第4章 第5話 バルツァフの日常 帰II
バルツァフ邸に着いたは良いが、屋敷の部屋に招待された不知笑の心情は穏やかではなかった
彼女自身の産まれは貧しくもなく、しかし金持ちという程でもなかったので、ここまで広い部屋に入るという事がなかったからである
一方バルツァフ......アリィの方のバルツァフは
「久しぶり〜、元気だった?お〜そうか、よかった」
ニャアー ゴロゴロゴロ
飼い猫相手にアニマルセラピーを行っていた
アリィは基地に居ても割と抜けた雰囲気を出しているが、あそこまで警戒心を解いた姿は見た事がなかった
「神凪君、ほらそんなに緊張しなくていい。肩の力を抜いてくれ」
「えっいえ、緊張してはいません、はい。」
「ほう、俺にはどうにも慣れない場所と退役少将に話しかけられて緊張してる様に見えるけどな」
「ん〜不知笑君、叩き上げの少将にそんな嘘付いてもすぐ見破られるよ。ねーサファイア」
ニャー
「閣下......そんな」
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翌日 08時23分
「不知笑君、街に行こう。平原でもいいぞ」
「......え?いきなりですか。いやまぁいいですけど。ならまぁ街に行きましょうか」
「よっし!なら善は急げだ!行こう!車は手配してある!」
(これ私が行かなくても1人で行ってた奴だ......)
「あ、先に車に行っててください。直ぐに行きますので。」
「ん、分かった。3分で来てね。」
アリィが部屋から出ると、不知笑は速攻で無線機を取り出して命令を下す
「護衛対象が市街地へ向かう。IR付きドローンを使え、ストロボは無いが小型CIPを使う。国内軍の治安維持に紛れて市街地にも護衛を出せ」
『承知しました。行動を開始します』
「あぁ、以上だ。」
無線機を懐にしまい、机からMP443を取りだし懐に収め、PP-2000を予備マガジン4本と共に鞄に仕舞う。
コートに身を包んで鞄を持ち部屋を出る
「4kg弱位か......ちっと重いか。まぁ大丈夫だろう」
駆け足で屋敷の玄関を抜けるとバルツァフが車に寄りかかり、腕を組んで待っていた
「おっ来た。んじゃ行こうか。」
「はい、所で街には具体的に何をしに行くんです?」
「んー、映画でも見て適当に外食して、あと本でも買おうかなって」
「いいんじゃないですかね」
「キミ、モテないだろ」
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09時41分
「閣下、着きましたよ、起きてください」
「....んぅ...あぁ、着いたのか、今降りるよ」
寝ぼけ眼を擦って車を降りる。
晴天の空からなんの遮りもなく降り注ぐ太陽光をもろにくらい声を漏らす
「うへぇ....明るい.....目が痛い...」
「これが連邦防空軍上級大将ですか」
「キミ、モテないだろ?あと街じゃ敬語抜きで、あとアリィとかアリスとか呼べ。街中で閣下、閣下言われちゃ面倒に目立つ」
「わかった、アリィ」
「.......小っ恥ずかしいな」
「どうしろと」
「まぁいいさ、さて映画館にでも行こうか......と思ったら軍用交通規制か、なんか予定あった?」
「知らないんで多分戦略ロケット軍か強襲軍じゃないすかね」
「んー、ありゃ多分ウチの軍じゃないな、いや武装組織ではあるんだけど」
「........あのマーク、АРМСИСКの.......いやあのパッチは第77親衛戦車連隊んとこの.......」
「よく覚えてるね。にしてもこの戦争、地上軍の連中は思ったよりも複雑に戦ってたのか」
「地上軍だけで済めばまぁ......」




