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雲みたいな親友へ
――鉄の扉がバタンッと重たい音を立てて扉が閉まったのと同時に一瞬で、静寂に呑まれる空気。あまりの違いに少し寂しくなった。
「はら、へったなぁ」
そんな独り言を呟きながら俺はエレベーターに向かって進む。するとさっきは目に入らなかった大きな窓を見つける。頑丈に施錠されているらしく開ける事は叶わなかったが、おもむろに窓に近づいて空を見る。
それにしても、月にかぶさるふわふわとしたいくつかの雲を見て俺はふと軽く目を細めてから、誰ともなく「見飽きた雲の形しやがって」と再びごちってしまった。
何となく気分も良かったから、たまにはコンビニで家族5人で食べられる甘いものでも買って帰るとしよう。たしかさっきのスーパーでケーキも割引されてたし、と思いながらタイミングよくやってきたエレベーターに走った。
【まるで羊雲な親子の間に、親友が割り込むのは今じゃない……ってね】
……因みにその日の俺の夕食は無かったし、帰って早々の俺に待ち構えていたのは両親からの叱責と、その背後に隠れて笑う妹と弟の笑い声だった。




