表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お化け屋敷をリフォーム  作者: 奈瀬朋樹
epilogue
32/35

27話 時給UP

「ほあああぁぁぁああああああ、……………爆裂だるぃ」


 無事リフォーム完了となったお化け屋敷の再スタートが先週末の土日から始まったのだが、大盛況過ぎだろ。朝一からの行列は時間が経てば経つほど伸び続け、どんなに捌いても減る気配が全く無いままパーク営業終了の夜までフル稼働、全力で働いたバイト達はゾンビの様な死相と足取りで帰路に付く事となったが、翌日は更なる行列地獄でした。

 そんな地獄の土日から釈放されて夏休み目前となった月曜の朝、クラスの自席を見つけるなり、ぶっ倒れる様に突っ伏してからターボ圧縮機を使用した連続燃焼エンジンの如くな溜息が……、あーもう例えるのも面倒臭い。


 それでもリフォームが上手くいって何よりだ。


 多少の調整はあったけど梅雨前にリフォーム開始、明智さん紹介の大工職人が集ったのだが、皆さん超ノリノリで魔改造しまくって「今までで一番面白い仕事だったので是非また呼んで欲しい」という台詞に違わぬ劇的ビフォーアフターが7月初旬の期末テストと共に終了。新規アルバイトと共に再集結を果たして、お化け屋敷は見事に蘇ったのである。

 だけど夏休み前であの混雑なら、夏休みは地獄決定だ。

 体力もつかなぁ?


「おっはよろー。やーっぱり死んじゃってるね」


 机に突っ伏していたら背中を擦られ、体を起こしたらいつも通り身嗜みバッチリな神岸が前席に座ってくる。


「おはー、夏服似合ってるぞ」


 半袖ブラウスにチェックのスカートをはいた女子が蔓延る季節となり、スラッと体型が強調される神岸は注目の的で普段なら腕を後ろに組むポーズだけど、今回は両腕を前に差し出してきて。


「そういえば川葉って腕フェチだよね? 興奮した?」

「してねーよ、そのポーズやめろ」


 くうっ、もうこのネタから逃れるのは不可能だろう。

 神岸の腕はしなやかで腕フェチには堪らないのかもしれないが、俺はエセ腕フェチなので全然分かんないです。


「ったく、相変わらず元気だな、初めてでお疲れじゃないの?」

「まぁね、川葉に誘われての初体験で昨日の夜はもうお風呂にも入らずバタンキューだったよ」


 ざわっ


「えっ? ……うん、大丈夫だ。多分臭くない」

「匂いを嗅ぐな! ちゃんと朝シャワーしたから。けどイイ経験になったし、お金も貰えて大満足だよ。だから夏休みもガッツリ頑張るからね」


 ざわざわっ


「ぐっ、流石は元陸上部だけあって体力お化けだな。飲み込みも早かったし、もう俺が教える事なんて何も……ってあれ?」


 なーんか周りから視線を感じるというか、女子が興味津々・男子が悔しそう?

 なので神岸に顔を近づけてから小さな声で、


「おい神岸ボリューム下げろ。大声でバイト話はNGだ」

「あー、そうかもね。学校だしね」


 この指摘に神岸が納得して、2人でヒソヒソと話を始める。


「とにかくバイト来てくれてサンキューな。夏休み中も頼むぜ」

「それは勿論だけど、あの忙しさがずーっとで大丈夫? 私はともかく他の新人は辛いかもよ」

「その件だが、特別ボーナスが出る予定だ」

「ほんとに!! お金上乗せしてくれるの!?」


 ざわざわざわっ


「大声で金って騒ぐな」

「ごめんごめん、川葉の気前の良さについ」


 2人で周りに頭を下げたが、なーんか視線が意味深っぽく感じるのは気のせいかな?

 そう疑問に思いながらヒソヒソ話を再開させる。


「けど本当? アルバイト時給って厳格化されてるイメージだけど」

「予想以上に利益が出てるらしいし、バイトに逃げられて営業停止になったら本末転倒じゃん。だから待遇UPさせる方向で調整中らしい」

「その情報って確かなの?」

「お化け屋敷の主任の言葉だから間違いない」


 因みに根津主任はもういない。

 あれだけの事をやった以上は元通りという訳にもいかず、本人も望まなかった事から他部署に移動となったのだ。敵対したけど憎めない部分もあったから、心機一転で頑張ってほしいと素直に思っている。

 そして新しい主任となったのが親父である。

 根回しを重ねまくってリフォームも親父主導だったから当然の流れで、しかも俺が現場にいると内部事情が把握できてやり易いから高卒まで続けろと命令してくる有様で、だったらバイト代上乗せしろと訴えて現在交渉中って感じだ。


「そういえば川葉はラスト担当だけど、あんなハリボテ人形で大丈夫だったの?」


 この指摘にニヤッと笑顔を返す。

 神岸の言う通り、俺は赤い家の集大成ともいえる最後の部屋に居たのだ。

 恐怖を煽るだけ煽ってからのあの演出は大成功、彼女を見捨てて先に逃げた彼氏を見た時はつい爆笑しそうになった程だ。


「ああ、だからこそあの部屋を真っ赤にしたんだ。恐怖演出ってのもあるが、新の目的はお化けが『2人』しか居なかったってのを気付かせない為だからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ