23話 リーダーの覚悟
キリが悪かったので短めです。
なおこのシリアス展開もなるべく短めに終わらせる予定ですので。m(_ _)m
「俺はお化け屋敷で色んな人に出会って、色んな事に気付けたんだ」
バイトしながらプロの大道芸人を目指す風雷コンビ。
10代で出産・お節介で友達思いの鈴芽ちゃん。
元大工で気遣いが上手くてお茶目な一面もある明智さん。
皆のリーダーで他の誰よりもお化け屋敷に思い入れがある野土さん。
そして俺の教育係で、臆病だけどとっても優しい雫先輩。
「親父の言う通り俺はこのバイトで成長できた。他のバイト・近い将来でも同等の経験が出来たかもしれないけど、俺はあのお化け屋敷だったんだよ。だから嫌な思い出にしたくないんだ」
こんな後味の悪い終わり方で2度と思い出したくもない記憶にしたくない。
そんなのはもう、たくさんだ。
「つまり、このまま終わりたくないと?」
「ああそうだよ! 長期休暇は出ずっぱりで死ぬ程忙しかったけど、そのどれもが俺にとって初体験で、結構楽しかったんだ! それならこれからも続いてほしいって思ったっていいだろ!!」
完全に子供の言い訳だ。
そもそも何で親父に怒鳴りつけてんだよ。
ただの八つ当たりじゃねーか。
この自分勝手な振る舞いに、親父は何の反応も示さずに問いてくる。
「じゃあ徹底抗戦か?」
「ああそうだよ!! 最後まで悪足掻きして会議室で大恥かいてやらぁ!!」
ああ、もう殴られても文句は言えない。
ここまで暴言を吐き散らかした以上、後は黙ってサンドバッグになろう。
自宅謹慎の時は笑って許してくれたけど流石に今回は駄目だな。
そう覚悟を決めて、黙って制裁を待っていたら。
「分かった」
…………………………あれ?
今から怒られる筈なのに、何で、
「だが勝負を挑むからには絶対に勝て! 悪足掻きだけが目的の思い出作り気分なら切り換えろ。リーダーには、人を束ねる人間には責任がある。希望が全て潰えるまで突き進む責任がな。そうでなきゃ誰もお前についてこない」
まさかの方針転換に何も言えずにいたら、ずっと険しかった親父の表情が和らぐ。
「ちゃんと周りを頼れよ。お前が信じないなら相手も信じない。裏切られる場合だってあるが、そうなるまで信じてみろ」
「それって親父の経験論か?」
そう尋ねると、やれやれという顔になってから、
「大人の世界はお前が思っている以上に汚くて裏切りなんて当たり前だ。下手すりゃ身内が背中を刺してくる有様だぞ」
「それでも信じろと?」
「ああ、ある程度の予防線は必要だが信じてみろ。それで上手くいったら、気兼ねなく馬鹿がやり合える仲間になる。ガキのお前には分からんだろうが、一生モノの財産だぞ」
そんな励ましに頷いてから、
「じゃあ手始めに親父を頼りたい。力を貸して下さい」
「んー、どうしよっかなー」
親父の顔には含みがあり、こういう時どうすればいいのかは、ちゃんと教わっている。
「最後の最後まで諦めず、勝つ事だけを考えて頑張ります。だから俺を、川葉夕護を信じて下さい。お願いします」
深々と頭を下げ、返ってきた返事は、
「そこまで言われた以上、こっちも全力で信じてやるよ」
そこから無言で力強く握手を交わした後、双方の瞳に炎が宿る。
「夕護、今週末までお前の好きな様に行動しろ。何なら学校も休んでいい。ちゃんと周りにも協力要請しろよ。お前を成長させてくれた人達なら、きっと応えてくれる」
「了解!!!」
それから改めて親父と情報整理をしてから、全バイトに緊急連絡を送信したのだ。




