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0-1 プロローグ

ーーこのとき僕はまだ、この先僕の身に起こる信じられないような出来事の数々のことなんて、まったく考えてもいなかったんだ……



 彼女は窓際に立って外の景色を眺めていた。

 その視線の先には、大きな水溜まりのような池がある。この部屋はその少女の寝室で、かなりの広さがある。場所は離れの屋敷の一階の一番奥。


 部屋にいるのはその少女と、もうひとり、彼女の背中をただ黙ってみつめる青年だけ。

 彼はさきほどからずっと、ベッドの上に胡座をかいて座っていた。


 静寂のなか時間だけが過ぎ、そろそろこの沈黙を破らなければ、と青年が決意しかけたそのとき。それまでずっと雲に隠れていた太陽が顔を出し、池の水面がきらきら輝き始めた。

 

 青年は思わず少女の長い髪に視線を移した。彼女のプラチナブロンドは、その光の輝きをぎゅっと凝縮したような眩いくらいの美しさだった。


 この景色を僕はこれから一生忘れられないだろう、そう自分に確かめて、彼はもう一度彼女の髪をじっとみつめた。


 この色を、いや、彼女のすべてをーーその非凡な容姿も、並外れた頭脳も、圧倒的な才能とカリスマも、これまでにいったいどれほど妬み羨んできたか!

 もしその一片でも自分にあればと、何度そう考えてみたことか!


 彼はつい、自分の跳ね返った暗いブロンドの前髪を横目でみた。そして、まるでそれが習慣であるとでもいうように反射的にため息を吐くと、手に持っていた空のティーカップを乱暴にサイドテーブルに置いた。


 部屋に小さく不協和音が響いた。


「今日であなたともお別れなのね、リベル」


 弟の苛立ったため息にふと我に返ったのか、アリスは唐突にふり返り、そういって彼の憂鬱そうな灰色の瞳をじっとみつめた。


 リベルもまた姉の美しい空色の瞳をみつめ返した。 しかしその澄んだスカイ・ブルーに、悲しみや恐怖はぜんぜん見当たらなかった。

 目の前にあるのはただ現実と、決心を瞳に宿した清々しい姉の姿だけ。


 噛みつくように、彼は言った。


「ああ、未来はきっと楽しいだろうね。姉さんの心臓病を治せるのがあと何年後か知らないけど、少なくとももう、頭のいかれた科学者マッド・サイエンティストやら無能な役人たちやらにありがたいお言葉アドバイスをしなくて済むんだから」

 

 彼は急に自分の内側から乾いた笑いが込み上げてくるのを感じ、唇の端を釣り上げて呟いた。


「はっ、やっぱり僕には理解できないよ、天才の頭の中なんて」


 そして一瞬、天を仰ぐと再び真剣な表情に戻って言った。


「これが最後のチャンスだろう?頼むよ姉さん、お願いだから教えてくれ。いったいなにを隠してる?未来でなにをするつもりなんだ?それとも本当に心臓病だとでも?」


 アリスは彼の瞳をみつめたまま微動だにしなかった。リベルは顔を歪めた。


「本当に、このまま行ってしまう気なのか……?」


 彼はベッドから立ち上がった。


 その瞬間、めまいがするのを感じたが、彼は気にせずアリスに近寄った。しかし、彼女は避けるようにまた窓の外に視線を向けた。


 リベルはその背中に向かってまくし立てた。


「僕だってそこまで馬鹿じゃない、とっくに気づいてたさ。あいつと姉さんが、いや、僕以外のみんながなにか隠してるってこと」

ここまで読んでくださりありがとうございます♪

初投稿です。よろしくお願いします。

まだいろいろ要領を得てないので、アドバイス・誤字脱字などありましたらどうぞ宜しくお教えください。

どうかお手柔らかに〜

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