某メンタリストと考える「人権」
1.はじめに
現在、YouTubeやニコニコ動画で活動している某氏がホームレスの人命を軽視した発言をして炎上している。
一度自身の目で確かめてほしいが、以下の点のように語っていた。
「僕は生活保護の人たちにお金を払うために税金を納めてるんじゃない。」
「生活保護の人たちに食わせるくらいなら、猫を救ってほしい。」
「人間の命と猫の命、人間の命の方が重いなんて僕全く思ってない。」
「自分にとって必要のない命は僕軽いんで。ホームレスの命はどうでもいい。」
2.発言に対する私の意見
私は別に某氏に怒っているわけではない。
好意的に解釈すると要するに「ホームレス<猫」と言っているだけであり、ホームレスの方と直接関わりを持ったことがない私も猫の方が好きだ。
確かに、某氏が政治家であったとしたら、この発言は辞職に値する発言である。しかし、あくまで一個人の感想として「なんで俺が納めている税金をホームレスに使うんだ!」という発言は問題がない(同じ意見を持っている人は他にもいるやろ)という印象である。
ただ、「命」の話題を持ってきたのはまずかった。非常にまずかった。
たとえ「ホームレス<猫」だったとしても、「ホームレスの命<猫の命」とはならない。ましてや「ホームレスの命はどうでもいい」という発言は論外である。
彼は「人権」を全く理解していない。
昔福田総理がいったように、「人間様の命は地球より重い」のだ。
3.「人権」とは?
今回は「人権」について考えたいと思う。
「人権」とは「人の権利」、もっと丁寧に説明すると「人が生まれながらにして持つ権利」である。
日本人も中国人もアメリカ人も障害者も生活保護者も犯罪者も死刑囚だって「人権」を持っている。
アフリカのサバンナに住むライオンは「ライオン権」なんか持たない。
一生懸命に獲物を仕留めたにもかかわらず、後ろから見ていたハイエナに横取りされてもハイエナは「悪者」ではない。それがサバンナでは当然の出来事である。
日本で一生懸命に働いたサラリーマンが給料日、待ち構えていた男に銃を突き付けられて給料を取られたら、その男は「悪者」になる。「人権」を侵害した強盗犯だからだ。
昔は人間も「人権」なんか持っていなかった時期が続いた。王様の機嫌次第で理不尽に殺された時代がずっとあったのだ。
しかし、18世紀にフランス革命がおこる。「貴族と俺たちは同じ人間なのに、どうしてこうも違うんだ?」と人々が疑問に思ったのである。「労働者だろうが、農民だろうが、人間なんだから何かしらの権利を持っているはずだ!」となったのだ。
この結果「人権」が生まれた。
この「人権」は目に見えない。神や正義と同じく人間が創り出したものである。
4.「人権」の種類
「人権」が「人の生まれながらに持つ権利」だというのはわかったが、どんな内容を示しているのだろうか。
この内容は国によって違う。
ちなみに日本国憲法では自由権、社会権、参政権、請求権、幸福追求権などが規定されている。これは他国に比べて非常に多い。
「人権」の内容が豊富にあることは一見いいように見える。
しかし、今回のコロナウイルスで政府が人々の行動を強制的に規制することができないのは、この「人権」が原因だったりする。また憲法学者の中には、「人権」は最後の手段であり、何でもかんでも「人権」とすると希薄化してしまうという反対意見もある。
5.某氏の発言の問題点
「人権」の核は自由権、次いで社会権でありほとんどの国ではこれらを保障する規定がある。
その中に「生存権」というものがある。
憲法25条1項「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
「ホームレスの命はどうでもいい」という発言は、この生存権を真っ向から否定するものであった。
要するに、彼は「人権」の中でも最も大切な権利の一つである生存権を否定し、人権侵害的な発言をした。これが彼の問題点である。
6.さいごに
今回の彼の発言はいろんな方向からいろんな批判を加えることができる。しかし、私は今回「人権」の面から批判を行った。というのも賛否両論ある彼の発言の「賛」からは恐ろしい意見がたくさん見られる。
「実際、ホームレスなんかいらない」
「ホームレスは社会にとって邪魔」
ホームレスに対して色々思うことは自由である。しかし、こういった「人権」を無視した発言が多くあり、もう一度「人権」について考えてみた。
最近は動物の権利を尊重する運動も盛んになってきた。しかし、「人権」は世界中の憲法に記載されており、世界各国の共通認識になっている。人間であるホームレスの命は何よりも大切な物の一つなのである。
ご感想お待ちしております。