とても熱い冬
一年後の一月一日。
この日は忘れもしない。
熱い、熱い、冬だった。
ゆらゆらと踊る炎に囲まれながら、
あなたは私を見下ろしている。
ああ、今回も私は、あなたを救えなかった。
そんな私の思いを知ってか知らずか、
私の深紅の髪は周りの炎のように赤く染まり、
ゆらりゆらりと漂っていた。
「覚悟は出来ましたか?柚様」
冷たい刃を私の首に押し当てながら、
あなたは私に死に対する覚悟を聞いてくる。
「いいえ、ちっとも」
「そうですか…あなたがいくら後悔しようと、
僕達には死ぬしか道はないのです
焼け死にたくないのなら、早めに決めて下さいね」
本当にあなたは酷い人ね。
私がどちらを選ぼうが、死ぬ未来しかないもの。
私があなたを置いていかないのを知ってて、
わざと選択の自由を与えるのね。
「だから、もう少しだけ足掻いてみたいの」
私は一年前に戻るために力を使う。
「また、偽物の幸せに逃げるつもりですか?」
「だって、私の居場所はあそこだもの
そこに偽物も本物もないわ」
私は、百回目のタイムループを開始した。
「また逃げられてしまったか…
まあ、今回は百回目だ。流石に記憶にも支障が出るだろう
いくら逃げても運命は変わりませんよ、柚様」
今ここに、一つの空間が終わりを告げた。