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強き我らが連邦を~第1次アスティア東方戦役~  作者: 連邦総軍 戦史記録課 ▇▇▇▇少将
第4章 兵に休あり、将に眠なし
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第4章 第4話 バルツァフの日常 帰

9月26日 09時08分


「申請休暇取るのも何ヶ月ぶりかな。覚えてる?不知笑君」


「大体8ヶ月前ですね。それまで日曜祝日以外ほぼ働き詰めで過ごしてましたけど、よく生きてますね」


「人間ってのは案外頑丈なのさ。ん、そろそろ着くかな」


「思ったんですけど、目的地って何処なんですか?秘書兼護衛だから着いて来てるんですけど」


「あぁ、僕の...?まぁうん、僕の家だよ。暫く開けてたけど、退役軍人のボーイとメイドを雇ってる。多分綺麗だ」


「......え?休暇取って家に帰るんですか?え?上級士官って勤務時間終わったら帰れるんですよね?」


「片道2時間半とか、僕の勤務時間から考えたら基地で寝泊まりした方がいい。」


「あぁ、そういう.....」


不知笑は何かを察して哀れみの目を向けていた


━━━━━━━━━━━━━━━

短いブレーキ音が響いて車が止まる

基地どころか市街地からもかなり離れた郊外にある家にようやく着いたのだ


「あい、着いたよ。降りて降りて」


「随分郊外に有るんですね......デカすぎません?」


「うちの持ってるカントリーハウスの1つだね。バルツァフ家ってのはここら辺を統治してた辺境伯家だったから」


「いい所のお嬢様ってのは聞いてたけど、これは凄いじゃないですか、なんで今まで言わなかったんです?」


「過去の栄光だからさ、凄いのは先祖であって、僕じゃない。」


(親衛防空軍上級大将は十二分に凄いのでは?)


家......というか屋敷の大きさに驚いている不知笑とは真逆に、バルツァフはてくてくと門前まで歩いていく

790㎡の敷地を囲む高さ3.5mの壁、それを抜ける方法は、南と東に設けられた2つの門だけである

警備の人間に声を掛けて門を開けさせると、さながらカントリーハウス、知らない人間が見たら


「......そこら辺の高校よりおおきくないですか?」


と言う程の大きい屋敷がなんの遮りも無く鎮座していた

敷地内には何人かの警備部隊が在中して日夜警備に当たっているが、今日は家主...というか連邦軍のお偉いさんが来るからか、少し人数が増えている


「バルツァフ閣下、一つ気になったことが」


「なんだい?この屋敷の維持費かい?」


「いえ違います。ここの警備兵、国防省の人間じゃないですよね。あの〖АРМСИСК〗(アームシスク)のワッペン......PMCじゃないですか」


「......あぁ、あれね。僕の親がАРМСИСКのお偉いさんと仲が良くてね、その伝でここの警備をしてる」


「ARMSIの実働部隊......金さえあればなんでもする様な連中、信頼出来るんですか?」


「彼等は金よりも信用で動く。目先の金で裏切れば二度と依頼は来なくなる。だから彼等は信用できる。連邦軍(うち)よりも信用を大事にしてるんじゃないかな」


「それにАРМСИСКはセキュリティ部門であって、傭兵じゃないよ。」


(そう、"表向き"は傭兵じゃない。"表向き"は)


━━━━━━━━━━━━━━━


数分歩いた末に屋敷の玄関にたどり着くと、バルツァフは自らの手で両開きの扉を開けて中に入る


シャンデリアと埋込み照明を活用したモダンながらも伝統を感じさせる内装デザインの中に1人佇む背の高い老人が居た

初老を感じさせる白髪、深いシワの刻まれた目元にかけられた黒縁のメガネ

トラウザーズに白シャツを着こなしているこの人は......


「アリィ、よく帰ってきた。先の戦争じゃ防空軍の司令官で武勲を上げたそうだな」


「ただいま、ウラジーミルの爺さん。3日4日泊まる事になる、よろしく」


「あぁ、とりあえず上がりや。所で隣のソイツは?」


神凪(かななぎ) 不知笑 補佐大佐です。閣下の秘書兼護衛です。どうぞお見知り置きを」


「イワン・ウラジーミル・バルツァフだ。連邦地上軍退役准将だ」

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