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~平凡な日~

アズ視点のみ

挿し絵入れてみました。

キラキラ輝く、水晶の洞窟。

ここは、水晶が生まれるお家であり、ボク、アズの一番落ち着く寝床。


洞窟の天井の割れ目から、差し込む光が水晶に反射して、洞窟全体が七色の光に溢れだした頃、ボクは朝が来たんだなぁって目を醒ますんだ。


えへへ、すっごく綺麗でね、幸せな気分になるんだよ。ボクの一番好きな時間なんだぁ。


それでね、暫く光を眺めたら、喉が乾いてることに気が付いて、泉の水が飲みたくなったの。

だからボクは、翼を広げて天井の割れ目を上手に潜り抜けてね、近くの泉に飛んだんだ。


空を飛ぶって気持ちがいいんだよ、風の精霊さんや光の妖精さんと仲良しになれるし。

そう言えば、妖精さんたちの話しだと、ニンゲン、っていう生き物には滅多に妖精さんたちの姿を見ることが出来ないから、ボクみたいに遊んでると、一人で遊んでるように見えるらしいんだ。

見えないってことは、ニンゲンって、妖精さんたちとお友達になれないってことだよね…?

うーん…ちょっと可哀想。


風便りも届かないんだろうし、一体どうやっていろんな事を知るんだろうな。



あ、もう泉に着いちゃった。


『また遊ぼうね、妖精さん』


一旦妖精さんたちと別れてキラキラ光る水面に顔を近付けます。


……ぷはー、やっぱりここの水は美味しいなぁ。


此処はお魚も美味しいし、ボクのお気に入りの水場です。他のドラゴンの縄張りにも、美味しい水場があるって皆が言うけど、ボクには此処が一番だなぁ。


前に火竜さんちの水場の水をもらった事があるんだけど、妙に鉄の味が強かったし。



さて、と。水も飲んだし、身繕いもしちゃおうかな。

そうだ、鳥さんたちにも手伝ってもらおう。


挿絵(By みてみん)さて、と。


『こんにちは鳥さん!』

『あ、アズちゃんこんちわ!』


鳥さんたちがいる森の木陰に行くと、パタパタとみんなが集まってきてくれます。


『身繕い?身繕い?』

『かゆいとこあるー?』

『歯磨きしとこうよー』

『口あけてー』

『たてがみモフモフー』

『古い羽根ちょうだいー』

『お、虫ゲット!』


鳥さんたちは思い思いにボクを綺麗にしてくれます。

たまに虫さんとかでかゆくなるんだけど、鳥さんたちにはご馳走なんだって。

ボクはかゆくなくなるし、鳥さんはお腹いっぱいになるって素晴らしいよね。

古い羽根は巣の材料にぴったりらしいし。


ふぁぁ…気持ちいい…。

チヨチヨ歌いながら身繕いしてもらってると幸せな気分になれるなぁ…。


鳥さんたちがお腹いっぱいになったあたりで、今度はボクも腹ごしらえ。


鳥さんたちに教えてもらった餌場に向かいます。


今日は、桃が甘ーくなりはじめたんだって。

甘ーいものは幸せになれるから、たまにはお魚以外にも、こうやって鳥さんたちのオススメも聞いて、食べ頃の木の実をいただくのもまた良いものです。



うわぁ!いっぱいなってる!

ピンク色が太陽に照らされて、ボクの洞窟にもあるローズクォーツみたいでとっても綺麗!


ボク、こういう綺麗なものが大好きで、幸せになっちゃうんだぁ。


見てるだけでも幸せなんだけど、熟した甘い木の実は格別。せっかくなので、何個かいただきます。


『うーん、美味しい~!』


思わず声がでちゃうほど美味しい桃。教えてくれた鳥さんたちに後でお礼を言わなくちゃ!


あ、桃を食べに次のお客さんが来たみたいだから、ボクはおいとまするとしましょう。

あー、美味しかったぁ!桃を食べて満足したから、今度は何をしようかな?

せっかくだから、森のなかの綺麗なものを探して見る?


『うん、そうしよう!』


そう言えばこの前、日だまりにお花の蕾が沢山あるところがあったっけ。

今日あたりいったら、満開かも!

そう考えるとワクワクするし、足取りも自然と軽くなっちゃうものです。


『うわっ、アズさんあぶないよっ』


『おっと!ごめんね!』


突然聞こえた悲鳴の方に顔を向けると、木から落ちそうになっているリスさんが。

あちゃー…どうやら無意識に振っていたしっぽが、リスさんのいた木を強くたたいちゃったみたい。


後ろ足で立ち上がって、前足で枝に戻してあげる。


『まったくもー…気を付けてねー?』


『…うん、ごめん、気を付けるよ』


ボクが謝ると、リスさんは笑って許してくれました。

怪我もなかったようで安心です。


挿絵(By みてみん)


気を取り直して、森の奥へ。


真っ赤なキノコとか、青い木の実とか、まだ芽生えたばかりの柔らかい緑の葉っぱとか

お花のところに行くまでにも、綺麗で素敵なものが沢山です。


あ、でも、あの真っ赤なキノコは、綺麗な見た目に騙されて食べたら痛い目をみるんだけど。

…前に食べたら、視界いっぱいに波紋が見えて、すっごくフラフラしたんだよなぁ…。


毒キノコって怖い。


蕾があった場所につくと、やっぱり綺麗に咲き誇っていた花たち。


白、ピンク、黄色、水色、オレンジ、赤、紫…

沢山の色で溢れていて、でも、とっても自然な色の組み合わせで。


『見に来て良かったなぁ』


花の香りも、ほわほわって気分がよくなるし。

みんなもそういう事、あるのかな?


『ん?』


今、なにかひらひらしてたような気がするんだけど、何だろう?

んー?気のせいかな?


キョロキョロしてると、キラキラした宝石みたいな青い光が。

宝石かなとも思ったんだけど、お花の上に生まれる宝石なんて聞いたことがないから、多分違うんだと思う。

じゃぁ、なんだろう?って思って、ゆっくり近づいてみたら、動いた!

成る程、蝶々さんかぁ!すっごく綺麗!


挿絵(By みてみん)


そろりそろりと近づいてみたけど、蝶々さん飛んじゃった。


『あ、待ってよ蝶々さん!』


………はぁ、行っちゃった。

あーあ、お友達になりたかったのになぁ。


青空に溶け込むように飛んでいった蝶々さんを見送ります。

だって、ボクが羽ばたいたら、きっと蝶々さん、どこかに飛ばされてっちゃうもんね。


また会えるかなぁ?


『…ふぁぁ…なんだか疲れちゃった』


ちょっと座ってみたら、あくびがでました。

…いっぱい追い掛けちゃったからかな?


…うーん…少しお昼寝しよう。ポカポカで気持ちがいいし。

横になったら、すぐに気持ちがいい眠気がやってきたので、身を任せてみることにしました。


…………ん……

なんだか少しだけ、涼しい気がする…


『ふぁぁ…よく寝たぁ…………………って、あれ?』


ん?太陽があんなところに?もう夕方?

何だかずいぶん寝てたみたい。

何回見ても、空は綺麗な夕焼けに染まってました。

それに、どこからかコロコロチリチリ、夏の虫さんたちの声が聞こえ始まってるし。


んー……でもまぁ、いっかぁ。


まだ、もう少し眠いし、草の上も気持ちがいいし、お花の匂いも良い気分だし、もう少し、この虫さんたちの歌も聞いていたいし。


今日はこのまま此処で寝ちゃおう。


耳をすませながら、ボクはまた瞼を閉じます。


明日も素敵な1日になるといいなぁ………。

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