第3章 シャークハントと波の予兆
「生きた心地がしなかった。被害は?被弾してないか?」
「あぁ、どこも被弾してねぇ。ハインドと睨み合った人間なんか俺くらいだろ」
「文句言ってるとこ悪いがまだ仕事は終わってない。さっさと目標を始末するぞ」
「給料分の仕事はしたはずなんだがなぁ」
機体をひねり、また魚雷艇の捜索を始める
燃料は残り48%、あと十数分は捜索できる
「機関砲残弾167発、イグラ残り7発。ATMとロケットは全弾残ってる」
「フレア残り67発、DIRCM異常なし。順調っちゃ順調だな」
「あぁ、ちょうど母艦から目標の予想ポイントが送られてきた」
「おっし、さっさと撃破して帰るぞ」
「目標まで4分、距離4kmで交戦する。Ataka準備。」
島と島の間を潜り抜け、適切な攻撃地点へと向かう
途中パチパチと撃ってきた敵の歩兵を30mm弾で吹き飛ばしつつ、攻撃ポイントでホバリングした
「目標補足、レーザー照射。ロック解除、射撃モードリップル、2発」
「弾着2点、カサッカ1-1Ataka発射。」
Ataka発射機の赤い蓋が破壊され、風と発射機を擦るような音と共に両方のパイロンから2発のAtakaが発射される
「弾着まで7秒……目標周辺の1部船舶が移動を開始、加速中」
「4…3…2…1…弾着、目標に命中。弾薬に誘爆」
「派手に吹き飛んだな、終わりだ」
「さっさと帰ろう。こんな場所に居たくねぇ。」
「カサッカ1-1 任務完了、帰投する。」
「プライフカ了解。艦橋からも爆炎が見えたぞ、派手にやったな」
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「カサッカ1-1が帰投、収容準備」
「目標は達せられたようです。これで安心……でしょうか」
「そう思うしかないだろうな……速度をあげよう、21ktまで増速、沿岸19kmから砲撃を行う」
「……いいのですか?地対艦ミサイルの危険が大きすぎます」
「空母航空団からの報告により、既に敵の地対艦攻撃能力は極端に低下したと判明した……が、自走沿岸砲の脅威を考慮し第一段は20km弱に艦隊を置き行う」
「了解しました。では方針をこれとして各艦長と臨時作戦会議を開いてさらに作戦を練りましょう」
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共和国領 連邦軍占領区域
連邦地上軍前進基地G-44
作戦会議室
共和国防衛ライン攻略作戦 作戦会議
チョールヌイ・ナザレンコ中佐 第114機甲大隊戦術群 指揮官
清桜七瀬大尉 第1機甲中隊 中隊長
ウラジーミル・ジューコフ大尉 第2機甲中隊 中隊長
アレクサンドル・ブルファ大尉 第3機甲中隊 中隊長
ジョン・A・ランカスター大尉 第1機械化歩兵中隊 中隊長
ダン・シモンズ大尉 第2機械化歩兵中隊 中隊長
以下 副官 政治将校 情報将校 斥候部隊指揮官
「全員揃ったな?ではこれよりマルギンスク-デュオバンを結んだ防衛ライン、MDラインの突破作戦に関しての会議を始める」
「ここからは大隊副官イヴァン・タジンスキーが説明します。」
「説明を始めます。我々は74kmのラインの内、海岸から北方までの14km、そして東方35kmまでを浸透攻撃範囲として担当します。そして彼我の戦力差。航空偵察によると、敵の機甲戦力はT-72がおおよそ80 BMP-1が51 BMP-2が77 BTRが19~26。ただいずれも旧式で、T-72はBMのFCSを外国のTURMS-Tに換装したものがいくらか混じっているようです」
「対してこちらはT-90Mが各指揮官車両合わせて3個中隊112両、随伴にBMP-3Mが30両に、BMPTが57両。そこに機械化歩兵中隊のBMP-2MやBMP-3Mがあわせて210両と数においても質においてもこちらが勝っています」
「また火力支援に関しても、増援として南部方面軍から第774自走砲連隊、第148自走防空大隊が我が大隊の後方3〜12km地点に随伴し、さらに海軍第2空母打撃群から抽出された駆逐艦3隻とフリゲート1隻が艦砲射撃にて逐次援護砲撃を叩き込みます。」
「次に歩兵戦力。我が方は各戦車中隊の歩兵合計360人と機械化歩兵中隊の600人が合わさり960人となります。敵は分散配備であり、すべて合わせても1個歩兵大隊と2個中隊、900〜1200程度と思われます。よって大量のロケット、砲兵隊による30分間の準備砲撃の後に、TOS-1Aによる随伴砲撃支援を受けつつ、第1機械化歩兵中隊にベロレチェンスクを、第2機械化歩兵中隊がアルマザスを制圧します。市街制圧の8分後に後半から3個機甲中隊が進撃して敵陣地を突破。後方まで進撃します。」
「各中隊の配置は手元の資料を確認してください、そして各機甲中隊は交戦開始後の戦闘行動は縦深攻撃ドクトリンに則り、敵の撃滅のみを目標として、残敵相当は後続の第2梯団、または機械化歩兵中隊に任せてください」




