結界壊しの違反者”ピースブレーカー”
<霧の中のフェス>を夜通し観戦したジェニスとハンスは、
急ぎ足で廊下を進んでいた
「国の結界を壊したやつは、気まぐれで世界を壊すぞ、リョクとミチルは、目撃していないのか」
「それらしき、人物は、確認できませんでした」
「役に立たない2人だ」
「……ジェニスさん、<霧の中のフェス>成功時、ガッツポーズしてましたよ、手紙書いて捜索願を出しますか?」
「いや、<生前に手を出した女神さまにけじめを付る>だったけ? それは、アマノヒメ様も望んでおられるはず、そこに私情は、挟めない」
「……敵に、いやサエキ・リョクに肩入れし過ぎじゃないですか」
「ハンス君も俺ぐらいの年になったら、何となくわかるよ、サエキ・リョクなんであんなのが敵に回った」
「すいません、私が逃したばかりに」
「あの方の”望み”だ誰が見張っててもこうなってただろうな」
「この国のホントの神様の”望み”ってやつですか?」
「あぁ、そうだ。リョクが苦しむのが何より楽しいらしい、そこには、愛情すら感じる」
「サエキ・リョク……もっと敵っていうのは、凶悪で残忍でどうしようもない程ダメな存在だと思っていました」
「俺も昔はそうだと思っていたよ。だが、結界を壊したあいつは、そういうのじゃない
ただの違反者だ、さすがにこれは、うちらで動くハンス君全員を呼んでくれ」
「分かりました」
「結界壊しの違反者”ピースブレーカー”その捜索会議を開く」
場面は、カームブルグ役所の客間へ変わる
自分らの出身を適当にごまかしながら説明していく
トーデンドさんも、深く言及をしてこない、良かった
口を合わせてくれている、そして話の本筋に入る
「率直に聞く、結界を壊したのは、サエキ・リョクあなたか?」
客間に通された2人とユキチャン
テーブルの上には、上品な香りのする紅茶が置かれ
その対面にトーデンドが座る
武器は、役の入り口で検閲があり所持していた場合
そこに預ける形になる
そのため、この部屋には、トーデンドさんと僕とミチルさんとユキチャンだけだ
ミチルさんは、固まっている
「違います」
「それではなぜ、あの時あの場に来ることができた」
「何かにひびが入る音が聞こえました、場所は、彼女が飛んで探してくれました」
「ハイ、私、飛んで探しました」
「鳥人か……音を聞いた国民も多数確認している筋は通るか、じゃ、なぜ身を捨てて……この国を守ろうとした?
あんたら、ただ冒険者だろ?」
「??????????????????????」
「どうした?答えなさい」
「あの、自分の身を置く土地を守るのに理由がいりますか?」
「……ないな、サエキ・リョク、だが、どうもお前は腑に落ちん、目に見え糸でグルグルに纏われる気がする」
「トーデンドさんは、占い師ですか」
「リョクあんたを見た率直な感想だ」
「聞きたいことがあるんですが」
「なんだ?」
「あの結界を割るのには、どれくらいの魔石が必要になりますか?」
「現存する魔石全てを注ぎ込んだとしても、アマノヒメ様の結界が壊れるはずがない」
「相当な出力を持つチート能力者、この世界の理を超えたってことですかトーデンドさん?」
「チート能力は、神様から与えれる、その最高神であられるアマノヒメ様の結界が壊れた
となれば、何か、とんでもない異変が起きている」
「…授与したのがアマノヒメ様ではなく、他の神様の可能性ありますか?」
「それでも、最高神のお力を破るなんて…」
トーデンドさんは、何か重要な話をしようとしている
ミチルさんの件で犯人扱いは避けられたが
今度は、外に漏らしてはならいな情報を話そうとしている
「……ミチル殿、ここからは、リョクさんと2人で話したい
席を外してもらえないかな?」
コクリとうなずき退室するミチルさん
「監視は、あの子か?」
首を縦に振る
「なぜ、近くに置いておく?」
「仲間だから」
「そうか、分かった、ここからは、極秘の話をする」
「……なぜそれを僕に」
「実を言うと、神託があった、急に<霧の中のフェス>の場面が浮かび、”使い”来ると頭の中で声が聞こえた」
「そしたら、最初から迎撃の準備ができたのでは?」
「場所だけが見えた、そして行ってみるとあの状況だった、そして君ら”使い”がやってきた、だから話そうと思う」
手を前に組み、真っ直ぐに僕を見ているとても強い意志を感じた
「分かりました、聞きます」
「……年々本当に少しずつではあるが、アマノヒメ様のお力が弱まってきている」
「分かるんですか?」
「年々、世界全体の気温が下がってきている、ただそれでも向こう数百数千年は全然平気な程だったが、<霧の中のフェス>でそれがとても深刻な事態だと気付いた」
「続けてください」
「神の”使い”である君にこの原因を調査し突き止めてほしい」




