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機械人形と生きる世界

機械人形と生きられる世界

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2021/09/30




 それは一人の少年と機械人形の話。


 ルイという少年が、アールという機械人形と心を通わせる話。




 ルイの名前は、漢字にすると涙になる。


 生まれた時に流れた母の涙と共に、その命の生誕が多くの人へ命の尊さを教えたのが由来だ。


 だからルイは、その名前に恥じないような少年に育った。


 命を大切にする少年に。


 誰かを傷つける事はせず、道端で出会う人にも親切に、動物や植物の命も大切にしながら。


 そんなルイは生まれた世界を離れたのは、どのような理由があったのだろうか。


 理由、などというものはないのかもしれない。


 それは唐突に現象として起きたのだから。






 機械人形が存在する世界。


 異世界に転移してしまったルイは、機械人形のアールと出会う。


 彼女は人間と違って体が丈夫で、身体機能が高い。


 病気にもならず、怪我もしなかった。


 けれどルイは、彼女に対して人間と同じように接し続けるのだった。


 そうする事で、アールに変化が訪れた。


 これまでのアールは、自分の身を大切にしない行動で人間に尽くしていた。


 尽くす、というよりはそうあるべきルールに従っていた、という方が近いかもしれない。


 自らの部品を取り出して、品物を修理したり。


 危険を顧みず事故現場に飛び出して、人々を助けたり。


 ともかく、アールの在り方は自分の身を犠牲にするようなものだった。


 しかしそれが、変わったのだ。


 ルイという少年と接した事で。


 アールとルイはそれ以来、仲を深めて生涯を共にする間柄になった。






 異世界にやってきた一人の少年。


 その少年が行った事はあまりに小さい。


 一人の機械人形の生き方を変え、その人生を幸せにしたくらいだ。


 けれど、彼は知らないだろう。


 そのありふれた幸せがもたらした、未来の変化を。







 それまでの機械人形は、人間の下に見られていた。


 代わりの効く存在として扱われていた。


 けれど、その世界の中には、そうは思わない人間がごく少数だが存在していたのだ。


 人間も機械人形も同じである、と。


 そんな彼等にとっては、ルイとアールの物語は希望だっただろう。


 機械人形と生涯をとげた人間。


 人間と一生寄り添った機会人形。


 その話は、彼等の心に小さな光を灯した。


 いつしか、ルイが育った村はシェルターとして機能するようになり、祝福されぬ恋に身を投じる者達を、温かく迎えるようになった。


 そのシェルターの存在は日に日に大きくなっていく。


 やがて、声をあげられぬ者達の数が一定を超えたその日、歴史は変わる事になったのだ。







 そのように歴史の大変革が起きたとしても、在りし日のルイとアールはただ平凡なだけだった。


 大きな歴史の変革には、大きな意思が必要だった。


 しかしそのきっかけとなったものは、たった一つのささやかな幸せだった。







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