つの国がこの世界を治めている。


昔は手を取りあっていた国同士も今は模範のように、国同士のお争いは日常茶飯事となっている。

そこに最近は黒い魔物が現れるようになり、各国兵達は疲労を重ねている状況にある。


その為、兵達と違い国に属してない傭兵達に依頼が殺到して傭兵不足とも言われている。

貴族達が傭兵を多く使うようになり、平民達が依頼をしても、金銭の差からなかなか受けて貰えず、例えば小さな村から大きな街へ商品を納めていた場合、道中に傭兵を雇えないことで魔物を襲われ、命を落とす者も少なくなく、作物の流通が滞っていたりと人々の生活に徐々に支障が出ている。


小さな村は、国に援助を求めるも掛け合ってもらえないのが現状だ。


そんな状況を憂いで、一部の傭兵達はお金を気にせず、困っている先を助けるヒーローのような存在もいるものの、圧倒的に数が少ない。

それでも、どうにかしたいと、助けたいと日々奮闘している傭兵がいる。

 

――


――カランコロン


グラスに入った

氷が綺麗な音をたてる。

中にはウィスキーが残り僅か。

それを水色の瞳で、しばし考えて眺める。


「これ以上は、難しいか。」


そう男性はポツリと零し、くいっと残りのウィスキーを流し込みグラスを酒屋のカウンターに置くと、また氷がカランと音を立てて跳ねた。

 

男は銀貨をカウンターに置き、腰に剣を納めると酒場を後にした。


ここは小さき村。

近頃村付近で魔物が多いと聞き、数日間滞在して魔物の討伐に当たっていた。


元々金目当てで傭兵をやっている訳でなく、食と住のために傭兵が合っていただけというのもあり、近頃の傭兵不足のために助けが必要そうな村を巡っていた。

元より、人探しで各地を回っていたから、行ったことのない場所ならどんなに小さな村でも、気にせずに依頼を受けていた。


ここもそんな村の1つで、探し人は見つからないものの、お酒の美味しい村だったので、満足しながら依頼にあたっていた。


男の腕からしたら魔物は強くないものの、剣を持たぬ者が倒せるほど弱くはなく、魔物が増えている原因を突き止めなければ、この村は全滅がすぐそこの状態にある。

なんとなく原因の先は、村の資金源になっている宝石が少しばかり取れる鉱山に目星をつけてはいるものの、依頼が無ければ無闇に入る訳にも行かず、だからとこのまま長く滞在している訳にもいかないので明日相談してみるかと、宿に戻り、扉を開くと白いローブの、恐らく後姿から女性だろうか、宿屋の主人と掛け合っているようだ。


「お嬢さん、悪いね。ここは見ての通り小さい村でここも狭くてね。今日はちょうど埋まっているんだ。」

「では、そこのソファーでも構いません。泊めていただけませんか?」

「でも、女性をそこにねぇ…。」


元々この宿は2部屋しかなかった。

ここの村目当てで来る者はそういないだろうし、ここの主人も旅人や傭兵のために宿として解放してるものの、主人の本業は農業だ。

昨日たまたま旅人が流れ着いて、2部屋埋まっている。

この女性も旅人だろうか。


「君、嫌じゃなければ俺と同室でいいなら場所貸してあげるけど。」

「本当ですか!?」


困っているようだから声を掛けてみたものの、下心はないといえど、年頃だと思われる女性が、19歳の俺の案に簡単に食いついてきて、それはそれでちょっと戸惑うものはある。

が、声を掛けて嘘でした、は無いなと思い、女性を部屋に招いた。

傍から見たら、こいつ絶対下心あるだろと思われてるに違いない。

現に宿屋の主人がニヤついていたのが気にかかる。


「見ての通り、小さい村だから部屋も狭い。君はベッド使ってくれて構わないから。流石に女性をソファに寝かせる訳にもいかないんでね。」


そう言って、特に俺は警戒もせず剣を納めていたホルダーをテーブルに置き、羽織っていたマントを壁に掛けたら、残していたお酒をグラスに注いで、もう一杯と思ってソファに腰掛けた。


女性はちょこん、と部屋の入口に立っている。


「ん?」

「あ、いえ。その。流石に申し訳ないので、私がソファに失礼します。なので待ってますね。」


ちょっと慌てた様子を見る限りようやく今の状況を理解したのだろうか。

でも恐らく彼女も腕はたつのだろう。


この村付近は傭兵に依頼するほどの魔物が周辺にいるこの状況下のなかで、女性が1人この村に来るのだから。

何の目的かまでは分からないが、1人でも戦える程の力が無ければここには来なかっただろう。

だから、例えこの部屋で男と2人っきりになったとこで、抵抗する力がある。

その上で、相部屋にすんなり答えたんだろうとは思う。

まぁ、そうだとしても俺に勝てる力があるかは別だろうけど。

見た感じ、剣は携えていないから魔法を使う者なんだろう。この世界で魔法は珍しくはないが、扱えるものは少ない。そのため大体、国がお抱えになってるのがほとんどで、傭兵や旅人のなかで使うものは少ない。

なんせ国に仕えたほうが、金がいいからね。


「君も飲む?」

「いいえ、大丈夫です。」


酒を、勧めるのは流石に怪しいか。


「まぁ、なに。気にしながら夜過ごすのもあれだし、ベッドをソファにしていいし、気楽にして。」


グイッと酒を喉に流す。

ここで仕入れた酒で、美味い。

今度酒目当てで来てもいいかもと思ってしまう。


女性も流石に、突っ立ているのも気にしたのか、足取りは軽くないもののベッドに腰掛けた。

ギシッと軽くベッドの軋む音が男女の中で流れるは、やや気にはしてしまうが。


「あの。名前も名乗らず、失礼してます。私リリアーナと申します。」


そうぺこっと頭を下げるものの、頭をすっぽり隠れるほどに被ってる白いローブをきゅっと掴んでいるので、顔もよく分からない。

何か顔に傷を負ってるとか、気になるものでもあるのだろうか。女性なので、そこは軽く聞いちゃいけない気がしたので、敢えて言及しなかった。


「俺はスノウ。ここには、魔物討伐の依頼で滞在してて…、リリアーナは旅人、かな?」

「そうです。ただここには、目的があってー」


その時、けたましく部屋の扉を叩く音が部屋全体に響いた。


ドンドンドンっ!!!


スノウはため息をついて、急いで部屋の扉を開いた。


「なんだ?」

「スノウさん!!助けてくれ!!鉱山に行ってる者が戻らないんだ!!」

「なんだって!?急いで向かう。案内してくれ。」


やはり鉱山か。

そうすぐ思った。

恐らく、魔物が溢れたんだろう。

宝石には、魔力が含むものも多く、魔物が特に好む。

特に黒い魔物は魔力を持つものが多く、狙われたんだろう。もし、黒い魔物が多い場合はそう長くはもたないだろう。


「スノウさん!私!」

「君はここ好きに使ってくれていいから。」


俺はそう言い残し、案内の元鉱山へと向かった。

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