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20、執事喫茶がメイド喫茶でほのぼのとー始まりの物語 エピローグ?ー 

『ピピピピピピピ・・・・・・』

『バシッ』

 けたたましく鳴り響く目覚まし時計のアラームを止めて体を起こす。時刻はセットした時刻どおりの6時30分。


 昨日までの体のダルさが嘘みたいに軽く感じる。自分で額に手を当ててみても熱は感じられない。念のため体温計のスイッチを入れてわきに挟み込む。

『ピピピピピ、ピピピピピ』

 示す温度は35度9分。平熱だ。


 病み上がりの学校登校前は家を出るのがめんどくさくなって昨日までの寝た状態のゲームと漫画尽くしの日々を懐かしく羨ましく思うが今日は反対で待ち遠しい。

 実はというと学校に行くのは実に一週間ぶり。一日目でだいぶ楽になったはずがぶり返して結局現在までに至った。そのせいでただでさえ気がかりだったコトへの告白が延期されて待ち遠しいというわけだ。


 ベットから腰を上げ、リビングに行く。食パン半きれをオーブントースターにも入れず何もかけずに食べる。いや、これは時間がないからじゃなくてオーブントースターすら家にないから。

 ご飯を食べ終わって服を制服に着替え顔をバシャバシャと洗い歯磨きも済ませる。カバンを手に持ち

「いってきまぁす 」

 誰もいない家に向かって一時の別れを告げる。


「うぅっ 」

 心地よいぐらいに暖かい空気と眩しい日差しを浴びるのは久しぶりで新鮮だった。




「やっほー! すばっちは元気にしてた? 」

「おぉー! 昴、やっと復活か。久しぶりだな 」

「久しぶり、昴。もう体調は万全なのかな 」

 教室に入るとほのか、純、宅哉の3人が声をかけてくれる。ほのかの元気にしてたかは病気だったのだからいささか的外れな質問だが一種の挨拶代わりのようなものなのでスルーさせてもらおう。


「うん。5度9分ともう元気すぎるくらいだ 」

「ならよかったよ。体調が優れてないのにこられたら風邪を移されちゃうからね 」

 友達としては結構ひどいけどこれでこそ宅哉。3人に会うのも見舞以来だから懐かしく思える。


「おい、おい5度9分って低すぎじゃねぇかよ。大体人の体温は36度ぐらいだろ。て、ことはそれよりも30度以上低いぞ。大丈夫かよ! 」

「あ、うん。僕の言い方が悪かったよ。35度9分ね 」

「なんだよ~安心したぜ 」

 こちらは頭の悪い純をしっかりと見られた。


 そういえばほのかは大丈夫なのか、一人で立ち直れたのかはずっと気にかけてきたことだが見る限り取り越し苦労だったようだ。いつもどおりの真の笑顔が彼女の顔にはある。


「あれ、スバくん・・・・・・治ったんだねよかったよ 」

 僕が登校しているのを知ってコトまでもが教室に入ってくる。ほっとするコトの顔が見られた反面コトのほうから一方的によそよそしい雰囲気を感じる。それもそのはずで今日のバイト終わりに告白の返事をする予定になっているから緊張しているのだろう。


 でも一刻も早く返事をしたい僕は

「あのさコト、放課後に屋上に来て欲しい。用事があるから 」

 迷いも緊張すらも無くそう言った。

 コトは気づいたようでさらに顔は引き締まる。宅哉もほのかも気づいたようでこちらは微笑ましい笑顔でこちらを見る。唯一分かっていないのはそんな周りの空気に疑問の表情の純のみ。

「うん 」

 



『キーンコーンカーンコーン』

 6時間目の授業が少し早く終わった僕はチャイムが鳴った時には一足早く屋上にいた。実際には蒸し暑い風なのかもしれないが今はむしろ気持ちがよい。チャイムが鳴るとまだかまだかと待ち遠しかった。


『ぎーー』

 さび付いた扉の開く音がする。

「こんなところに呼び出してごめん。でも早くあの返事がしたくて 」

 まだ扉が完全の開ききる前にそう言う。もし違う人だったら恥ずかしい思いをするところだったが幸いコトだったようで問題はなかった。


「うん 」

 当然コトの顔に驚きはなく緊張と不安の混ざったような顔。


「好きです。もしもコトの気持ちが変わってないのなら付き合わないかな 」

 コトを思い続けて以来告白するならこんなシチュエーションと妄想を重ねた。例えば体育館の裏。観覧車の中。あるいは銃で撃たれて死にそうになっている時に。もちろん屋上もあった。

 その度に結論は恥ずかしくてこんなことまともに言えるのかだったがまさかこんなにもすんなりと出てくるなんて。


 そして、コトは迷わずに

「もちろん。付き合ってください 」

 急に顔は晴れて笑顔で溢れた。 




 開店5周年記念、1日限定男装による執事喫茶。現在はオープン5分前で準備に大忙しだ。

「よーしみんな服は着たようだな。言葉使いとかには十分注意するように。じゃあ所定の位置について待機だ 」


 店長が珍しく店長っぽくまとめていよいよ本番が始まるいつもとは違った緊張感が流れる。ちなみにこの場にいるのは店長、菊さん、児子さん、金井先輩、椎名さん、そしてウチら丹沢姉妹。なぜウチらや金井先輩ら学生がこの昼にいるのかといえば創立記念日で休みだから。この店の開店日と学校の創立が同じ日とは運命的だ。


 あーあ、それにしても今日に限ってスバスバ、ついでにコトちゃんも休むのは残念。折角スバスバの「女装した男装姿」つまりウィッグはつけたままでの男の姿を見られるチャンスだったのに。案外というよりかは予想通りにウィッグだけで男の姿をしても女の子に見えてしまうかもしれない。


「ほら麻衣、お客様の出迎えするよ 」

 どうしてか図書館で借りてきたお子様むけの絵本を読む妹の麻衣を連れて出迎え位置の扉の前に行って始めのお客さまを待つ。窓から見える人影はイベントなのに一人。

 イベントをやるなら休日にやれよ、と思ったのはウチ一人だけだろうか。待っている一人ですら太って眼鏡をかけ冬も近いのに汗をかくおじさんとウチの個人的見解からすればいかにも職業なしのオタクである。こんな平日の真昼間にメイド喫茶に来ること自体まともとは思えない。


「それでは1日執事喫茶の開店でーす!! 」

 菊さんが店員に客に聞こえるように大声でいったとたん扉は待ってましたとばかりに開く。乱暴に開いた扉からおじさんがどしどしと音をたてそうな勢いで入ってくる。


「お帰りなさいませご主人様 」

 このセリフは執事であろうとメイドであろうと同じ。ところが服装はまったく違って黒い執事服に髪は上げている。異様な服装におじさんは食い入るように私たちの全身を「観察」する。


「席にご案内いたします 」

 例えば癖なら「席にご案内いたしますね 」となるところが「席にご案内いたします 」と「ね」をなくして言う。前者でも執事として問題ないが執事といってどちらかといえば後者のほうが適切っぽい。他にも「わたし」ではなく「わたくし」。唯一大きく違うのは「萌え萌えキュン」とかの萌えゼリフがないことだけ。


 今から思えばメイドと執事の言葉使いってあんま変わんないよなぁ。「へい、マイ・スウィートハニー。ご注文はお決まりかな? 」とかを客のあごを持ってかっこよく言うのを楽しみにしていたのに。それをこのおじさんにやったらそれはそれで気持ち悪いんだけど。


「ご注文はお決まりですか? 」

「じゃ、じゃあこのお絵描きオムライスで 」

「かしこまりました 」

 こうしてイベントだというのにすばすばが休みのせいで今日ものんびりと時間は過ぎてゆく。っていうか執事喫茶になんでお絵描きオムライスのメニューがあるんですか、店長!!

 後書きたい話は数話だけ。最終話に向けて頑張ります。目標は10万文字ですが9万いかないぐらいでおわるかなぁ?

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