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運命の彼女を救えと言われたけど、“ユキ”が何人もいるんだが?ちなみに、失敗したら俺が死ぬらしい  作者: きいろい なつ


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第3話 現れるもう1人の「ユキ」!?


 さっき、ホームルーム中に距離を詰めてきた女子の名前は「雪夜つばさ」だと分かった。

 雪夜――ユキ?

 まさか、この子が神様の言っていた相手なのか。

 次の休み時間、ちらりと横目で彼女を見る。

 整った顔立ち。透き通る青い瞳。なるほど、

 モデルをしているだけのことはある。


(……聞くしかないか)


「あの、雪夜さん。君、神様の知り合いとかいる?」


 ぽかん、とした表情。

 ――そして。


「あははっ、面白いこと聞くんだね、光一君。

 オカルト好きなの?」


 お腹を押さえて笑い出す。

 俺はかあっと顔が熱くなる。


「なっ……! 俺は至って真面目だ! オカルトなんて信じてねぇし!」


 ――いや、ついさっきまで信じてたけど。


「ふーん。まあいいや。それより」


 一歩、顔を寄せてくる。


「さっき、私の顔に消しゴム当てたよね? 痛かったんだけど」


「あ、あれは……! って、先にやったのそっちだろ!」


「寝てたから起こしてあげたんでしょ? 感謝してよね」


「寝かけてはいたけどギリギリ寝てねぇから!」


「あっそ。ちなみに――」


 一瞬、間。


「顔、よだれついてるけど」


「!?」


 とっさに腕で顔を隠す。

 ……くそ。

 またやられた。


(なんか、ペース乱されるな……)


 顔は可愛いくせに、性格は可愛くないんだな。

 俺の「雪夜つばさ」に対する印象は、すっかり悪くなってしまった。

 ――そのときだった。

 胸の奥が、ざわりと揺れる。


「……?」


 違和感。

 理由は分からない。

 ただ、嫌な感じがする。

 指にはめたリングが――じんわりと熱を持っていた。


「……おい、まさか」


 次の瞬間。

 ――ぱあっと、光る。


「っ!?」


 思わず立ち上がる。

 クラスの視線が一斉に集まる。

 でも、そんなのどうでもいい。


(誰だ……!?)


 視線を走らせる。

 つばさじゃない、違う。

 教室の後ろの窓際だ。

 ひとりの女子が、ふらりと体を揺らした。


「……あ」


 次の瞬間。

 ――崩れるように、倒れた。

 それは、教室に入ってきたときにぶつかった女子だった。

 顔が、真っ青だ。


「おい、大丈夫か!」


 返事はない。


「チッ……!」


 迷ってる暇はない。

 俺はそのまま彼女を抱き上げた。


「保健室、行くぞ!」


 周囲がざわつく。


「えっ、光一君――」


 背後から、つばさの声が聞こえた。

 ――けど、振り返らない。



 * * *



 保健室。

 彼女をベッドに横たえると、先生がすぐに駆け寄ってきた。


「大丈夫、軽い貧血ね」


「……はあ」


 全身の力が抜ける。

 よかった。

 ドアに手をかけて――止まる。


(……なんでリングが光った?)


 疑問が浮かぶ。

 そして、ひとつの可能性に辿り着きかけた。

 まさか――


「あっ、ユキさん。目を覚ましたのね」


 俺は耳を疑った。

 ――ユキ?

 今、先生は確かにそう言った。

 ゆっくりと振り返る。

 ベッドに横たわる彼女を見る。


 顔色はまだ青い。けど――

 よく見ると、整った顔立ちだった。

 長い黒髪がゆるく波打ち、肩に流れている。

 垂れた目元はどこか儚くて、口元のほくろが小さなアクセントになっていた。

 ……柔らかい。

 そんな印象だった。

 春の陽だまりみたいな、安心する雰囲気。

 その瞳が、ゆっくりと開く。

 潤んでいた。


「あ、あの……保健室まで運んでいただいて……ありがとうございます……」


 消え入りそうな声。


「い、いや! 全然、大したことないから!」


 思わず声が裏返る。


(……落ち着け、俺)


 リングが光ったから助けた、なんて言えるはずもない。


「私、篠崎由希です。あの、あなたは……」

「俺は、五十嵐光一」

「ありがとう、五十嵐くん」

「名前でいいよ。なんか、むず痒いし……。俺も由希でいい?」


 一瞬、きょとんとしたあと――

 ふわっと、笑った。


「……うん」


 頬が、ほんのり赤い。

 さっきまで真っ青だったのが嘘みたいに、少しずつ血色が戻っていた。


(……よかった)


 胸の奥が、じんわりと緩む。


(……ユキ)


 この子が――神様の言っていた相手なのか。

 指にはめたリングに、視線を落とす。

 もう、光ってはいない。

 けど――

 さっき確かに、反応した。


(……じゃあ)


 俺がやるべきことは、ひとつのはずだ。

 ――なのに。

 胸の奥に、引っかかるものが残っていた。

 消えない違和感。

 それが何なのか、このときの俺には分からなかった。

 ――ただひとつだけ。

 この考えが、甘かったことだけは。

 すぐに思い知ることになる。


気になったら☆やブクマがあると嬉しいです!

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