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お化け屋敷をリフォーム  作者: 奈瀬朋樹
epilogue
34/35

ex オレサマオマエマルカジリ

「はぁ、出会いがないです」


 私の名前は(すな)(かけ)(ささ)()、どこにでもいる三十路で未婚の高校教師です。

 先生になるのが子供の頃からの夢で、念願叶って仕事一筋で頑張り続けていたら、いつの間にか20代が終わってしまいました。確かに忙しい日々でしたが休日はちゃんとありましたし、周りの先生方も優しくて不満もありませんけど、どんどん結婚していく旧友からの連絡に今更焦っているという有様です。


「はぁ、仕事は順調なんですけどね」


 この高校は問題児が少なく、しかも私が受け持っている2年B組は副会長の神岸さんが円滑に纏めてくれるのでとても助かっています。

 そういえば神岸さんを含めた女子3人から短期アルバイト申請がありましたね。

 勉強が疎かにならない範囲での社会勉強なら大いに賛成です。

 アルバイトをしている子達は要領良く見えますし、その際たるが川葉君です。

 最初は無気力な印象でしたが最近はそんな様子もなく、アルバイトを続けながら成績まで向上させています。


 やはり将来有望な若者は行動力が違いますね。

 なので私も見習い、これからは恋愛に積極的になりましょう。

 

 仕事は大切ですけど、自分の幸せも大切です。

 失敗を恐れず来るもの拒まずな精神で。そんな決心をしながら学校の廊下を歩き続けているうちにクラスに到着、いつも通りに扉を開いたら、


「皆さん、おはようござ……あれ? 教室が暗…ええええええええっ!?」


 電気が付いておらずカーテンが閉め切られた暗い教室の教壇の前に人が倒れていて、急いで体を起こそうとしたら、足が止まった。

 その理由は倒れている人からの異臭、いや、そもそも人なのでしょうか?

 人間の歯はあんなに長く尖ってないですし、頭の形もおかしいです。

 そんな疑問符が湧き続けて混乱していたら、その倒れた人?が音もなくスッと体が起き上がり、爛れた眼球が私の体を掴む様に覗き込んでいる。


「ひいっ!? えっ、ちょっ、どちら様ですか!?」


 持っていた日誌を落としてしまい、条件反射で後退るのと同時に体を起こしたソレが私をロックオンしたままこちらに近づいてきます。それなりの教師経験があって不良学生の相手をした事もありますけど、これは規格外です。学校のトラブル対策マニュアルにもこんなのありませんでしたからね!

 そんな混乱状態の中、化け物の剥き出しな口が動いて


「…………………イイ……オンナ、……ダ……………」

「えっ? ……ど、どうも、です」


 容姿を褒められたのは何年ぶりでしょうか?

 ですけど眼球や歯が剥き出しな化け物からの賛辞なので全然嬉しくないです。

 更にその化け物がひざまずき、まるで求愛ポーズの様な姿勢となって、


「……オレ……ヤシナウ……………、シアワセ……スル……」

「ええっ!? えっ、えっ、えええええ!?!?」


 まさかのプロポーズです!!!


 つい先程に彼氏が欲しいとは思いましたし来るもの拒まずの精神としましたが、流石にこれを受け入れるのは無理です。胴体は見慣れた我が高の学生服ですけど、頭が地球外生命にしか見えませんし、異臭も酷いです!!

 なのでこの件はなかった事にして、丁重にお断りしましょう。


「ま、誠に申し訳ありませんが、最低限の経済力がある方でないと無理です」


 頭を下げの丁寧なお断りを入れて、これでご破綻になると思ったのですが、


「……………ダイジョウブ……、……オレ……、バイトシテル!」

「本当ですかっ!?」


 なんということでしょう。

 こんな化け物でさえ働いているなんて、日本の未来は明るいですね。

 

 って何を納得しているのですか私!!

 このままでは国際結婚をも超越した異種交配が始まってしまいます!!!

 いま心拍数が上がっているのは恐怖の吊り橋効果で、恋愛のドキドキとは絶対に違う筈でっ、


「……イッショニ……、……シアワセニ……………」

「いやっ、ちょっ、来ないで!! 待って下さいお願いします!!」


 そんな心からの訴えに、化け物の答えは、



「……オレサマ……、……オマエ……、…………マルカジリ!」


「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」



   ◇   ◇   ◇



 砂掛先生が叫んだ後、流石にこれはマズいと判断してマスクを脱ごうとしたがジャストフィットで中々取れず、もたついている間に騒ぎに駆け付けた隣クラスの体育教師が乱入、柔道技で締め上げられちゃいました。

 これは退学も在り得るかもと肝を冷やしたが、神岸が全力弁護してくれて、笑いを堪えながら一部始終見ていたクラス一同も謝罪、砂掛先生も許してくれた事から反省文10枚で事無きを得られました。

 ただ河童マスクが脱げなかったせいで、それを被ったまま連行される姿を他クラスに目撃されてしまい『河童が校長室で折檻される』というニュースが一瞬で全校生徒に駆け巡り、校内一の有名人になっちゃいました。


 なお、この反響・口コミ効果で数多くの生徒が興味を持ってくれて、夏休み中に沢山の生徒がお化け屋敷に来訪、大盛況になりましたとさ。



 めでたし めでたし

とりあえずココで一旦〆ます。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。

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