猫
夏と言うことで、ホラーミステリーをお一つどうぞ!
「なぁ。お前。聞いてくれるかい?僕は、猫を飼い始めたんだ」
彼はそう言うと、大好物のおでんの大根を、スルリと口に放る……。
「そうなのかい?私は、てっきり君は、動物に興味が無い。と思っていたのだけれどな」
私はそう言うと、大好物の酒をチビリと飲んだ。
「ハハハ。お別れの時、悲しいではないか。だから、飼わないようにしていたんだ。さみしいお別れは、ずっと苦手でねぇ……」
そんなこと言う彼は、大学からの20年来の私の友人だ……気のいい、優しい男だ。
彼の飼い始めた猫は、2週間ほど前の夜中に。子供と二匹。ひょっこりと、彼のアパートの玄関から、なかに入って来たらしかった。
「なぁ、君よ。その猫。病気などは、大丈夫なのかい?」
「あぁ、どうやら、飼い猫だったらしい……。首輪がついていた」
「そうなのか、それはよかった。じゃあ、飼い主はすぐ、見つかるのだね?」
「よくあるもんか。最初、アイツら傷だらけだったんだ……。あれは、人に殴られた傷だ……。母猫は血まみれで、子供の方は死にかけていたのだからな!」
めずらしく、怒っている彼は、酒をグビリとあおる……。
「……そうか……。酷い人間もいるもんだ……」
どうやら、その猫は、飼い主から逃げてきたらしかった。
子供の方にも……。ちょうど、煙草の先ほどの……小さく、まあるい火傷の痕が、あったらしい……。
私はソレを、想像しながら、日本酒をチビリと飲む……。本当に……酷いものだ……。
「あ。そういえば。君の家の近くで、殺人事件があったようだけど、大丈夫かい?犯人はまだ。捕まっていないのだろう?」
「あぁ。俺の家にも、警察が来たよ。話しをしたら、すぐ帰ったけれどね……。……しかし、どうもあれは。苦手だねぇ。悪いことをしてもいないのに。なんだか、ドキドキしてしまう」
ハハハっと彼は笑い。酒をチビリと飲む。
「わかるよ。僕もああ言うのは苦手だ……。……して。僕に話すくらいだ……その猫達は、そんなに可愛いのかい?」
「母猫の方は、いまだに、俺を警戒しているけれど、子供の方は、なついてくれてね……。凄く可愛いんだ。来た時はボロボロで、死んじゃうんじゃないか?と思って。ヒヤヒヤしたものさ」
「そんなに、酷かったのかい……。それは、助かってよかったよ。しかし、あれだね。母猫の方はえらく、自分勝手なものだね、自分から家に上がり込んでおいて、警戒するだなんて」
「ハハハ……。仕方ないさ……。ソイツも酷い怪我だったんだ。相当酷い虐待を受けてたみたいだからね……」
「そうか……。まったく酷いものだ。拾ったのが君で、本当によかったよ」
私はそういって。酒をチビリと飲む。
「すまん。俺はそろそろ帰るとするよ……。アイツらが、お腹をすかせているからね……」
「おやおや……。20年来の友人よりも、猫の方が、大事なのかね?」
「ハハハ……。むさ苦しいおじさんよりも、当然。可愛いに決まっているじゃあないか」
「それも、そうだな……。じゃ。今日は、解散だね。今度、その猫ちゃん達に、僕も会わせてくれるかい?」
「あぁ、君ならばもちろん。大歓迎だ。今度。聞いてみるよ。オヤジ、おでんのお持ち帰りをおくれよ……」
彼とは時々こうして飲むが……。
両手いっぱいにお土産を持って。あんなに嬉しそうに帰って行くのは、初めてでは無かろうか?
「フフフ……。また私も動物をちと飼ってみるかな……?」
はて?しかし……。猫とは……。おでんをあんなに食べる物なのだろうか……?
ところどころにヒントは隠してあります(*^_^*)
答えがわかったら、初めから読むと違った話になるかも知れません。
流し読みしてしまった方に、1つの答えのヒントを少し。
母猫は血まみれでしたが、子供が怪我をしているだけでした…………殺人犯は一体……。何処に逃げたのでしょうね?
もうひとつの筋道……。この話しでの動物は何でしょう……。ちと動物を飼う……。血まみれの猫を想像しながら、酒を飲む彼は、一体……どんな男なのでしょう……?
等等。w
評価:コメント等等。よろしくお願いします。




