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赤狼学院物語  作者: 宅間晋作
学院初等部篇 一年生から三年生編
15/22

妖精と竜人を怒らせてはいけない

 それからレルガは三日間色々と試した。

 初日は普通に女神の金貨を食べたが純粋に魔力が増え、肉体が軽くなるだけであった。

 次の日は迷いの時間後にラファンが涙を流しながらレルガをボコボコにレルガの意識を飛ばしてから女神の金貨を食べたが、ボロボロになった体が修復するだけだった。


「……と言うわけで最終的に、ロナと鬼丸を呼んだので模擬試合をしましょう」


「よし! 狼君! 君をボコるで!」


「よろしくお願いします! レルガさん!」


「……今までの研究の意味あったのか?」


「まぁまぁレルガ! これもレルガの研究の為だから!」


 そうジト目でレルガはフィシアを睨んだ。

 そんなレルガの態度をラファンが嗜めた。


「……と、言うわけでクヤルの街の闘技場に来ました! それとレルガが暴走してもいいように異空間を発生させる魔石もあるから」


 するとフィリシアがウインクを決めてレルガに説明をする。


「さぁ! 迷いの時間も終わったし! レルガ! 命の危険に晒されて!」


「言葉がひどい!」


「えー? 戦闘が終わったらご・ほ・う・びがあるわよ?」


「そ、そうだよ! レルガ!」


「変な声で誘惑するな!」


 何故かセクシーポーズを決めてフィシアガドヤ顔を決め、ラファンが赤面しながら決めた。


「……狼君。 今日僕は君を殺す」


「なんで!?」


 するとドス黒いオーラを出しながら鬼丸が走り出してきた。


「ちょ! 待て! 展開早! ぶべぇ!?」


 するとレルガはいきなりの鬼丸の攻撃対応出来ず、ぶっ飛ばされた。


「ぶっ殺す! くそ狼ぶっ殺す! 大人の階段登った奴をぶっ殺す!」


 逆恨みである。

 鬼丸は血の涙を流しながらレルガに突進。

 そのまま拳の雨を降らした。


「レルガ! 意識飛ぶまで攻撃禁止! それと反撃は女神の金貨を食べてからね!」


「そんなごはぁ! こと言っても!」


「オラオラ! どうした!」


「がっ! ごっ!」


「……ごめんなさいレルガさん!」


 するとロナが背後からウィンチェスター銃をバット代わりにレルガの頭をぶん殴った。


「……ごめんなさいレルガ。 とりあえず当時の様子の再現の為だから! 我慢して!」


「う、あぐ!」


 レルガは意識が飛ぶ前に女神の金貨を食べて、獣化をした。


『ウォォォォォォォ!!』


「ほう! これが!」


「なるほど……では鬼丸さん私はここで!」


「えっ! ロナちゃん!?」


 レルガの獣人化を見た後、ロナは戦闘を棄権し、静観に入った。


「あーもーしゃあない! 僕のちがふぅ!?」


 すると鬼丸が反応する前にレルガが爆発的な身体能力を持って鬼丸を殴り飛ばした。


『ハ……ア』


 その後レルガは獣人化を解いたが体が熱くなってどうしようもなかった。


「う、うぅぅぅ!?」


「レルガ!」


「レルガ!」


 するとラファンとフィリシアが駆け寄り、フィリシアがすぐさま異空間を発生させる魔石を砕き空間内にラファンとフィリシアのみが残った。


「レルガ! 大丈夫!? 意識は!」


「う、うぁぁぁ! 頭が痛い! 体が熱い! 痛い! 痛い!」


 レルガの体が熱くなってどうしようもなかった。

 最初に起きた獣化と何一つ変わらない状況が出来上がっていた。


「う、ゥゥ」


 レルガの目が狼のように鋭くなっていくの体から毛が生えようとしていた。


「……とりあえず。 レルガの興奮を抑えるのが先ね。 レルガ今からするわよ? き、キスとだ、抱きしめていいかしら?」


「あぐ! ああ! ぐぎぃあ!?」


 フィリシアの同意にレルガは意識が朦朧としながらも頷いた。


「フィ、フィリシア。 私が先でいい?」


「いいわよ。 ラファン思いっきりしなさい」


「レルガ。 今から抱きしめるね?」


「あ、う、うぐ」


 レルガは衝動的にラファンを押し倒してしまった。


「……我慢できないよね。 うん」


 するとラファンはそのままレルガを優しく抱きしめてキスをした。


「ぷは。 大丈夫。 大丈夫だから。 私はレルガの事愛してるから。 受け入れるから。 我慢しないで?」


『ら……ファン!』


 レルガの意識が飛びそうなったがなんとかラファンの名前を呼びながらレルガは理性を崩壊させた。




「うっ」


 目を覚ますとラファンが寝息を立てて、隣で眠っていた。



「……俺は」


「おはようレルガ」


 するとフィリシアが声を掛けてきた。


「……悪いなフィリシアこんな事をさせて」


 レルガは自身の行動を謝罪した。

 研究のとはいえ、フィリシアを巻き込んだ事は申し訳ないと思った。


「……別に? 今回私はレルガと寝てないし……それに分かったわあなたの衝動の条件」


「……聞かせてくれ」


 フィリシアは真顔で仮説を話し始めた。


「三つ条件があるわ」


「三つも?」


 フィリシアが三本指を立てて説明し始めた。


「一つは命が危険になるほどの戦闘を行う事これにより生存本能の刺激が開始される。 二つは命の危険に瀕死した時に女神の金貨を食べる事。 そして三つおそらく女神の金貨を食べた直後にすぐさま獣化をしてる事」


「……えーとつまり?」


「レルガは本当に魔獣の本能に従って自身が戦闘によって死んだ後にも自身の血と力を受け継いだ個体が欲しいって訳ね」


 そうため息を吐いてフィリシアはレルガと顔を見合わせた。


「……つまりは俺は魔獣だと?」


「まぁあくまで命が本当に危険って時だけみたいね。 まぁあなたが欲を我慢してて爆発する事も条件かもしれないけれどでもやはり自身の命が危険な事がやはりトリガーのようね」


「……命が危険」


 フィリシアの仮説にレルガは頷く。


「……ねぇレルガ。 あなた命を失う事にトラウマがあるんじゃない?」


「……それは」


 フィリシアの指摘にレルガは俯いた。

 レルガは魔獣だった頃家族というべき魔獣を食い殺し、また家族だった獣の旅人のメンバーを失っている。

 その事がしこりとなって残っている事は否定できない。


「そうだな。 家族と言うべき存在を殺してるし、殺された」


「……魔獣同士の共食い。 それと獣人になった際に恩人になった人が死んだ経験があったのね……ごめんなさいデリカシーがなかったわ」


 レルガは本心を言うとフィリシアが目に涙を溜めて目を閉じた。


「……フィリシアは悪くねぇよ。 向き合えない俺が悪いんだ」


「ごめんなさい嫌な事思い出させて」


 するとフィリシアが背後を振り返り、体を震わせた。


「……大丈夫だよ。 俺はある程度整理ついてるから」


「んっ?」


 するとラファンが目を覚ました。


「おはようレルガ。 大丈夫?」


 寝ぼけているせいかラファンの口調はおっとりしていた。


「ああ。 おかげ様で」


「……よかった。 レルガ。 これからは一人で抱え込まないでね? 私達を頼って?」


「……あっ」


 ラファンに抱きしめられてレルガは脳裏に何故かサウィナの事を思い出した。


「……俺はラファンの事サウィナと重ねてたんだな」


「ん? どうしたの? レルガ」


「……ラファン……フィリシア」


「「何?」」


 レルガはフィリシアとラファンの名前を呼ぶと二人は返事を返してくれた。


「……俺は二人を守れるぐらい強くなる。 そして、幸せにする! こんな俺だけど結婚してくれるか?」


 デートもあまりしておらず、自身の心は親代わりだったサウィナとシャリンへの親愛の延長線上であると理解してレルガはラファンとフィリシアを見た。


「……幸せにしないと承知しないから」


「レルガ! 絶対幸せにしてね!」


「約束する!」


 妻となると二人の言葉に力強くレルガは頷いた。


「まぁそれはそれとして、レルガここで欲はおいていきなさい」


「えっ?」


 するといきなりフィリシアがレルガを押し倒した。


「あのーフィリシアさん?」


「最後の検証よレルガ。 全て出し切った場合をしましょう」


 フィリシアの顔が赤くなっており、息が荒くなっていた。


「あのーこの空間解除されないの?」


「ふふ。 私が満足するまで解除されないから」


「……えっ?」


 レルガの全身から冷や汗が出た。


「あ、あのそのぉフィリシアさん!?」


 レルガは死を覚悟した。


「ふふ。 逃さないわよレルガ。 最初の行為がアレなんてノーカンなんだから。 今日はエルフが恐ろしいものだとその身に刻んであげる!」


「レルガ。 私も竜だから頑丈なんだよ?」


 フィリシアは妖艶な笑みを浮かべ、ラファンは笑っていたが目は笑っていなかった。


「あ、あの? ふ、2人とも!?」


「「妖精と竜人を舐めるな」」


 こうして狼は妖精と竜人による蹂躙を受けた。




 





 


 


 


 


 




 

 

 


 

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