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冴えない転生者

カーブブルグ、ミルズス湖にて


深紅のストールを巻き

頭がぼさぼさでメガネ

無精ひげを生やし

のそのそと、船に向かう男がいた


ストールを除けば、この国で一番

うだつが上がらない見た目をしている


「クルーザー、一隻、空いてるやつをください」


「おぉ?冗談か、お前さん一隻いくらすると思ってるだ」


「確か、これくらいだったかな?」


ストールの男は、パンパンになった布袋を渡す

港の男は、訝し気に中身を確認すると


「あぁ、問題ない、このくらいの値段です。なんも問題ないです。」

上ずった声でそう応えた


「それじゃ、ゴーグルと、操作符をくれないか?」


操作符と言われるそれは、一見して厚手の手袋


その、指先の部分には、紋章が刻まれている


クルーザーの火の出力は、これをもって操作される


「アンタ、”クルー”の経験は、」


「1日ぐらい、」


「嘗めてるのか、分かったこれは、一応の決まりだ経験が浅い”クルー”は

 熟達”クルー”の同乗が義務付けられている」


「いいですけど、いつ帰れるかわからないですよ」


「…?守人の村に行くのか?許可証は?」


「大丈夫です。多分」


「分かった、それじゃ、試しに1キロぐらい走って、ここに戻る操作をしてくれ

 それで、ちゃんと操作できるか判断する」


二人は、クルザーに乗り込む


「ちゃんとしっかりと何かにつかまっててくださいね」


「言われなくてもそうする」


「それじゃ、」


ポス、バス、ボボボ


ストールの男は、指先を動かし出力の確認をする


「……」

それを無言で見ている船男


ストールの男は、腰を落とし、


手を後ろに向けた



「行きますよ」



ドッ 船が少し浮かび、水面を浮かぶように走り出した


「な!?」


その後、瞬時に、船の最高速まで加速させ、


一キロ地点で美しい円を絵がくように、カーブ


停泊の場所に、ドリフトをきめて、船場に添うように、止めてみせた


その間約2分


「どうですか?」


「い、いいんじゃ、ないんでしょうか?」


船舶の購入登録をして、改めて目的地へ向かう


「しかし、今まで狭い世の中生きてたよ」


「そうですかね」


「あんなには、及ばなかったが、1,2時間足らずで

 船の操作をマスターした少年がこの前いてさ感動を

覚えたよ」


「子供にも抜かれてしまうのか俺は…」


「いや、十分凄いからなアンタ」


「全然……でもやっと帰れる」



転生者 アサヒ・セージ


チートスキル


”点火”(ファースト)


その能力は、”元”火属性最大の出力を誇る



「ただいま」


守り人の村の検問所


村番が目を丸くして

セージを見つめる


「覚えてないか、そうか、これこれ、この深紅ストール、リームからもらったやつです

 全員、俺の事忘れるか付けていきなさいって言われた奴」


「おそいよ!」


「えっ、いや、まぁ、自分がラスボスを倒せなかった負い目とかで、ちょっとこのまま

 何の成果もなく帰るのが申し訳なくて渋ってました」


「いや、ある意味セージお前が一番この村で成果残してるから!あのリームを娶って世継ぎ

 まで残してるからね!」


「あぁ、トージ……元気?」


「元気なんてもんじゃないよ!この国に大いなる祝福をもたらした」


セージは、呆けた顔で首を傾げた


「俺の息子は、何した?」



それは、トージを含めた3人が、冒険に出た3日後の出来事だった

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