第2章 7話 点の占領、線の攻撃
キンジャールの着弾で抉れた地面から地下の通路が露出しており、残敵掃討の為その通路に踏み込んだ
通路の幅は横2m縦2.4m程
通路は格子状に広がってる様で所々に扉がある
「こちら1班 フェリックス現在トンネル周辺を制圧中、2班報告せよ」
「こちら2班 ヴィクトル。現在地下通路内に入り制圧中」
「1班了解制圧を続行しろ、3班報告せよ」
「こちら3班 ユーリ。燃料タンク周辺を制圧、随伴の分隊と合流しました」
「1班了解制圧を続行しろ、4班報告せよ」
「こちら4班 ヴァルクス地下から上がってきた敵兵1個分隊を射殺、地下への出口も破壊しました」
「1班了解、全班友軍誤射には十分注意しろ」
地下の通路を制圧しながら進んでいくと、あるの部屋から人の声が漏れていた
「クソ!どうする、武器庫は真反対だぞ!」
「このままここで隠れようぜ!地下への道はちゃんと隠してある!バレやしない!」
「敵は1個小隊だけなんだろ!ならさっさと武器を取って殺しに行くべきだ!」
何やら言い争っている様で、その声の数からおおよそ10人ほどがいる事がうかがえる
後ろの4人とジェスチャーとアイコンタクトでやることを確認する
グレネードのピンを抜きエカテリーナが少し扉を開ける
その隙間から投げ入れすぐに扉を閉め離れる
2秒後、爆風と共に扉が吹き飛ばされた
AKを構え突入する
中にいたのは見える範囲で13人、全員倒れている
一人一人に5.45×39mm弾を撃ち込み確実に射殺する
合計で20人が部屋の中にいた
同じように格子状に広がる通路に散在していた部屋をクリアリングしていく
合計で宿舎×12 食料弾薬庫×21を制圧した
「こちら2班 ヴィクトル。地下通路の制圧を完了しました。」
「1班フェリックス了解。地上へ上がり戦車の残骸へ集合しろ。後の事は集合してからだ」
「ヴィクトル了解。戦車の残骸へ集合します」
指定された地点に着くと、そこはあまりにも酷い有様だった
キンジャールが直撃したのか複数の戦車は原型を留めておらず、その他の戦車も砲塔が外れたり横転していたりと、短距離と言えど弾道ミサイルの名に恥じない威力を見せつけられた。
「2班、死者負傷者いません。食料弾薬庫を20箇所ほど見つけましたが、地下の燃料貯蔵タンクはありませんでした」
「ほう、それだけあれば上出来だ。よくやった」
そして続け様にこう続けた
「東部方面軍司令部から直々のお達しだ、読み上げる」
『先の補給地点特定並びに……』
「……あぁ、ここら辺はいいだろう、要点を伝える」
『敵の中隊規模機甲部隊がその地点に向かっている。接敵は16時間半後、0327だ。そしてその4時間後、陸軍のヘリボーン部隊と空挺軍が貸し与えたAn-225が旧共和国領から陸軍1個機械化歩兵大隊と2個建設中隊を輸送する、そこから1週間掛けて1個師団を輸送する、諸君らはそれまで地点維持に努めよ』
「ただ3時間後に、二波にわけ友軍機が重装備並びに1個中隊をここに投下する、敵の防空網が再活性化したらしい。防空軍が再度敵レーダー網を制圧するのは最短で6~7時間後だ。一度に2機の低空侵入による増援投下が限界らしい」
部隊の間に重い沈黙が走る。当然だろう、字面だけなら中隊対中隊、しかし空挺軍のそれは陸軍のそれの2/4程の戦力、それに重装備も足りない。そんな僅かな戦力でここを守れと言うのだ。
分隊長が再び口を開く
「まぁ、そうなるのも分かる、が。」
と、そこで言葉を区切る
「諸君らは、自分達のいるところが分からない訳では無いだろ?ここには新品同然の重装備が大量に保管されている。さっきまでは連中のものだったが経った今からあの装備は全て我らの物だ!今の我らの装備は陸軍の大隊に近い!最も扱う人手が足りないがな!がはは!」
小隊長のその言葉に、少し場の空気が柔らかくなるのを感じた。しかしその言葉は、軽い口調とは裏腹に、現在の我らが置かれている状況を確かに表していた




