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強き我らが連邦を~第1次アスティア東方戦役~  作者: 連邦総軍 戦史記録課 ▇▇▇▇少将
第3章 裏舞台の立役者
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第3章 UNKNOWN CONTACT

SL(シエラ リマ)よりTL(タンゴ リマ)へ。右前方、本体4200m先に熱源反応を発見。念の為斥候各車を停止させます」


「敵か?」


「それが……よく分からないのです。目標は森林の中にいて、その上何故かFLIRが通らんのです。」


「……了解した、斥候はそのまま。本隊到着後に歩兵をおろし接近しよう」


本隊が巡航速度28kmから40kmへと速度を上げ、斥候との距離を縮める。全周警戒をおこないつつ本隊と斥候まで1300を切ろうとした時

耳をつんざく声が無線機越しに飛び込んできた


SL(シエラ リマ)よりTL(タンゴ リマ)へッ!我正体不明の敵性勢力と交戦ッ!先程報告した物と思われますッ!数18!至急援護をッ!」


「TL了解、急行する。可能ならば詳細を報告せよ」


「信じもらえないでしょうがねッ!ロボットみたいなヤツですッ!全高は7~9mッ!武装はロケットと重機関銃ですッ!ATM持ってる奴も居んのかッ?!クソッ!2車がやられたッ!」


「連中ヤケに速いッ!各車エンジン焼き尽くしてもいいからなッ!全速後退ッ!後退ッ!小隊長ッ!奴ら60kmの後退に付いてきます!ッ跳んだぁッ?!」


その通信の直後、稜線を駆け上り、その『敵』が見えた

機械的な四肢に、生物の欠けらも無い、甲冑の様な頭

胴体は短く、センサー類が露出している


「TLよりSLへ、こちらも視認した。各車次弾ATM(レフレークス)ッ!行進射ッ!……ッテェ!」


「2発命中!効果ありッ!各車自由射撃ッ!車長はRWSで応戦しろ!」


「小隊長!奴ら有人機です!30mm、しかも榴弾ですら効きますッ!ですが連中のロケットはこっちの天板をぶち抜けます!2車はエンジンルームを抜かれました!」


着実に損害が出ていくる。小隊という体は、少しずつその力を奪われる。

しかし、いくら一端の兵士と言えど彼らは連邦の誇る機甲部隊の一員である

既に敵の半数を撃破し、偶然と言えども十字砲火による撃破戦術を編み出していた


「こちらSL3車ッ!車体に取り付かれましたァッ!」


「SL5車ッ!俺がたたき落としてやるッ!体制を維持しろッ!」


「クソッ!早く叩き落としてくれッ!ハッチをこじ開けられるぞッ!」


2A72機関砲が駆動音と共に指向し、激しいフラッシュを炊きあげながら轟音を撒き散らす


徹甲弾は左腕から胴体を削り取り、巨人は糸の切れた人形の様に、地面にその身を落とした


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「小隊長……こいつらなんなんです?共和国の連中でしょうか……」


「……捕虜に聞こう。2人捕らえたんだな?」


「えぇ……1人は怪我が酷いですが、もう1人は無傷です」


「案内しろ」


敵は全滅した。しかし小隊はBMPを3両損失1両中破、BTR2両中破、T-90は1両中破、4両小破


人的被害はBTRとBMPにT-90の搭乗員、合わせて11人が重軽傷、6人死亡


弾は4割、燃料は3割消費

ERAもいくらか剥がされている


そんなこんなで彼女が案内されたのは、中破したBMPの側面、取り付かれた3車である


「貴官の所属、氏名、階級と番号をいえ」


「……共和国第1機械歩兵中隊 ジャン・ライアン二等軍曹 登録番号58-442-87」


「ふむ……尋問は任せろ、他のやつにやらせたら何をするかわからん……私もだがな。副官、部隊は任せた」


「わかりました……おい!バルク伍長!小隊長と捕虜を見ておけ!」


「了解しました副官!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「さて軍曹。君に聞きたいことは諸々ある。」


「何だ?知ってる事ならなんでも話してやる。俺はFSBの拷問なんざ受けたくねぇからな」


この反応に彼は違和感を覚えた。元来兵士ってのは薄かれ厚かれ忠誠心と愛国心を持つものだ

だがこの兵士はなんといった?”なんでも話してやる”だ、普通とは言えないだろう

彼は自身の興味に惹かれ、こう口にした


「貴官、何者だ?」


「……んだあんた?記憶力ニワトリか?よく小隊長までになったな」


「ふん…検討違いか?俺はてっきり、軍曹……あんたをスパイかなんかだと思っちまった」


軍曹はそれに答えず、しかし目付きが変わる


「FSBってのは拷問なんかしない、軍属相手ならさらにな。それにあんたは”なんでも話してやる”と言った。共和国の人間じゃねぇな?」


「それに……あんたの共通語、アスティア訛りがある。連邦の人間か?」


軍曹は答えず……こちらの目を見ていなかった

彼の顔はこちらに向いているが、目は伍長を見ていた


「伍長」


「はい、小隊長」


「外せ、仲間と軽食でも食ってこい」


「ですが……」


「構わん、外せ」


「……了解」


伍長は敬礼をして振り返ると足早に去っていった


「……これでいいか?」


「察しのいい軍人で助かる……改めて自己紹介だ。」


「アスティア連邦地上軍 対外潜入工作局 対共和国軍潜入課 ビショップ・R・ブカチェック特務准尉」


「アスティア連邦地上軍 東部方面軍 第114機甲大隊戦術群 第2中隊 第1小隊 小隊長 イヴァン・A・グリンスキー少尉」


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