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お化け屋敷をリフォーム  作者: 奈瀬朋樹
chapter 4
19/35

18話 太平洋ベルト地帯

「ぶほっ!!!!」

「うわ、お兄ちゃん汚い! 上着脱いだだけで大袈裟!」


 傍から見れば薄いカーディガンを脱いでノースリーブになっただけだが、その過程で一瞬だけチラッと見えたのだ。白のスリーブに相反する黒のブラジャーが、しかも脇からの視点でだ!!

 雫先輩はスタイルが良く、だけど私服は大人しめという前フリがあってからの脇下という魅惑の隙間アングルから垣間見えた、あの豊満たわわを支える漆黒の太平洋ベルト地帯に魅了されぬ男がいる訳がない!!


「……………暑い」


 どうやら飲み過ぎで体が火照ったらしく、顔も真っ赤に染まっている。


「うっわ~、雫ちゃん腕ほっそいね。肌も白いし、腕フェチお兄ちゃんが動揺したのも納得だ」

「をい、いつから俺は腕フェチになった?」

「ん~、たった今?」

「違う! つい視線がいったのは否定しないがフェチじゃないからね!」

「ほんとにぃ~?」


 そんなアホ口論を繰り広げていたら、雫先輩がまた涙目になって、


「……………ううっ、どうせ私の腕は、腕フェチの夕護君に見向きもされない残念な腕ですから。……そうして私の腕は残念なまま1人寂しく大学卒業。それからも出会いがない残念な日々が続いて、ずっと1人のまま年老いて…」

「いやいや大丈夫! 今のはお兄ちゃんが見栄っ張りっただけで、実は超興奮してたから!! そうだよね、腕フェチお兄ちゃん?」


 濡衣どころか超びしょ濡れバスタオル投げ付けられちゃったよ!

 しかも俺と向かい合う構図で座っている比奈菜が足を伸ばして、俺の椅子に踵を、つまり股間手前に配置してきた訳で、NOと言ったら蹴り潰されちゃうよ!!


「その、………はい。俺は生粋の腕フェチ野郎で、雫先輩の腕にとっても興奮しました」


 くっ、こうして冤罪が生まれるのか。

 被疑者には黙秘権・弁護士を呼ぶ権利があるけど、ハメられて脅されたらどうしようもないじゃないか!


「でもさ~、雫ちゃんレベルなら大学でナンパされるよね?」

「……………そういうのは、ちょっと怖くて」


 あー、確かに雫先輩の性格でナンパは無理だな。

 十中八九お持ち帰りされちゃうよ。


「じゃあバイトで親しくなった異性はいませんでした? 杉田先輩とか」


 辞める時にお別れ挨拶してたし、結構仲が良かったのでは?


「……………杉田先輩は、彼女いたから」


 残念、先約がいました。

 五月蝿かったけど、いい人だったからね。

 やっぱり恋愛は積極的に行かなきゃ優良物件は瞬く間に消えていくらしい。


「じゃあ他に親しい異性は? 何なら友達でも」

「………………………………………」


 この沈黙が全ての答えで言葉が出ませんでした。

 雫先輩は美人で性格もいいのに、このままじゃマジで1人のまま終わっちゃうかもしれない。

 もう贅沢は言わず、気の置ける異性ならだれでもいいのでは?

 そんな風に考えていたら、比奈菜がニヤッと笑ってから、


「じゃあお兄ちゃんは? 不器用で面倒臭い駄目人間だけど悪者じゃないよ」

「をい、幾らなんでも下げ過ぎだろ。すみません雫先輩、今のは冗だ…」


 顔を赤くした雫先輩が俺を凝視している。

 川葉夕護という人間を吟味するかの様なねっとり視線に、思わず息を呑んでしまう。


「……………私が今一番仲の良い異性は、夕護君だよ?」

「そ、そうですか。光栄です」

「……………彼女、いる?」

「いない、です」

「……………好きな人は?」

「いえ、それもなしで」


 何だ、この流れは?

 比奈菜はスマホを構えて録画中、俺も男の本能がここは黙って話を聞けという指示に抗えず、雫先輩の言葉を待ち続けていたら、



「じゃあ私が大学卒業した時、……だったら、夕護君、よろしくね」



 今なんつった!?

 声が小さくて最重要部分が聞き取れなかったけど、もしかしてアレですか!?!?


「雫ちゃん約束しよう。指切りげんまん~」

「ちょっ、待てよっ!!!」


 止める間もなく比奈菜が動き、強制的に俺と雫先輩の小指を絡められてからの、


「指切りげんまん、嘘吐いたら■■■の~ます、指切った~」

「今なんつった!?」


 我が妹からとんでもなく卑猥な単語が発せられませんでしたか!?


「やったねお兄ちゃん。これで安心だよ」

「アホか!! 酔っ払いをハメちゃ駄目だろ!!!」


 今後すっごい意識しちゃいそうだし、下手すりゃ酔った相手にそんな約束させるなんて最低って感じのセクハラ加害者に仕立てあげられちゃうからね!!


「だってお兄ちゃんもさ~、雫ちゃんと同じく二十歳になっても未経験で、バイト代片手にエロい店に行きそうだから。コソコソと挙動不審に~」

「そっ、そそそんにゃ事ないっしょ!!!」


 リアルな心配を妹にされてしまい、つい変な裏声が出ちゃった後、今まで見たことがない慈愛に満ちた表情の比奈菜が俺の肩に手をのせてから。


「お兄ちゃん、そういう意地は自分を追い詰めるだけだよ。もっと素直にならなきゃ、幸せになれないよ」


 イラッ


 そんな心に痛み入る忠告に応えて、比奈菜のぷにぷにな頬っぺたを優しく抓り上げてあげました。


「お前もしかして飲んだのか? ジュースと間違えちゃったー的な真似して頭が沸いちゃったのか?」

「ふぃふぁふよ~、ふぉふい~ふぁんほふぁふぇふぁほ~」


 そしてまた兄妹アホ喧嘩が再開、何かもうグダグダになってきたなーと思った時、横でボーっとしていた雫先輩がまた脱ごうとして慌てて2人で制止させる。


「雫ちゃん流石にそれ以上は駄目! 下着になっちゃう!」

「とりあえず水、水飲んで下さい!」


 ノースリーブを脱ごうとして黒い南半球が見えた瞬間に比奈菜がホールド、今度はスカートをたくし上げ様とした所で、俺が制止させました。


「……………暑い」


 途中からノンアルコールにすり替えたけど、手遅れだったか。

 もう顔が真っ赤で目も虚ろ、体も火照りまくりで、妙に息遣いが艶っぽくて、しかも隙あらば脱ごうとする脱ぎ女になっちゃったよ。


「雫ちゃん、ココはお店で人の目あるから服はダメだって!」

「……………じゃあ、人に見えない部分なら」


 そう呟いてからノースリーブの内側に手を突っ込んでモゾモゾした後、漆黒の太平洋ベルトの全貌がお披露目…


 シュバッ!!


「お兄ちゃん会計! 雫ちゃんを家に帰そう!!」

「お、おう、分かった! ココは任せた!」


 即行で黒ブラを比奈菜が没収、俺は伝票を持ってレジに向かったのだが。


「うげっ、マジでか!」


 たっか! 居酒屋ってこんなかかるの!?


 あのちっちゃい小皿1つ1つが昼飯代と同額で、しかも比奈菜が珍しがって色々頼んだから結構な額になっている。

 社会人っていっつもこんな消費してるの?

 そりゃ奥さんも怒るって。

 そうして渋々会計を済ませて、すっげー長いレシートを持って比奈菜に抗議しようと席に戻ったら。


「お兄ちゃんタクシー呼んで。雫ちゃん寝ちゃった」

「えー」


 お約束とはいえ、実際にやられるとふつーに困るな。


「でも雫先輩の住所が分からん」

「大丈夫、比奈菜が荷物漁って情報ゲット済みだから」


 流石は我が妹、隙がない。

 そうして雫先輩の大学手帳を確認、ココから徒歩で20分くらいの距離だけど、そこまでおぶって帰るのは困難で、それにさっさと家に帰さないと脱ぎ癖が再発する危険がある。

 なので店員さんにお願いしてタクシー召喚してもらい、しかもお店からタクシー座席までの雫先輩の運搬まで手伝ってもらいました。

 それからタクシーと共に料金メーターが動き出したけど、GWのバイト稼ぎ、ちゃんと残るよね?

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