バグった乙女ゲー
乙女ゲームちっくに書いたけど攻略者達の名前出てきてない。主に乙女ゲー(?)のヒロインが主に出ている。思うまま書いたため、所々誤字脱字があるかもです。
「あの…玲香さん?それは一体…」
「だからね、私にそのポジション譲ってくれないかなー。
きっと悪役の私がミーコちゃんに何もしなかったのがバグったかもしれないけど、そのポジションはずるいよ」
あまり使うことはない旧教室。
そこで私はこの人、黒澤玲香に呼び出された。
何か用事があるのかと思いきや、今不明な言葉を言い出してきた。
この世界は乙女ゲー(?)らしく、自分は悪役(?)に生まれ変わった。
でも悪役だけどヒロインの御影美琴を傷つけたくないし、攻略者達を敵に回したくない。だから何もしなず御影さんに接触しようとしても、【私】というバグが発生したらしく、接触ができない。
本当に、意味がわからない。
つまり、この世界は乙女ゲー…黒澤さんの知っている乙女ゲーに似ており、私は【バグ】で邪魔な存在だと。
確かに私はあの人達とは一緒にいるけれど、それはあっちが接触してくるだけ。
私と御影さんは従姉妹同士だということだけで、べったりと私といる。
その後を御影さんの取り巻きが付いてきて私を巻き込む。
これが小学生の頃から続いているからしんどい。
御影さんは成績優秀の優等生。
あの人達は成績優秀だったり部活で優秀だったり…また別で優秀だったり。
それプラス、全員が美形である。
こんな人達を周りの人達はほっとくわけもなく、接触したりファンクラブなんてものもあった。
そんな人達から見れば、私のような存在が邪魔だった。
何かに才能があるわけもなく、美形でもない。
普通の…乙女ゲームで言えばモブのような、名前もない一般人。アルファベッドで表せる役。
そんな私が許せないのか、小学生の頃からよく呼び出されたり軽いいじめもあった。
中学からは御影さん達から離れたくて、私と話が合う友達がほしくって親に頼んで私立の中学に行きたいと頼み、なんとか合格して、行けてのはいい。
でも、なんで御影さん達もいるの?
御影さん達とはもう会いたくもなかったのに。
これじゃあ、また同じことを繰り返すだけじゃない。
「アンタと御影さん達は似合わない」「離れなさいよ」「ねえ、御影さん達のメアド知らないかなー?」「アタシのほうが可愛いのに…」「こんなブスがなんで一緒にいるの?」「さっさと離れてよ」
「ねえ、聞いてるの?ただのモブさんが」
「…本当に、こんな日常が変わるの?」
* * *
あれから数日。
嘘みたいに日常が変わった。
黒澤さんと接触したあと、御影さんが全く私の元へ来なくなった。御影さんがこないからあの人達も来ない。
どうやら御影さん達は黒澤さんといるみたいだ。
たまに黒澤さんを囲んで話しているのを見る。
休み時間も昼食も放課後も御影さんは訪れない。
私の元へ来なくなったからファンクラブのみんなからの呼び出しもなくなった。軽いいじめも止んだ。
心の底から嬉しかった。
ようやく、ようやくあの子達から解放されたんだ。
ずっとこの日を待っていた。
だから、御影さん…ミーコ達がこちらを見つめている視線なんて気にしない。
もう関係ないことなんだ。
「ななみー!」「なっちゃん!」
だって私には友達がいるから。
私の合った友達。一緒にいるだけで楽しく感じられる友達。
「ちーちゃんららちゃん」
「ねえねえ、放課後さ、近くの図書館に行ってさ勉強しない?」
「千尋と私、同じ高校を目指してるの。×××高校っていうとこの」
「二人共目指してるの?私も行きたいな」
「なら目指そ!アタシ達同じ高校行こうよ!」
手を取り合う私達。
ちーちゃんとららちゃんはミーコ達がいつも一緒にいるから声がかけずらかったらしく、私と話をしてみたかったんだって。
この機会を見逃さず、声をかけて現在今のような状況…笑え合える友達になった。
「ミーコ!お弁当作ったの!良かったら食べてくれない?」
「玲香ちゃんのお弁当ー?うん!食べるー!
玲香ちゃんの手作りね、私好きだよぉ」
「うんうん、玲香の手作りは最高だ」
「れーかちゃんの手作りすきー!」
「ぼくもー!」
「…」
「うわっ、またあいつら…」
「煩くって此処で弁当食べられないわ。屋上行って食べない?今日は快晴だから気持ちいいと思うんだけど」
「えーマジで!?じゃ行こうよ屋上!!もーアタシ腹ペコペコー」
「うん、行こうよ。私もお腹空いた」
自分達のお弁当を持って屋上に。
今日は上手く卵焼きができたから二人に食べさせたいな。
それにちーちゃんの好きなベーコン巻きのアスパラガスも入ってるし。
喜んでくれるかな。
そんなことを考えていると、後ろに体重が傾く。
いきなりのことで尻餅をつくとこだった。
ちーちゃんとららちゃんは私に気付かずそのまま屋上に向かってるのが見える。
待って、と声をかけようとしても掴まれている腕に力が入って、それがあまりにも痛くて声が出せなかった。
「七海ちゃん」
私の腕を掴んでいた者はミーコだった。
ゆっくりと後ろを振り向けば、こちらを見つめて今でも泣きそうな表情をしたミーコ。
ふるふると震えてその仕草はまるでうさぎ。
男子生徒が見てればきっと赤くなって可愛いと思ってるんだろうなと考えていると、
「七海ちゃんは、私が行く高校に行くよねぇ…?だって、此処に入学した時一緒に行くって約束したもん。七海ちゃんは約束破らないよね?
だって、私達親友だもん。七海ちゃんは私に嘘つかないもん。
ねっ、七海ちゃん?」
あの時の話が聞こえてたんだ。
というか、入学した時?約束?なにそれ。
「また勝手に言っただけでしょ」
「…え?」
「あ…」
しまった。
ミーコが驚いているの。他のみんなも。、
今までなら、私はミーコに反論はしてない。「今までなら」ね。
「え、えと…な、七海ちゃん…?」
おそるおそる聞くミーコ。
今なら、今まで我慢してたこと全部吐き出して言える。
言うんだ。ミーコに、正直に言うんだ。
「悪いけど、約束?そんなの私は知らないよ。ミーコが勝手に決めたことでしょ?
ミーコの我が儘には、ミーコにはもううんざり。
私はミーコの言うことを聞くお人形さんじゃないの。
ミーコや、ミーコの取り巻きさん達のせいでどれだけ辛かったと思う?
ミーコ達のファンクラブから影口を言われて軽いイジメをされて友達ができない。
全部、全部全部ミーコ達が私なんかに構うからよ!
もう私のことはほっといて。
それに、私は違う高校に行くの。もう約束したんだから」
言い終わった後、ダッシュでその場から逃げ去り屋上へ向かう。
屋上には既に二人がお弁当箱を開いて待ち構えていた。
息が荒い私に首を傾げるけど、ちょっと先生から逃げてたと言えば、そっかと了承した。
本当はミーコに捕まってたけど敢えて言わない。
だって、折角の友達を、ミーコに興味を持ったら嫌だし。
所で、あの場から去る時ミーコは「8回」と呟いてたけどなんだったのかな。
もう、私には関係ないことだけど。
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