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強き我らが連邦を~第1次アスティア東方戦役~  作者: 連邦総軍 戦史記録課 ▇▇▇▇少将
第1章 碧空駆ける黒鷲
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第1章 第27話 死闘の末に

「亡命……了解した、残燃料は?武装は積んであるか」

「増槽分はそろそろ切れるが機体燃料は満タンだ、巡航速度ならあと1300kmは飛べる。武装はAIM-9X(サイドワインダー)が2本、AIM-120(AMRAAM)が4本だ」

「了解した」

これからどうしようかと考えているとアスカから無線が入る

「グーズ、ランドバルデンから最優先命令が」

「なんて言ってる」

「グラーク隊全機で護衛しランドバルデンまで誘導せよ、だってさ」

「承諾した……グラーク隊、空対地支援を中断しセクターD8で合流、対象を護衛しつつランドバルデンまで帰投する」

「グラーク2-1ツェルニ了解、周辺の機体と合流しつつD8へ向かいます」

「以後護衛対象のコールサインをBrave man(勇者)とする」

「面白い事を……」

そして俺たち4機が戦域に再突入するまであと4分という時

「!後方からレーダー照射!回避!回避!」

「なッ!追手がいたか!クソ!」

突如後方から火器管制レーダー(FCS)を照射され、慌てて回避に入る

「……ッ!後方の所属不明機(アンノウン)に告ぐ!こちらはアスティア連邦防空軍所属第112戦闘飛行隊である!直ちにレーダー照射を停止せよ!これは戦闘行動と見なされるぞ!」

返答はない

「繰り返す!こちらはアスティア」

もう一度警告しようとした瞬間、ミサイルの接近警報が鳴り響いた

「クソ!グラーク1-1エンゲージ!所属不明機(アンノウン)と交戦する!アスカ!Brave man(勇者)を連れて早く戦域に戻れ!」

「でもそれじゃ!」

「構わん!護衛対象を守りきれ!これは上官命令だ!早く!」

俺はアスカに命令を飛ばしながらCMを展開しつつエンジン出力を絞り、空になったウェポンベイを投棄する

既に機体は敵機とヘッドオンの状態となっており相手との距離もわずか6kmとなっていた

こちらもレーダーで相手をロックしようとするが、安定しない

「ステルス機か……合衆国めッ……」

あっという間に距離が詰まり、相手のシルエットがはっきりと映った

そして互いに機体を傾け、背中合わせで交差する

「やはり同型……勝てるかッ?!」

いや、勝つしかない。こいつをおめおめと逃がせばあいつらじゃ勝ち目がない

幸い相手は先にこちらを叩こうと急旋回を掛けてきた

負けじと急旋回を掛け、再びヘッドオン

今度は同じ方向に回避し、シザース機動に移る

ラダーを蹴り、操縦桿を目いっぱい引く

相手が射線に入りそうな時にトリガーを引く

ミサイルはロックできるが撃ったところで近すぎて当たらないだろう

相手の機関砲弾が掠める

「ックソ!ケツに付かれたかッ!」

必死に機体を振り逃れようとする

「諦めたらどうですか、スホーイのパイロット」

「諦めるだぁ?ははっ、面白い事を」

「何が面白くて?あなたの負けは"確定的"ですが」

「確定的か……はん、あまり人を見くびるなよ」

そう言い放った俺はエンジンを限界まで絞り、操縦桿を一気に引く

「コブラ機動ッ!この速度でッ?!」

「ただのコブラじゃねぇぞッ!」

そして左足を踏み込み機首を一気に下に向ける、そこには背中を見せた敵機がいる距離は100mもないだろう

既に機関砲のトリガーは引かれ機首の付け根から放たれた100数発の30mm徹甲焼夷弾は敵機のエアインテークから左エンジンノズルまで、ミシンのように縫って行った

2秒もない、瞬きの間に俺は敵のパイロットと目があった気がした

「まさか……この"ラプター"が……最強と謳われた第5世代機が旧式のフランカーに……」

エンジン出力を最大にし機体を引き起こす

「そんな事を言ってるから負けるんだろうな。とりあえず3次元ノズルにしてから出直してこい。」

燃料に引火したのか"ラプター"はその身体を縦に割かれ、地に墜ちた

「ランドバルデンよりグラークリードへ、私だ、バルツァフだ」

「……こちらグラークリード」

「やってくれたな……全く、まずいことになるぞ」

「申し訳ありません」

「軍法会議か……どうなるか、合衆国との関係も……」

「返す言葉もありません」

「とりあえず、基地に帰還しろ。話はそれからだ」

「了解しました。グラークリードRTB」

所属不明機(アンノウン)が亡命を希望し、さらに別の所属不明機(アンノウン)が連邦防空軍との空戦の末撃墜された

「合衆国空軍機亡命撃墜事件」この出来事に対し後世の歴史家はそう名付けた

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