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番外編4、僕が海の家で犯されます。ー海水浴編 B-

「いってらっしゃいませ、お嬢様方 」

 時刻は2時をまわった。海の家でバイトを始めた僕たちゆーりんのメンバーだったが、やっと忙しい時間帯も終わりを向かえ店内にいる客も数えるほどになっている。


 次のお客様の対応をするまでのちょっとだけできた休憩タイムに僕は「ふぅっ」と一息つくと隣に、僕と同様暇になったコトがやってきた。


「それにしてもなんでこんな目にあっちゃったんだろうね 」

「ホントだよ。しかも当の本人はどうしてかあそこにいるし 」

「もう最悪だよ 」

 働くときはいつも真面目なコトではあるが珍しく愚痴をこぼす。それもそのはずで当の本人ことさなえさんは現在サングラスをかけてかっこよく決めながら砂浜でビーチチェアに座ってくつろいでいるのだ。

 まったく宿泊代のために僕たちが働くのは許容範囲としても、さなえさんは「契約上私は働かないことになっている」とかいって一人遊ぶのは今でも許せない。まったくこの店のロリ店長はどういう契約をしたのやら。


「まぁ、でも今日さえ働けば夜から明後日まで自由に遊べるんだから後少し頑張ろうね 」

「うん、コトの水着姿を見るのが楽しみだよ 」

「もうっ、スバくんったら」

 そんな他愛も無いカップルらしい会話を繰り広げていたら大柄な男3人が店に入ってきた。


 3人ともがボタンをとめていないアロハシャツから見るからに筋肉でガチガチの胸と腹を覗かせ、体の横幅も僕の倍並には大きい。僕たちか弱い女の子にとっては見るからに関わりたくない外見ではあったが仕事である以上そういうわけにもいかない。


「おかえりなさいませ、ご主人様 」

 ちょうど近くにいた僕たちはいつものスマイルでお出迎えする。男たちは海の家なのにメイドの店員がいることに意外感を見せたが、入り口横にある「メイド喫茶イベント開催中」という張り紙をみるとすぐに納得した顔になる。


「メイド喫茶だってよ 」

「お、メイド喫茶ってあれか? あのメイドがご主人様にご奉仕するってやつか? 」

「それは楽しそうだな。じゃあ早速だがそこの姉ちゃんたちがお相手してくれるのか? 」


 この会話を聞く限りこの男たちはメイド喫茶には着たことがないらしい。元々こんな海の家でメイド喫茶に来たことがある客なんてそういないだろうからこれが自然なのだが、それにしても男たちが一体どういう解釈をしているのか凄く気になる。

 どうも正しい認識をされていないように思うが、普通どおり振舞おう。姉ちゃんたちと、男は僕とコトを指名したがとにかくコトだけは変な目にあわせてはならない。


「はい! この私がご主人様たちを癒して差し上げますね 」

 僕は妙な使命感からいつになく率先して明るい対応をする。つい先ほど普通どおり振舞おうと決めたはずだったがコトを守らなければいけないという使命感がある一方で僕自身一人のか弱い女の子、変なことをしてこの大男たちの機嫌を損ねたくなかった。


「まぁ、とりあえず席つこうや。嬢ちゃん、そこの席座って良いんだよな 」

「はい 」

 男たちは勝手に空いている席に座って僕の手間を一つ省いてくれた。


 さて、先ほどはついつい普通どおり振舞おうという決心が揺らいでしまったが今度こそは大丈夫だ。さっさとメニュー表を渡して注文を聞いたらコトも引き連れて奥に引っ込めばいい。「癒して差し上げます」とはいったが可愛い僕を見ているのも十分癒しだよね?

「こちらメニューになります 」

 予定通りメニュー表を渡すと3人はそれに軽く目を通しすぐに視線は僕のほうへ向く。もう注文が決まったのだろうか。


「じゃあワシは嬢ちゃんの可愛らしい胸にするわ 」

「おぉーえぇなぁ。俺はぷりぷりのお尻もええけどな 」

「お、じゃあ俺はサラサラの髪でも貰おうかねぇ 」

 男たちは冗談なのか識別のつかない声色でそう言う。


 もちろん、可愛い胸とはストッキングを詰め込んで無理矢理女の子のものに見せかけた胸のこと、ぷりぷりのお尻とは柔らかい脂肪などあまりついていない骨で硬いお尻、サラサラの髪とは人工的に作られたウィッグのことである。つまりは僕はこいつらにストッキングとウィッグをプレゼントし、お尻の骨を触らせてあげればいいのかしら?


 と、まぁそんなことできるはずもなくどうすべきか本当に困ったものだ。メイドでいる間は自分でいうのもおかしいがどこから見ても女の子の僕できっとこの格好で外を歩けばナンパもされるかもしれない。しかし残念なことに(いや、別にまったく残念ではないけど)普段は男である。

 故にナンパをされた経験もなくこういうことへの断り方を知らない。うぅ、自分でコトを守ろうとしておきながら情けない。


「じゃあ頂きまーす 」

 そうやってうろたえている間に一番手前にいた男が僕の細く白い腕を掴む。そのまま体を引きつけられ男の手はゆっくりと獲物に狙いを定めるように近づく。


「いっ・・ 」

 咄嗟に悲鳴を挙げようとするがそれもほぼ無音のまま途切れる。さらにもう一人の男が僕を睨んでいるのだ。


 誰か助けて、一瞬そう思ったがこの店の従業員はほとんど女の子。唯一今宮さんは男だが一人だけでは到底かなわないだろうしまず厨房にいる時点で来てくれるか怪しい。他の客はこんな面倒なことにわざわざ関わろうという物好きはいないだろう。

 ならば来ないのならもうそれでいい。むしろ来てしまって怪我をされては困る。幸いにも僕は男だ。襲われたところでせいぜい男であるのがばれて一発殴られるぐらいだろう。

 あぁいつのまにかコトの姿もなくなっている。恥ずかしいところを見られなくてよかった。そうやけくそ気味になっていたときだった。


『ドッガシャン!!!! 』


 突如それまで目の前にいた男が視界から消えた。机が横にスライドし、見るとその男は床に寝転がっていた。頭部からは赤い液体が滴り落ち完全に意識がない。

 もはや何が起こったのか理解できない。ただ助かったということだけは分かり一気に気が緩んだ。


「大丈夫だったかシモベ 」

 後ろから声がし、振り向くとここのロリ店長がいた。さらに離れたところにコトを含むゆーりんの皆が状況を見守っている。


「えーっと・・ 」

「ワラワの可愛いシモベが危なかったのでなぁ、助けようとまわし蹴りを食らわしてやったのだが・・少しやりすぎてしまったようだ 」

 まだ状況を理解できないでいた僕にロリ店長は説明する。

 このロリの話を聞く限りこの店長自身が助けてくれたらしい。このチビ体でまわし蹴りなんてできるのか、とちょっと疑問は浮かんだがまぁそういうことにしておこう。とにかく助かったことだけは間違いないようだ。


「ふむ、失礼なことを考えている気がするがまあよい。さて・・・・・・貴様らはどうする? 」

「ひっ! 」

 ついつい救世主の登場で僕自身安堵していたがまだ完全に終わったわけではない。いうならば敵軍隊長を叩いて優勢になったもののまだ残党が残っているという状況。

 わが救世主ロリ店長はしっかりと簡単に逃すことなく、腰の引けて怯えっぱなしの残り二人を威嚇した。


「いや・・冗談だったすんよ、冗談。ま、まさか本気で襲おうとなんてしてませんって・・ 」

 やっとのことで一人が苦しい言い訳を始めるが、ロリ店長の顔はというとなお一層険しくなっていく。それにしても子供の怒った顔って無邪気な感じでなんとも可愛いなぁ。


「さ・・サァーセンしたっ!! ほらお前もいくぞ! 」

「ちょ、待てよ! こいつ運ぶの手伝えよ! 」

「お、俺は知らないからなーっ 」

「ざけんなよ!! 」

 店長の威嚇にすぐに耐え切れなくなった二人は颯爽と逃げていく。そして蹴られて伸びているやつは引きずられて店の外まで行く。怯えながら逃げていくこの二人も大概哀れだが、頭部から血をながしながら乱雑に引きずられてテーブルにまた頭をぶつけている姿は死なないか心配になるほどである。


「いやーここの店長はすごいぞ。これなら柔道も宇宙一だな 」

「芽衣ちゃん、それをいうなら柔道じゃなくて空手とかの部類だと思うのだけど・・。それにしてもここの店長は凄く頼りがいがあるわ。チーフとしてはこんな店長が欲しいわ 」

「僕が男だから助けに行くべきだったんだけどコトちゃんが知らせに来た瞬間に店長が消えちゃったからなー。いやー男としては面目ないけど助かったんならよかったよ 」

「嘘ばっかり。今宮くんってば話聞いたとき、どうしよう助けよばなくちゃ。110番かな・・とか何とか慌てふためいていたじゃない。今宮くんってイケメンなふりして実は頼りがいないよね 」

「ちょ、児子さん? ばらさないでもらえる? 」


 騒動が完全に終結し、離れた場所から様子を窺っていたゆーりんの皆も出てきた。さりげなく僕らの店長さなえさんが馬鹿にされていたり、芽衣の安定の間違えだったり、爽やか風イケメンの今宮さんの新事実だったり色々面白い会話を繰り広げてくれる。


 今の今宮さんの話を聞く限りコトが知らせに行ってくれていたのか。流石こういうとき冷静で頼りになる彼女だ。あれ、そういえば肝心のコトは?

 そう思って左を見ると目を必死で服の袖で拭いながらもなお、涙を垂らすコトの姿があった。まるでコトが重大な被害にあったかのようなその涙。もしかしたら僕が気づいていなかっただけでコトも被害にあっていたとか?


「コト? 」

 そう心配して声をかけた瞬間、少しの間涙が止まったかと思うと

「シュバくーーんっっ!! 」

 涙声で僕の名前を大きく叫び僕の胸元にダイビング。今度はさっきよりも盛大に涙をぶちまける。


「シュバくん!! スバくん!! 」

「うん 」

「よかったよーー! シュバくんがなんともなくてよかったよっーーー!! 」

 まだコトに何かあったのではと心配していた僕にコトは叫ぶ。

 どうやら僕のことを心配してくれていただけのようである。女の子が襲われていたならともかく男なんだからそんなに号泣することか、などとは思ったがこれもコトが僕のことを思ってくれているという表れなのだろう。

 僕はそう思うと笑みをこぼさずにはいられなかった。

いつも以上に忙しかったというのも遅くなった一因ですが、正直に言うとさぼっていました。すみません。

次はもう少し早く書けるよう頑張ります。by中間考査前日にどうしてか書く気になった作者

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