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「先程は大変失礼致しました。マルメルモック国軍にて中佐を務めております、カガミと申します。ノアール様を必ず無事に王宮にお連れすることを約束致しますので、私にノアール様の護衛の大役を頂けますでしょうか?」
女性――カガミの態度にウツミとノア以外の3人が目を丸くしている。当事者であるノアはと言えば、ウツミが引きずられて行った時点で察していたのだろう、残念そうにへにょりと眉を下げている。
「やっぱりバレちゃったか」
「王族の金色の瞳は我が軍では常識ですので。御身がご無事で何よりでございます」
「ありがとう。けど僕は四男だから、もっと気楽に接してくれて大丈夫だよ」
「そういう訳にはまいりません」
カガミの返事を聞いてひとつため息をついてから、ノアはウツミの方を向いた。
「助けてくれてありがとう。お世話になりました」
「おー。これに懲りたらもう護衛を撒いて逃げ出したりするんじゃねーぞ悪ガキ」
「ちょっとウツミ!!」
「何ですか?」
これまで通りの態度でノアに接するウツミにカガミが咎めるように名前を呼んだ。マオとミアも不安そうな顔をしている。
しかしウツミは何も分かっていないような顔でカガミに返事をし、ポカンとした顔で固まっていたノアはそれを見て楽しそうな笑い声をあげた。
「マオ、ミア。僕、2人とまるで友達みたいに話せて楽しかったんだ。もしまた会うことが出来たら、また今日みたいにおしゃべりしてくれる?」
不安そうにそう言うノアにマオとミアは顔を見合わせ、揃って笑顔で答えた。
「もちろん! 私も楽しかった! 『みたい』じゃなくて、もう友達でしょ?」
「次は海や市場の話、期待してるな!」
「! うん!」
再びフードを目深に被り、カガミに手を引かれながら嬉しそうに手を振るノアをウツミ達はひらひらと手を振って見送った。