第4章 第2話 バルツァフの日常 議
9月17日 13時27分
「ですから、私としては東方への展開増強は安易に辞めるべきでは無いと言っているのです!」
「バルツァフ上級大将、落ち着け。何も安易に辞めようとは誰も言っていないでは無いか」
「ではこの計画書にある2週間以内に東方配備機の1/4を中央に戻し、2年は国境から3~400kmに飛行場は作らない。馬鹿なんじゃないですか!今の連邦は隣接する国境を増やして仮想敵国を増やしたんです!あなた方も空軍将校なら━━」
「いやしかし占領地に滑走路を作るのは住民の反感を.......」
「あんたは市街地のど真ん中に空軍基地造る気なのか!えぇ!?」
「この財政で無駄に軍事費を使うのもだな━━━」
「なんで戦勝国が占領地で自腹切るんです!賠償金から使えるでしょうに!しかも撤収だけでこの予算つぎ込んでそれ言うか!」
「ええぃ!新参者の上級大将が何を!コネと家系で上層部に入れた小娘ごときが!」
「歳だけ食った金食い虫こそ何を言うか!大体家系は貴様もだろうに!しかもそういう貴様は前線視察もドクトリン考案もしていないでは無いか!ケツで椅子拭いてる暇あるなら」
「バルツァフ君、落ち着け。」
「っしかし!......いえ、ノインアハト上級大将......すみません。度が過ぎました」
「はん。小娘は結局小娘だな。」
「シュテルビッツ大将、貴様は今すぐこの部屋から出ていきたまえ。」
「は?」
「この部屋から出ていけと言っているのだ。貴様のこの計画は杜撰にも程がある。しかもなんだこの予算は。貴様の所には後々私の所の空軍憲兵が監査を入れる。」
「なっ...待ってください、これはあくまで多めに予算を取っただけでして...!」
「御託はいい。憲兵、連れて行け。」
シュテルビッツが憲兵に腕を取られて連れ出される。
連邦は新しいと言っても旧軍時代の腐敗した連中がいくらか残ってたりする、特にお上に。
「申し訳ありません、ノインアハト上級大将。度が過ぎました...気をつけます」
「...まぁ、君が悪くないとは言わないが、わたしは君のその姿勢が好きだ。やはり若者に託すべきか......」
「いえ、私は閣下の様な、空軍を知り尽くして、兵にしたわれる将官は、閣下のような方であるべきだと考えています」
「話題が逸れたな。私の悪い癖だ。話を戻そう、空軍戦力の撤退に関してだな」
「はい。私的には先程述べた通り、早急過ぎると、なので撤退するにしても長期かつ段階的にするべきだと思います。」
「私も同意見だ。占領地は国外展開扱いにするか国内展開かで再検討しよう。管轄は東方で問題ないな?」
「えぇ...ですが管轄地が増えるので...そうですね、少将を1人いただきたい。」
「承諾した。こちらから1人回そう。多少硬いが論理的に話せば物分りも良い。」
「ありがたいですが、いいのですか?閣下の元に居るべきだと思いますが」
「構わん。君ならより有効に使えるだろう。」
「ではありがたく貰い受けます。」
「ならば会議はここで区切ろう。諸君、解散だ。お疲れ様」
「バルツァフ君は少し残ってくれ。」
「は...はぁ...」
他の大将、中将達がぞろぞろと資料を纏め退出していく。
数分の内に部屋から2人以外が消える。
何やら重苦しい雰囲気が流れ、バルツァフの方は少し緊張している
「さてバルツァフ君。」
「なんでしょう。」
「君も分かっていると思うが、空軍上層部の腐敗した連中は、君の事を鬱陶しく思っている。君が新鋭機やエースを引き抜いた事で逆鱗に触れたのかもな」
「つまり、私は左遷か降格......何らかの妨害を受けると?しかし私をそうする事の出来るネタはないでしょうに。」
「あぁ、君を穏便に妨害する手段が無いならば、過激な手を打って来るかもしれない。十分に注意してくれ」
「了解しました、ご忠告ありがとうございます。」




