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プロローグ

【登場人物】

(ジャムピエール家)

*ジェイムス・ジャムピエール

ジャムピエール家城主。五人の子供の父。

趣味で始めたパン作りは城下の領民に好評である。


*アンパルス・ジャムピエール

ジェイムスの長男。次期当主候補筆頭。

正義感が強く、困っている人を助けずにはいられない。


*ショクパネフ・ジャムピエール

ジェイムスの次男。次期当主の第二候補

冷静沈着。頭脳明晰だが、気に入った女性を口説き落とそうとする欠点がある。


*カレリアス・ジャムピエール

ジェイムスの三男。当主になるつもりは最初からない。

言葉遣いが荒く、短気で喧嘩っ早い。女性との付き合いは苦手である。


*メロリーヌ・ジャムピエール

ジェイムスの次女で末っ子。母の記憶はなく、三人の兄に囲まれて育つ。

誕生した年に生き別た姉に憧れを持つ。十三歳だがあどけなさが抜けない。


(バイキナル家)

*ハフヒーホ・バイキナル

バイキナル家当主。唯一の子息が病死したことで、ジェイムス家の五人目を狙う。

先祖代々の目標である国家統一を果たすためなら手段は選ばない。


*ローレパンネル・バイキナル

バイキナル家次期当主候補。しかし、ハフヒーホの実子ではない。

その正体は二歳の時に誘拐されたジェイムス家の長女である。


(その他)

*ドーキンズ

バイキナル家への資金援助の条件として居候する富豪の娘。

わがままを言ってはハフヒーホたちを困らせているが、誘拐したローレパンネルの面倒を見た。


*バタローネ

ジェイムスの妻が亡くなった後で身の回りの世話をする女性。

母を知らずに育ったメロリーヌにとっては母代わりの存在である。


*ホランドル

ジャムピエール家、バイキナル家などの貴族を得意先とする商人。

敵対する貴族の様子を聞き出し、相手に伝える役割も担っている。。

 中世ヨーロッパにあるヤナスール王国は、国の力は弱く、貴族による政治が行われていた。そのため、貴族同士の対立から領地拡大を狙う貴族同士の闘争が相次いで勃発していた。その中の貴族の一つであるジャムピエール家は平和を好み、闘争には参加せず平穏な日々を送っていた。

 だが、二十年以上前、一通の文書が送り付けられた。送り主はバイキナル家当主、ハフヒーホからだった。その内容は、“友好を結び、共に協力して国を立て直そう”というものだったが、ジェイムスは文書の読んでいくうちに、ある一言に引っかかった。


“全ての領地、軍事、財産等の権限はバイキナル家が持ち、ジャムピエール家はその指示に従ってもらう。従わなかった場合は命はないものと思え”


 この一言は、他の字よりかなり小さく書かれ、見落させるようにしていた。


『これは友好ではない。乗っ取りだ!』


 バイキナル家は悪名高い貴族として知られ、同盟を結ぼうと話を持ちかけ、合意させた後で一族を抹殺し、領地を自分のものにする残虐な行為を繰り返している。既にその噂はジャムピエール家にも伝わっていたのだ。


『これではバイキナルの食い物にされてしまう。ワシらは絶対に合意せぬ!』


 ジェイムスは文書にサインはせず、ハフヒーホ宛てに返事を書いた。


“我がジャムピエール一族は、バイキナル一族に服従の意志はなし”

『何っ!もしやあの一文を見透かされたのか』


 文書を見たハフヒーホは激怒し、ある決断を下した。


『ワシら一族の願いは国家統一。その為にも、領土を広げなければならん。皆の者、攻撃準備だ!』


 数日後、ジャムピエール家とバイキナル家の合戦を行う事となり、間を流れる川の両側に、それぞれの軍隊が向き合い、火花を散らしていた。


『国家統一を邪魔する者は抹消されるのみ。かかれぇ!』


 ハフヒーホの一声で決闘は切って落とされた。バイキナル軍は圧倒的な兵力でジャムピエールの軍隊に攻め入った。一方的な統合で規模を拡大してきたバイキナル軍とは違い、ジャムピエール軍の兵力は比にもならなかった。


『クソッ!何て強さだ。このままでは城まで持たん』

『フンッ!わしらに逆らうと痛い目に遭う事を知らしめてやる』


 城には各業務を行う部下の他、ジェイムスの妻と三人の幼い子供がいる。彼らの為にも、兵を進ませてはいけない。


『このままでは城まで持ちませぬ!』

『殿、ご決断を!』


 ジェイムスは葛藤していた。いくら決闘に向けて日々訓練を積んできたとはいえ、実戦の経験は浅い。しかも、今回のような大規模で襲って来られることなど考えていなかったのだ。

 ジェイムスの頭の中には、“バイキナルに服従する”ことを考えた。そうなれば命の保証はない。たとえ自分は犠牲になっても、我が子や部下たちは生き伸びて欲しいと思ったのだ。しかし、残された時間は少なかった。


 その時、川の上流が曇り、稲光が走った。それから一気に川の水かさが増し、これ以上の決闘は危険だった。しかし、ここで思わぬ事態が発生した。


『殿、堤防が決壊しました!』

『な、何だと?』


 堤防が決壊したのはバイキナル軍がいる側だった。水は一気に軍隊に襲い掛かる。バイキナル軍はこの状況に慌てふためいた。


『このままでは全滅だ。退け。退けぇ!』


 既に反対の堤防を越えて陣地に侵入してきたバイキナル軍の兵士たちは、自分の陣地が浸水していると聞き、怯んだ。


『よし!今だ。バイキナル軍を弾き返せ!』


 ジャムピエール軍は、ジェイムスの号令により一気に攻め立て、バイキナル軍兵士を川の向こうに追いやった。

 決闘はバイキナル軍が撤退する形でジャムピエール軍の防衛が成功し、領土は守られた。決壊した堤防はすぐさま復旧が行われ、数日で平穏を取り戻した。


 敗れたバイキナル軍は命からがら城に戻った。大勢いた軍勢も決闘と洪水で半数近くが失われた。


『クソぉ、ジャムピエールの奴め。必ず領地は我がバイキナルのものにしてやるぞ!』


 その後、ハフヒーホはとんでもない計画を打ち立てた。

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