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強き我らが連邦を~第1次アスティア東方戦役~  作者: 連邦総軍 戦史記録課 ▇▇▇▇少将
第1章 碧空駆ける黒鷲
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第1章 第10話 転機Ⅸ

そうバルツァフが話しながら歩いているとブリーフィングルームに到着する。

「あーっとホワイトボードホワイトボード」

そう言いながらホワイトボードを運び出してきて、そこにいくらか磁石とマジックを取りだして来て置いておく

「さて、ざっと報告してくれアスカちゃん」

アスカは少しずつ話し出す

「んと……交戦開始はポイントA通過……えっと護衛対象の爆撃隊と合流してから40……」

「45分だな」

俺は膝に取り付けていた記録用紙を見ながら言う

「そう、45分だ、ジャストでAWACSから爆撃隊の飛行隊長を経由して敵の迎撃が近付いてるって通達がきて、グラーク隊の14機で遊撃に向かったんだ」

「ふむ、一応聞くがあってるな?グズネツォフ君?」

ざっと確認する

「あぁ、あってるな、補足するなら最初迎撃に来てるのは相対速度からファントムって言われたが、直後すぐに1500km/hまで加速したからF-15だとわかったんだ」

「なるほど、それで?」

バルツァフは続きを聞く

「んーとね、F-15だから万全を期して二段撃ちの構えを取ったんだ、これはグーズの命令でね、後列のK-77で3機撃墜して……んで前列のERで1機落としたんだよ」

バルツァフは報告をホワイトボードに書いていく

「2段撃ちの時の隊形はなんだい?V字?」

「そうだね、V字隊形だったよ」

ホワイトボードの空いているところに図を描いていく。

「その後は?格闘戦かい?」

「そう、データ収集の為にも他のSu-35はカバーに回らせて、2対2の格闘戦に移行したのね、んで…」

「失礼します、現像が完了したので持ってきました、入室しても?」

解析班だろうか、若い爽やかな声が後ろの扉越しに聞こえる

「うん、入ってくれ」

バルツァフがそう言うと

「失礼します!解析と現像が終わりました!……どうぞ、いいのか悪いのか……ノルマン連合の空軍旗が写っていました……」

んむ……想定していたとは言え結構なショックだ

バルツァフを少し頭を押え呻く

「……ありがとう、今日は休んでくれ、明日から忙しくなるだろうからな」

バルツァフが労いの言葉をかけると

「はい!それでは失礼します!」と敬礼をしてから踵を返してブリーフィングルームを出ていった

そして彼女は受け取った写真を貼りながら

「ぁぁぁぁぁ……………」

と蚊の羽音のような声を出し頭をさらに抱えソファーにボスッと座ってしまった

俺たアスカはボードに近づきその写真をまじまじと見る

複数枚の旋回中のF-15とその両翼ときたい側面を拡大した画像が8枚。

目立たないよう白と灰色を基調として右翼には赤みがかった、左翼には青みがかった桜の花が描かれていた

無駄に凝ったこの空軍旗は間違いなく、ノルマン連合空軍の、それも西部方面軍のものだ

色々と考えているとバルツァフがバッと立ち上がり

「見てわかる通りノルマン連合の西部方面軍……対連邦を主眼に置いている部隊だ……」

「どうして西部方面軍ってわかるの?」

アスカは連邦空軍兵学校、つまりパイロットを育て上げる軍学校の出なので敵機の所属の区別などは苦手な様だ

ちなみにバルツァフなどの高級将校は空軍上級士官学校等に入るのが確実なルートである

「右翼の赤色はどの方面軍でもそうだ、まぁ例外はあるがな。んで左翼の青はこの地で稀に咲く青色の桜が由来なんだ、見た事あるけどほんとに綺麗というか……美しかったよ」

「見た事あるんですか?!あれを?!」

「あぁ、長期休暇を貰えた時があったんで、その時に行ってきたんだよ、ちょうど数本咲いているって噂で聞いてたしね」

数本……稀に……だいたい70~100年に数本咲くのだから相当に運が良かったのだろう……羨ましい。

「まぁどの道不味いことになったのには変わりないね、有りそうなのは極秘裏に連合が武器どころか義勇軍まで援助しているってところだ」

「ふむ……連合が援助を行っていることは公にはなっていないんだから、恐らくあちらさんは開戦したくないんだろうけど……義勇軍を送って時間稼ぎをして……」

連邦と同程度の軍事力を持つ”あの帝国”の参戦を待っているのか……

バルツァフも同じことを考えていたのか互いに顔を見合わせてため息をつく

「とりあえずこの事は早急に話し合わなくてはならないねぇ……基地から衛星通信でやるのが手っ取り早いけど時間も時間だ、2人とも休んだ方がいいぞ、僕はこの事に関して少しまとめてから寝る事にする。」

するとバルツァフは立ち上がり写真をパッパと集めて懐にしまう

「それじゃ、おやすみ〜」

「おやすみ〜バルちゃん」

「おやすみ、ササッとまとめて寝た方がいいと思うぞー」

そう言うとバルツァフは左手を肩より少し上くらいにあげて親指を立てながらブリーフィングルームを出ていった

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