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小っちゃな街の青い鳥たち  作者: 柊夏木ヤヤ
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面談 その4

お待たせしました!

「じゃあ、次!」

 人数的にはちょうど後半戦に入る。だが、蓮としては早く終われという気持ちになりつつある。

 そんな中、さすがに後半戦になってだいぶ慣れてきた感じで次の面談が始まる。


 軽いノックが聞こえた後、ボソボソとした声のガタイのいい男が入ってきた。男は静かに中に入り、面談書を蓮に渡すと静かに椅子に座る。

「あ、すいません。こういう奴なんです。まぁ、受け答えはしますんで続けてください」

 すぐにテツからのフォローが入り、この状態が普段からよくあるということを物語っていた。


「……まぁ、いいか。えっと……藤野誠也、二十七歳。職業、花屋でのアルバイト。あだ名は、クンセイ……?」

「こいつ、大の薫製好きでして、バカみたいに薫製してるんすよ。おかげでこの辺はよく煙くなります」

「それでクンセイ……って、あんた前に普通の会社に勤めてたみたいじゃないか。なぜ辞めたんだ?」

 蓮の質問に対し、目を泳がせているが声はボソボソとしていて、聞き取れないでいた。

「すいません、こいつこんな見た目して人見知りなもんで声もボソボソっとしてるんすよ。代わりに俺がアニキの質問に答えます」

 それを分かっていたかのように、すかさずテツがフォローに入った。



「こいつ、前の会社で薫製をバカにされて暴力行為に出たんすよ。その結果、クビになって路頭に迷っていたところを俺らが拾ったって感じっすね。その後は花屋で雇ってもらっているという感じです。もちろん、消臭剤は欠かせませんが……」

 今までは重たい話が続いていたので、次もそうなるのでは覚悟をしていた矢先にこの内容だったので、気を張っていたのがバカみたいに感じ、蓮は大きく溜息をついた。


「まぁ、いいか。こういう奴が一人くらいいても……それも/に俺も薫製は好きだしな」

 その一言を聞いた藤野はさっきまでとは打って変わってのにこやかな表情を浮かべ始めた。

「……俺、アニキ……ツイテク……!」

 薫製を好きって言った効果なのか、目をキラキラと輝かせて蓮を見つめている彼は、期待に胸を膨らませる入学式の小学一年生のようになっていた。

「なんでそんなにカタコトなんだよ……お前、日本人だよな?」

「こいつ、人見知りに加えて会話下手で緊張しやすいときてるもんで、全体的に会話が下手なんすよ。会社でトラブルになったもう一つの要因っすね」

「いや、よくそれで会社の面接採用になったな……」

 今までの会話のフォローを全てテツがしている時点で何となく察してはいた蓮だが、ここまでとは思っておらず、気づいた時には頭を抱えていた。



「まぁいい……薫製をすること自体は構わないが、他の人には迷惑をかけないようにするんだぞ?常識の範囲内でな?」

「うっす」

 低い声で返事をすると、藤野はスッと立ち上がり、部屋を後にした。








「……あれ?俺、面談終了って言ったっけ?」

 しれっと、彼の面談は終了してしまったが、そんなものだと自分に言い聞かせ、次に行くことにした。

毎度ながら不定期ではありますが、これからも応援の程よろしくお願いします!

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