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東方連小話  作者: 北見哲平
小野塚小町 〜 死神と少女と赤いスケジュール帳
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小野塚小町 - その3

「おっと!」

 空気すら切り裂かんとする速度で襲ってきた風の刃を、あたいは余裕を持って、最小の動きでギリギリかわした。どんなに速い攻撃でも、あらかじめ来ると分かっていればどうにでもなる。昨日男から聞いた話より、相手が高速の遠距離攻撃を繰り出して来るのは分かっていた。

 不意打ちとも言える相手の先制攻撃を、あたいは一歩も動かず上半身を右に捻るだけの動きでかわした。ただ、その刃は確実にあたいの首を狙っていた。何の躊躇いも無く首を刎ねに来るとは恐ろしい奴だ。


 しかし成程。ギリギリでかわしたことで刃の正体がよく分かったし、これで碑妖璃に対するいくつかの疑問が解けた。

 風の刃の様に見えた攻撃は、碑妖璃から繰り出されたものではない。

 小動物の姿をした妖怪「鎌鼬かまいたち」が、あたい目掛けて突っ込んで来たのが辛うじて確認できた。名前の通り鼬の様な外見に、カマキリの様な鋭く曲がった両腕。昨日の男を殺したのも、森の木々を切り倒したのもこいつの仕業と見てまず間違いないだろう。

 刀の様に研ぎ澄まされた両の腕が超高速で対象に襲い掛かるのだから、例え木であろうが、石であろうが、首であろうが、何の抵抗も無く切り裂いてしまう。あたいが鎌を振り下ろした時の威力など恐らく比ではないだろう。

 十分に注意した方がよさそうだ。あれをまともに食らったら一発で負けだ。いくらあたいが妖怪で死神でも、体を分断されて生きていられる保証はどこにもない。

 ふっふっふ!実は、サボりの化身であるあたいの本体はこのスケジュール帳なのさ!なんてことは、まずない!


 そしてそれと同時にもう一つ分かったこと。碑妖璃が纏っていた妖気は彼女自身のものではない。彼女が従える妖怪が放っていたということだ。そして、あたいがずっと感じている妖気の強さは、決して鎌鼬だけのものではない。

「鎌鼬とは、死神のあたいに対して対抗意欲を燃やしているってことかい?……しかし驚いたね。もしかして友達とか言っておきながら、あたいのことも式神にするつもりだったとか?……でも残念。あたいは自由気ままにサボりながら生きて行くのが好きなんだ。誰かに行動を制約されて生きていくなんて死んでもごめんだね」

 あたいがそう言うと、碑妖璃は少し驚いたような表情をするが、すぐにクスッと、不敵で素敵な笑みを浮かべる。

「流石は死神さん、物知りですね。おいで風吟」

 風吟。碑妖璃がそう呼ぶと、さっき真横を通過して行った妖怪が、あたいの右手側に大きな弧を描きながら碑妖璃の方に向かって飛んで行く。

 あれは何て名前だったか?投げたら戻ってくる……そう、ブーメランだ。何となくそれを連想させた。

 鎌鼬は速度を緩めることなく、器用に彼女の肩に留まった。少し間違ったらご主人の首が飛ぶかもしれないのに、大したものだ。……練習したのだろうか?彼女の服がやたらとボロボロなのは、もしかするとただ単に森の地形で痛んだのではなく、こういう妖怪を従えている為かも知れない。でなければ、着るものがあまり無くてただ着古しただけってことか。


「死神さんの言う通り。この子は鎌鼬の風吟ふうた。でも、死神さんは一つ勘違いをしています。風吟は私の式ではありません。大切な家族です」

「ふ~ん、こりゃ驚いたね。ビックリだ!」

 人間と妖怪が家族?

 リアクション薄めのあたいだけど、内心結構驚いている。確かに、今人間の里では妖怪を受け入れる風潮がある。しかし、こんな世間知らずっぽい碑妖璃にまでそれが浸透しているとは思えない。ってか、人間が嫌いって言っていたから論外か。

 そんな余計なことを考えている内に決定的な隙が生じる。碑妖璃の肩から鎌鼬が飛び立ったと思った次の瞬間、非情な刃はあたいの目の前まで迫っていた。


ヒュン


「くっ、かすった」

 全く、死神の首を刎ねようとするなんて穏やかじゃない。

ザザッ

 まるで情け容赦なく、また首を目掛けて飛んできた鎌鼬を間一髪避けたあたいは、反撃に転じようとそのまま振り返る。しかし、その時には鎌鼬の姿をはるか遠くに捉えることができるだけ。残ったのは、確かに何かが首をかすめて行ったという感覚だけだった。僅かだが痛みもある。恐らく出血を伴っていると思うが、今はそんな小さなことを気にしている場合ではない。鎌鼬の動きは予想以上に速い。銭投げで反撃に転じようと思ったが、どうやらそれは不可能だと分かった。目で追うことすら困難な相手を、後追いの弾幕で仕留めることなど出来るはずがない。

「くっ!」

「死神さん。諦めて負けを認めてください。私達は、死神さんを殺したくありません」

 死神を殺すとは言ってくれるじゃないか。どれだけの妖怪を隠しているのかは知らないけど大した自信だ。

 ……でも、

「残念だけど、降参する気はないね。それに、あたいの首もそう易々とくれてやる気もないしね」

 そもそも、勝てる勝負を諦める必要がどこにあるって言うのさ!


「風吟っ!」

 碑妖璃の号令と共に、三度あたい目掛けて突っ込んでくる鎌鼬。

 距離もあったし、首を狙ってくるのはバレバレだったのでよけるのは容易いこと。しかし、これ以上やりたい放題やられるのは流石に癪に障るので、そろそろこちらからも反撃をさせてもらう。

ジャリ

 あたいは懐に隠し持っている小銭を鷲掴みする。あたいにとっての弾幕の弾だ。

「大盤振る舞いだ。取っときな!」

ジャリリリ~

 あたいは景気よく、鎌鼬が飛んでくる方向に向かって小銭をばら撒いた。お金を弾幕代わりに使うとは、なんて罰当たりなことだと言われてしまいそうだが、あたいは神をも恐れぬ死の神。死神の小野塚小町ちゃんだからね!

 まあ実際は、ただサボり好きの一妖怪に過ぎないんだけど……。


 キラキラとよく光を反射する物から、少し手垢や錆で変色している物。鉄製の物から銅製の物まで、それぞれ違った価値や重みを持った小銭達が、ゆっくりと宙を舞う。

 確かに、あたいの弾幕じゃ鎌鼬を捉えることはできない。でも、なにも相手に向かって放つだけが弾幕では無い。相手が飛び込んでくることを見越してばら撒いておくのも弾幕なのさ。

 誰にも批判はさせないよ!


 そんな、迎撃弾幕の中に突っ込んで来る鎌鼬。高い授業料になるかもしれないけど、今後の為にも覚えておくんだね。

 度を越した速さは、弾幕をかわす際には枷にしかならない。当然速度に見合った反射神経を持っていればそれは最強なのかもしれないが、そこまで完全に自分の速さを制御出来る奴なんて、あたいはほとんど知らない。更に、速ければ速いほど弾幕との衝突速度は上がる為、あたいとしてはただそこら辺にばら撒いただけのヌルい弾幕が、被弾する時には銃弾級の威力へと変貌を遂げる。それこそ、全身が刃だと言うのであれば小銭など全て切り裂いてしまいそうだが、「鎌」でありながら「鼬」だと言うのであればそうもいかないはずだ。

 正に諸刃の剣。ゆっくりとサボるのが好きなあたいには全く想像もつかない世界だけど、ただ速くて一撃必殺なだけでは、あたいは倒せない。


バチッ

「ピィィーーー」

 あたいのばら撒いた弾幕に被弾して叫び声を上げる鎌鼬。相手の反撃になど全く思いもしていなかった相手には、まあかわせるはずがないけどね。それにしても鎌鼬って、ピィィーーーって鳴くんだ。随分可愛いじゃないの。

「ピピピィーーー」

 苦しそうな悲鳴を上げる鎌鼬に対して、更に弾幕が多段ヒットする。一番弾幕の密集度が高い場所を通過しようとしたせいだ。お気の毒に……。

「おっと!」

 すっかり勢いが衰えてしまった鎌鼬の突進を、あたいは呆気なくかわしてそのまま振り向いた。飛び方もふらふらと、まるで尻に火がついた妖精の様だった。


 これは好機。今ならとらえられる!

 あたいは別に勝ち方にはこだわらないけど、地味よりは派手な方が、何となく後々の印象が格好良く映るからね。取って置きのスペルカードを見せてやるよ!


「遠慮せずに取っときな!スペルカード発動っ!」

フッ

 スペルカード発動の宣言と共にカードを天高く放り投げ、両手にしっかりと力を込めて鎌を握り直した。

カッ

 あたいが鎌を大きく振り上げるのとほぼ同時に、放り投げたカードは目映い光を放つ矢へと変化する。そしてその光の矢は、貫くべき相手を選別するかの様に上空に停滞し、あたいの合図を待っている。


 標的は鎌鼬。全力で放つと危険なので、威力はそうだな……2割程度に抑えてやるよ。


「風吟っ!」

 碑妖璃が鎌鼬の身を案じて彼?の元に駆け寄る。

 大丈夫、さっきも言ったようにあたいもあんた達と仲良くなりたいだけさ。殺すつもりなどさらさら無い。家族を殺した奴と友人になんかなれるはずないからね。


 それじゃいくよっ!


「死符「死者選別の鎌」」

 あたいは躊躇わずに鎌を振り下ろした。もたもたして、碑妖璃を巻き込んでしまったらそれは大事なので、こういうのは即時決断が必要。まあ、ここまでスペルカードが出掛かっていたら中止は出来ないけどね。

 あたいが鎌を振り下ろしたのと同時に、頭上に停滞していた巨大な光の矢が鎌鼬目掛けて襲い掛かる。


 死符「死者選別の鎌」……標的に対して、上空から巨大な光の矢を降らせる高火力スペル。見た目が派手なので個人的にかなり気に入っている。光の矢の速度が非常に速い上に巨大で、それこそ幻想郷一とも称される例の烏天狗でもない限り、スペルの発動を確認してからの完全回避はかなり困難なはず。鎌鼬のスピードなら何とかならないでもないが、ふらふらになった今なら確実に命中させられる。まあ、そんなふらふらな鎌鼬に追撃をするなんて……あたいも随分悪役っぽくなってきたのかもしれない。まあしかしながら、火力を2割程度まで抑えると、妖怪にとっては少し痛い程度の威力だとは思うけど。

 取り敢えず、今はそれで十分なのさ。


「電電っ!」

 っ!!

バチッ

「くっ!」

 光の矢が鎌鼬に直撃しようとしたその時だった。突如倒木の陰から小さな何かが飛び出し、光の矢の落下コースに滑り込んだ。

 ああそう言えば、碑妖璃の家族は鎌鼬だけじゃなかったんだっけ。……でんでん?それがこいつの名前か。

「ギギギ……」

 鎌鼬の身代わりになって光の矢の直撃を受けた妖怪は、低い唸り声を上げながら空中で耐えていた。小柄な割にはかなり強力な妖力を纏っているが、外見はどこからどう見てもただの小犬。毛むくじゃらなので、撫で心地が非常に気持ちよさそうだ。……いや、そうでもないか。恐らく手が痺れてあまり気持ちよくない。

 庇われた鎌鼬は、高度を徐々に下げ墜落していた。


「なかなかやるじゃないの」

 まだ若干手が痺れている。

 この妖怪、身代わりになる寸前に、ご丁寧に反撃まで行ってきた。口から放たれた雷の球。咄嗟に鎌でさばこうとしたのだが、結果的には直撃を避けるのがやっとで、右手にかすらせてしまった。

 しかし、実際に痺れさせてくれたおかげでこの妖怪の正体が分かった。

「雷を操る妖獣……雷獣らいじゅうか」

 勉強も本を読むのも大嫌いなあたいだけど、意外と博識だったりする。因みに妖怪の名前については、仕事が幻想郷の担当になったことで自然に覚えた。元々優秀な人材だったから本気にならなくてもこれくらいわけないことだ。

 雷獣だから電電でんでんね。成程、安直なネーミングセンスだが分かりやすい。嫌いじゃないよ、こういうの。

 可愛い外見と、ついでに可愛い名前を持っている雷獣だが、非常に強力な妖怪だと聞いている。雷球を吐いたり、放電したり、その気になれば落雷も起こせるらしい。そして、何よりあたいの手を痺れさせるほどの手足れ。

 つまり、この周辺の木を縦から割ったのも、黒く焼け焦がしたのもこの雷獣の仕業ってことか。


「グギャッ!」

ガッ

 光の矢を全て受け切ったところで弾き飛ばされた雷獣。叩き付けられたのは、土の地面でも碑妖璃の暖かい胸の中でもなく、皮肉なことに、落雷によって縦から真っ二つに裂かれた木だった。

「電電っ!」

 碑妖璃はどちらに駆け寄ったらいいのか、鎌鼬、雷獣を交互に見回しながら不安そうな表情をする。実際は、どちらも全治数時間程度の傷しか負っていないとは思うが、碑妖璃の今にも泣きそうな表情を見ていると、自分がこの上なく悪いことをしたように錯覚してしまう。……いや、実際悪いことをしたのに違いはないのだが……。

 こんなことばかりしていると、つくづく自分は妖怪で良かったと思ってしまう。もしあたいが人間だとすれば、四季様に3秒で地獄行きを宣告されてしまうだろう。怖い怖い。


カッ……ザッ!

「で、電電。大丈夫なの?」

 黒く焼け焦げた木を後ろ足で蹴りだした雷獣は、回転しながら華麗に跳躍し、碑妖璃の隣に鮮やかに着地した。あれだけ威力がありそうな「死者選別の鎌」の直撃を受けたにもかかわらず、平然としている雷獣に驚いたのだろう。派手さを変えずに威力だけ加減するというのは、なかなかの高等テクニックだ。サボってスペルカードで遊んでいるうちに体得した。

「ピー、ピピー」

 おっ、この可愛らしい声は、

「風吟っ!……うん、うん。平気?……よかった。おいでっ!」

 碑妖璃がそう言うと、鎌鼬はふらふらとしながらも浮き上がり、再び彼女の肩に留まった。万全な状態ではない為か、それともよくあることなのか、鎌鼬の鎌の部分が碑妖璃の頬にかすり、軽く浅く切れてしまった。

「ピィ~」

「うん。大丈夫だよ。これくらい気にしないで」

 鎌鼬は小さな舌を出して碑妖璃の傷口をペロペロ舐める。巨大な鎌を両腕に携えている割には、随分と可愛い舌だと思った。

「風吟っ、くすぐったいよ。……ありがとう」


 そのやり取りを、あたいは何をするわけでもなくじっと見ていた。よいシーンを見せてくれたと言いたいところだが、成程これは更に驚かせてもらった。

 碑妖璃は、妖怪と一緒に暮らしているだけではなく、言葉が話せない妖怪とも意思疎通が取れるらしい。鳴き声で何を言っているのかが分かるのか、もしくは感情を読み取ることができるのか、はたまたテレパシーの様な、一種の超能力的なものを駆使しているのか。今のところ詳細は一切不明だが、この20にも満たないであろう人間の少女が、ただの妖怪好きでないことだけはよく分かった。


「ギギギ……」

 まだまだ体力が満タンに近い雷獣が、敵意剥き出しであたいを睨み付けて来る。毛を逆立てて、よく見ると少し放電しているも分かる。近くに居る碑妖璃は痺れないのだろうか……いや、あるいはもう慣れてしまったことなのかもしれない。

 目の前にいる敵を黒焦げにしてやる。そんな強烈な敵意があたいを刺激する。これはかなり怒っているようだ。怒らせたのは勿論あたい。あまりにも情熱的過ぎて、心の中から火傷して黒焦げになってしまいそうだ。

 さあ、第二ラウンド開始だよ。って、言いたいところなんだけど、碑妖璃は恐らく……

「電電!もういいから落ち着いて」

「ギギッ」

 碑妖璃はこんな言い方を快く思わないかもしれないが、まるで猛獣使いのようだった。彼女の一声で、雷獣から送られてくる敵意は一瞬で消失し、逆立てた毛並みは、また撫で心地のよさそうな毛むくじゃらに戻った。

「どうしたんだい。これからが面白いところだって言うのに……」

 あたいがそう言うと、碑妖璃は拗ねた様に口を尖らせる。

「死神さん、思っていた以上に意地悪ですね。……私達の負けです」

 あっさりと負けを認めた碑妖璃。

 別にあたいは勝ち負けにこだわっていたわけではない。ただ、今回は負けたら殺されてしまいそうだったから、いつもより少し本気になってみただけ。正直、鎌鼬が容赦なく首を狙ってきたときは焦ったけど、まあそれなりに楽しめたから問題なし。


「碑妖璃もあたいについて少しは分かったんじゃない。おかげ様で、あたいは碑妖璃についてかなり色々なことが分かった。碑妖璃が降参して、これ以上戦うことを望まないのもなんとなく予想通りだった」

 碑妖璃は小さく口を開けて、それから非常にばつが悪そうな表情をして顔を落とした。

「相手が強いと分かればあっさりと降参する。……ごめんなさい。私はやっぱり虫が良くて、卑怯で、姑息で、臆病で、ズルでしょうか?」

 あたいは得意げな大笑顔で言ってやった。

「まっ、あたいが相手だから仕方ないね。でも、家族の妖怪達皆に好かれて、皆に好かれるだけ家族を愛して、家族が傷付くことを誰よりも恐れて、実際に家族が怪我を負うと今にも泣きそうな顔になって不安で胸が潰れそうになってしまう。そんな碑妖璃らしいとあたいは思ったけどね」

「……ありがとう」

 何だか、お礼を言われるのも可笑しな気分だった。

「まっ、あたいだったら例え一番高火力な技を碑妖璃に直撃させても、絶対に死なせたりしない自信があるけどね。って言うか、碑妖璃が死んだらあたいの仕事が増えるし。それにあたい達死神は、人間の生き死にを直接操作することを禁じられている。つまり、あたいには碑妖璃を殺すことは勿論、碑妖璃に寿命を告げることすらできないってことさ。死神なんてカッコいい響きだけど、実際は地味な仕事だろ!」

 そう、死神は人間の命を奪う存在じゃなく、肉体を失った人間の魂を導く者。


「死神さんって少し変で変わっていますね。あっ、死神さんって言うのは「死神さん」個人のことを指していますからね」

「ククク……。成程ね。あたいが死神さんなら、あたいの同僚も確かに死神さんに違いないね。……小野塚小町。それがあたいの名前。皆はこまっちゃんとか呼ぶけどね」

「こまっちゃん?」

「そう、幻想郷の赤い死神!こまっちゃんとはあたいのことさ」


 決まった!これはもう、どこからともなく「シャキーン」とか「ジャキーン」ってな効果音が聞こえてくるところだろう。

「などと考えている側からなぜ首を傾げる碑妖璃!」

「えっ!だ、だって「赤い死神」って、こまっちゃん赤いの髪の毛くらいじゃ……」

 ああ確かにね。

 あたいが自称「赤い死神」だと呼んでいる理由を見せてやろう。

ゴソゴソ……

 あたいは、常に懐に携えているある物を手で掴む……言っておくけど銭じゃないよ。


「これでどうだっ!」

 そして、それをバンッとなぜか自慢げに碑妖璃の前に開けて見せる。因みに、それは決して他人に自慢できるような代物ではない。間違ってもない。


 ……。

 …………。


「あ~、何かすごく納得です」

「なっ、赤いだろ!」

「はい、すごく赤いです」

 納得してもらったところで速攻でまたしまう。


 何が赤いかって?

 ……それは秘密だ。自分で考えてみな。



 で、まあなんだかんだあったけど、とにかくあたいは碑妖璃と友人関係になったわけだ。

 今後はこの赤さを存分に使って、彼女との親睦をより一層深めていくつもり。まだ、分かっていないこともたくさんあって気になるからね。


 あ~、赤いっていうのは何て素晴らしいことだろうか。

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