第1章 第26話 《アンノウン》
「グラーク1-1、爆弾投下!」
「グラーク1-2、爆弾投下!」
無人機集団突撃を見届けた後、前線の陣地に対する精密爆撃を行っていた
「……2…1…命中!敵戦車撃破!敵戦車撃破!」
「いい腕だ荒鷲共!次も頼むぞ!感謝する!」
「礼はいい、生きて帰れよ。」
陣地を吹き飛ばした所で次から次へと湧いて出てくる
「次も戦車陣地だけど、KAB-500はあと1発だけか……」
「1番近いところは戦車2両とIFVが4両……戦車は爆弾で、IFVは機関砲で撃破する」
「機銃掃射ね……Su-25はどこに行ったのよ……」
「これもデータ収集の一環だろう、やるしかない」
「了解……」
「こちら第2戦車大隊隷下第7戦車中隊ゲオルグ中尉だ!現在中隊進行方向11時の陣地からの攻撃で足止めされている!さっさと吹き飛ばしてくれ!こっちでレーザー誘導する!」
「了解した、9ラインは」
「んなもん言ってる暇はない!デンジャークロースだ!」
鬼気迫る声には有無を言わせぬ迫力があった
「了解、敵戦車にレーザーを合わせろ。両方だ」
「わかった!さっさと吹き飛ばしてくれ!」
「3…2…1…ボムズアウェイ!」
「ボムズアウェイ!」
誘導は地上軍に任せ機銃掃射に移る
機首を上げつつ180°ロールで急降下に移り、CCIPをIFVに合わせる
「2秒だ、それで仕留める」
「ウィルコ」
4500……4000……3500……3000……2500……2000
「「グラーク1-1/-2!ガンズガンズガンズ!」」
2機のSu-35から放たれた数十発の30mm徹甲弾は2両のIFVの車体天板を貫通し、車内から炎が吹き出す
「40秒後、もう一度だ」
「了解、着弾後だね」
理解が早くて本当に助かる
「戦域コマンドよりグラークリードへ、所属不明機2機接近、方位3-4-1、速度1320、高度240、戦域侵入進路、推定20分後に境界に接触。僚機と共に接触しろ。対地支援は第4空中随伴中隊が引き継ぐ、既に通達済みだ」
速い……友軍か、でなくても敵でなけりゃいいが
「240?!間違いないのか?」
「ああ、機数2、方位3-4-1、速度1320、高度240、推定20分後に戦域に侵入する」
「グラークリード了解、対地支援を中止し方位3-4-1へ向かい所属不明機へ接触する」
「所属不明機のレーダー反応は不安定だ」
ステルス機……味方の可能性は消えたな……
「……行くぞアスカ、気を引き締めろ」
「了解、ゴーストであって欲しい……」
「ゴーストならば、それはそれで大問題だな」
フォーメーションを組み直しアフターバーナーを吹かす
ベイパーコーンを振り払い高速で接近する
「グラークリード、所属不明機を目視で補足、接近する」
「戦域コマンド了解、グラークリード十分に警戒しろ」
(言われんでも分かってるっての)
機体を左に傾け交差状態から進行方向を揃えさらに近付く
(あのシルエットはまさか……)
「所属不明機に告ぐ、こちらはアスティア連邦東部方面防空軍所属第112戦闘飛行隊である。貴機の所属と目的を明らかにし、速やかに180°反転せよ。貴機は戦闘地域に侵入しようとしている」
「…………」
反応しない
「所属不明機に告ぐ、こちらはアスティア連邦東部方面防空軍所属第112戦闘飛行隊である。貴機の所属と目的を明らかにし、速やかに180°反転せよ。貴機は連邦と公国の戦闘地域に侵入しようとしている」
「…………こちらはステールリナ合衆国所属第77飛行中隊」
「……合衆国……目的はなんだ」
しばしの沈黙、戦域突入まで残り6分ほど
「あんたらの国に……アスティア連邦に亡命したい。ただそれだけだ。頼む、どうかお願いだ、俺"達"を助けてくれ」




