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東方連小話  作者: 北見哲平
ルーミア 〜 笑顔の魔法
32/67

ルーミア - その8

「それっ!」

ガタンッ、ガラガラ・・・チャリンッ

 私が投げたお賽銭は、コントロールをミスすることなく、どこか心地よい音をたててお賽銭箱に納まった。


 穣子と静葉の二人と合流した私達は、ほとんど私のせいなんだけどお昼過ぎになってようやく初詣らしく神社のお参りに来ていた。

 それにしても、帰ってきた時には前の状態が嘘のように静葉の機嫌が良くなっていたんだけど・・・きっと穣子が上手く話をしたんだろうな〜。

 怖いくらいにニコニコしてて、チルノに対しても「これからは仲良くやろうぜ」だなんて、本当にどうしたの?

 そんな静葉に対してチルノは「あんた誰?」って、チルノも一体どうした・・・いや、これはいつも通りか。私も名前と顔を一致してもらうまでに随分時間が掛かってたりする。

 しかし、そんなチルノでも初対面で強烈な印象を残した穣子のことは忘れていなかったらしい。合流した時に、例のごとく熱い抱擁を受けていたけど「穣子ぉ〜、やめろ〜、はなせ〜、がぁぁ〜」などと、顔を真っ赤にしながら叫んでいた。

 穣子が起こした小さな奇跡。私は不覚にも少し感動してしまった。


 それはさておき、私は神様にお祈りするとしよう。どこぞの神社と違って初詣客が多いためか、参拝は二列に並んで二人同時に行うようにしているらしい。

ゴトンッ、ガラガラ・・・チャリン

 私の隣では、今ちょうど千穂がお賽銭を投入したところだった。

 それを横目で確認すると、そこにはいつもと変わらない、穏やかな表情をした千穂が居た。

 でも、赤く充血した目は、千穂がたくさん泣いたことを隠すことなく物語っていた。


 ・・・千穂。


「お願いルーミア。私がおばあちゃんのことで泣いたって、誰にも言わないで」

 枯れてしまうほど涙を流した千穂が、私の小さな胸に体を埋めながら懇願してくる。

「で、でも・・・たくさんの人が見てるよ」

「・・・うん。ごめんね。だから、せめておばあちゃんにだけは私が泣いたことを内緒にして」

「おばあちゃんにだけって・・・」

「お願いだよ・・・ルーミア」

 私は、この時千穂がどうしたかったのか、どこかはっきりしなかった。おばあちゃんに自分の気持ちを悟られたくなかったのか、それともただ単に心配を掛けたくなかったのか・・・分からない。でも、それが千穂の望んだことなら、私はそうするのが一番だと思った。

「ありがとう」

 私が小さく頷いたのを感じとると、千穂は礼を言った。


パンッパンッ

 あらかじめ千穂から教わった、神社の参拝方法・・・確か二礼二拍一礼っていう方法だったと思うけど、なるべくそれを意識して手を軽く二回叩いた。

 どうか、おばあちゃんが元気になって・・・それでまた、美味しいおにぎりが食べられますように・・・。お願いします。

 私は目を閉じて神様にお祈りをする。身近に居る神様があまりにも頼りないものだから、神様は何でも出来るすごい存在という認識は全く無い。

 でも。それでも祈ることで何かが起こる可能性があるのなら・・・神様の力でどうにかなることなら・・・どうか私の願いを聞き届けてください。


 私は、恐らく生まれて初めて神様にお祈りした。


 お祈りが済んで頭をゆっくりと上げる。隣に視線を送ると、そこでは千穂がじっと手を合わせて目を閉じていた。

 入念に、入念に、入念に・・・どれだけ祈るのかと思うくらい。どれだけ祈り続けるのかと思うくらい。心の中でひたすら神様にお祈りする。時折、唇がひくつくのが分かった。その想いの重さに、私はまた泣きそうになる。


 私、別のお願いに変更していいかな?


 ・・・私のお願いはいいから。だから、千穂のお願いを叶えてください。


 もし、全ての人に対して同じ大きさ分だけの願いが聞き届けられるのなら、千穂のお願いがとても大きくて欲張りなものだというのなら、私の分を足していいから・・・ううん、私だけで足りなければチルノの分・・・後、穣子と静葉、慧音とあっきゅんの分も全部使っていいから。みんな、話せば分かってくれるはずだから。

 だから・・・。


ツンツン

「ルーミア、いつまで突っ立てんの。早くあたいと代われー」

 珍しくルールを守って、私の後ろで黙って待っていたチルノが背中をツンツン突っ突いて急かしてくる。さっきあれだけたくさん泣いたにも関わらず、チルノの瞳はいつもと何も変わらない鮮やかな青で満ち溢れていた。

「あっ、ごめんなのか〜」

 周りから見れば、お祈りが済んだくせにただ突っ立っているだけの状態。チルノの言うことも尤もなので、とりあえず神様の前を後にした。


「ルーミア。随分長いことお祈りしてたけど、あまり欲張りしちゃダメだよ」

 お祈りが済んだ私に対して穣子が一言。って言うか、穣子も神様じゃないの。神様のくせに神様に願掛けをする方がよっぽど欲張りじゃないか!・・・などと正直に思ったけど、ここはとりあえず突っ込まないでおこう。


「お待たせしました」

 それから少しして千穂、

「終わったぁ~」

 そしてその後、遅れること約10分。チルノが願掛けを済ませて帰ってきた。

「フッフッフッ・・・最後に帰ってくるなんて、やっぱりあたいったら最強ね」

「いやいや、私たちの中で最後尾に並んでいたんだから、最後に帰ってくるのはまあ当たり前として、この約10分間は何してたのか?」

 私が聞くと、チルノは腕を組んで「フッフッフッ~」と、何かを企んだように自信たっぷりな笑みを浮かべる。

「それは秘密なのさ〜。この前みすちぃが言ってた。秘密をたくさん作るとみすてりあすがーるになれるんだって。・・・あたいはそれになる!」

 チルノが随分唐突に意味不明なことを言いだした。まあ、いつものことなんだけど。

「うわ〜ん。チルノちゃーん。私には秘密ごとは無しだよ〜」

「うわぁー!はなせー!」

 例のごとく、穣子の熱烈なハグ。まだしばらく熱は冷めそうにない。

 それにしても、あの非常食・・・いやいやみすちぃも余計なこと言ったなぁ。チルノは今のままでも(主に思考が)十分ミステリアス(つまりバカ)だっていうのに。わざわざ意識させてどうするの。みすちぃ自身、ミステリアスの意味が分かっているかも不明だし。

 ・・・いや、それは大丈夫か。確か、みすちぃよく歌ってたもんな〜、ミステリアスソング。


 あっ、紹介が遅れたけどみすちぃっというのは私の非常食・・・じゃなかった、友達の女の子で鳥の妖怪。一応「みすちぃ」は愛称で、全部名前を言うと「ミスティア・ローレライ」という割りと大層な名前だったりする。鳥の種類は・・・ちょっとよく覚えていないけど、とにかく「鳥」。その事実だけが私にとって大切なところ。世界的な大飢饉があったときにこそ、みすちぃの大活躍が期待できるのだ〜!焼き鳥にしなくても大丈夫、生でも美味しいみすちぃ~!


 ・・・嘘。冗談だよ。


 確かに、何かあるごとにそういう話が持ち上がるけど、本当に食べるわけないよ。まあすごく美味しそうだけど、みすちぃもチルノとおんなじで大切な友達だからね。穣子にいつも噛み付いているのとあんまり変わらないかな。

 あっ、でも最近噂で聞いたんだけど、そんなみすちぃを食べてやろうかと、冥界って所から密猟者を送っている奴がいるらしい。なので、本当に誰かの胃袋に入ってしまわないか、最近色々と心配な友達だったりする。

 後は・・・よく歌ってるね。ただ五月蝿いだけでへたっぴだけど・・・。


 因みにチルノが10分間モタモタしていたのは特に秘密でも何でもなく、ただ単に、いざお祈りするときにお願いの内容を忘れ、思い出す為にもう一度列に並び直したとの事実が、後に目撃者の証言で明らかになった。

 しっかり列に並び直したのが、チルノにしては微妙に偉いと思った。これなら10分も短く感じられた。


「それより皆。私面白いものを見つけたんだけど」

 と、突然静葉が楽しそうに賽銭箱からやや離れた木を指差した。

「ん〜、あの木がどうかしたのか〜?・・・あれれ!」

 よく見ると、木の裏にどこかで見たような人影が・・・霊夢?

「ちぃーっす霊夢」

 私が気付く頃には、既に静葉は声を掛けていた。・・・早いって!

「な、何か用!私忙しいんだけど」

 まずいところを見られたと言わんばかりに、やや焦り気味に対応する霊夢。・・・怪しい。

「へぇ〜、そうは見えないんだけどなぁ〜。・・・あ〜あ、遂に天下の博麗の巫女様がお賽銭泥棒か〜。それで今はチャンスを見計らっているところ?・・・レクチャーはやっぱり友達のきりさめ」

「があぁーー!うっさいわねー!そんなことするわけないでしょ。いくら貧しくても、私はそこまで堕ちる気はないわ」

 周りを気にせず怒鳴り散らす霊夢。

「どうも〜。明けましておめでとうなのか〜」

 とりあえず新年のあいさつ。

「んっ?ルーミアじゃない。何だか久し振りね・・・随分人間色に染まっちゃって。まあ、年が明けても特にめでたいことは何もないんだけど、一応明けましておめでとう。・・・って、これってどういう組み合わせなわけ?・・・何でバカまで一緒に居るのよ!」

「穣子~、霊夢がバカって言ってるよ〜」

 いやいや、チルノのことだって。

「こらー、あたいのことバカって言うな〜!・・・って、言っちゃった。姉さんどうだった?似てた?良かった?」

「本家と違って、どことなく恥ずかしそうに言う様が非常にいい!あ〜、目の前で起きた出来事を記憶して、頭の中で連続自動再生できる程度の能力とかあったら欲しいなぁ」

 穣子、今日は本当に飛ばしてるな。

 え〜と、目の前で起きた出来事を・・・って言うか、わざわさ能力として確立しなくても、元々そんな感じだよね静葉って。

「で、霊夢は実際こんなところで何してるのか?」

 話を戻す。霊夢の疑いはまだ晴れていないので、このままでは不審者を発見したとして然るべき人物に通報しなければならない。

「ルーミア。何よ、その疑いの目は?・・・私が本当に邪な気持ちでここに来たとでも思っているの」

「やだな~。そんなこと全然思ってないのか。・・・でも、霊夢がお賽銭に対して異常なまでの執着を持っているということは有名な話だから、何か他の理由を考えないといけないんじゃないのかー」

「他の理由って・・・うーん、納得いかん」

 腕を組んで不貞腐れる霊夢。定着したイメージって怖いね。

「で、結局泥棒じゃないのなら何しに来たわけ?元旦に巫女が神社を留守にしていいのかな〜。初詣客はいないのかな〜」

 と、嫌みったらしい口調で静葉。こんなことが言えるなんて、静葉と霊夢って思っていた以上に仲良しなのかもしれない。

 ・・・ビックリだね。

「いちいち腹立つわねあんた。・・・まあ今日は許してあげるわ。二日酔いで怒ると余計に頭が痛くなるし・・・」

「博麗神社に参拝客はいないけれど、宴会好きの人妖は集まるからね〜。・・・で、つまり霊夢はここで何をしていたわけ?」

「うっ!」

「さあ吐くんだ!お前の目的は何だ!賽銭か?信仰か?・・・それとも私の命か?」

 ・・・何これ?

「・・・さあね。それが知りたかったら私の前にさとりでも呼んできたらどうかしら」

「そんな奴は知らん!・・・ただ、お前が「今年は去年の30倍位のお賽銭が集まりますように」ってお祈りしに来たことは既に調べがついているんだぞ!」

「違う300倍よ!30程度じゃ、雀の涙がお椀の底に貯まる程度じゃない・・・っていうか何でそこまで調べがついているのよ!」

 どうやら図星だったようだ。静葉って、何気にすごい。

 それにしても下手なコントを見ているみたい。霊夢ってもしかしてこういうノリが好きだったりする?

「しかも、一応自分も神社の巫女だからって、人目を気にして誰も居ない時間をここで見計らっている!」

「うっ!」

「更に、賽銭は博麗神社秘蔵。なけなしの1円!」

「うぐっ!」

 静葉相手に押されっぱなしの霊夢。らしくないと言えばらしくないのだけど、何も言い返せないということは全て図星だということだろう。

 勢いに乗った静葉は、霊夢を右手で指差して更に追撃を加える。

「自分の神社を裏切ってまでリッチな暮らしがしたいという愚考!」

「仕方がないでしょ!雑草が主食じゃ、精神的にも色々と病んでくるのよ」

「しかも、それほどの大望を1円ポッチで叶えて貰おうとする強欲っぷり!」

「それしかないから秘蔵でなけなしなんじゃない!」

「その姿、邪心の権化なり!」

 いや、それはちょっと言いすぎじゃないかな~。

プチンッ

 あっ、何か切れた。

「言ってくれるじゃない、この妹煩悩のシスコンゴッドめ!」

「あんたの腋見せファッションよりはよっぽどましだと思うけど」

「そうなのよね~、冬場は寒くって・・・って、泣かすっ!」

 泣かすって・・・二人は友達じゃなかったのか。

 スペルカードを手にする霊夢。チルノの時もそうだけど・・・静葉って弱いくせにどうしてこんなになりふり構わずケンカを売りたがるんだろう。

 それに、霊夢も二日酔いは大丈夫なの?

「面白い。お嫁にいけない体にしてやるよ!」

 いや、霊夢はチルノ以上にお嫁に行くのは難しいんじゃないかな・・・何となく。

 時には弾幕ごっこもいいけど、二人とも時と場所を考えてほしいな。

 まあ、霊夢のことだから関係のない人を巻き込む弾幕を放つことはないとは思うけど、他者の神社で暴れたりしたら営業妨害だと思われて、お賽銭300倍どころか評判まで最悪になっちゃうよ。


「ねぇねぇルーミア・・・これってまたまずい状況なんじゃないかな」

 例のごとく、ただオロオロするしかない千穂。

 ・・・仕方ないか。


「お~い!ここにお賽銭泥棒がいるのかっ・・・いるぞ~」

 私は出来るだけ声を変えて叫んだ。すると、当然のごとく周囲がざわめきだす。

「なっ!・・・違うっ、私は別にそんなこと・・・くっ、二日酔いが!」

 私は別に霊夢が賽銭泥棒だとは一言も言ってないんだけど、勝手に一人でうろたえ出すものだから、いつの間にか周囲の視線は全て霊夢に集まっていた。

 まあ、計算通りだけど。


「あれって博麗の・・・うわぁ~、ついにやっちゃったか~」

「やれやれ、いつかやるとは思っていたけどね」

「あんな大人にだけはなっちゃダメよ」

「お賽銭を窃盗する程度の能力(笑)」

 うわ~、結構酷いこと言われてるな。今更だけど、少し可愛そうなことしちゃったかな~。

「あ~、二日酔いで頭痛いわ~。頭が痛くて何も聞こえない、何も考えられない・・・だからとりあえず神社に帰るわ」

「あっ、こら逃げる気っ!待ちなさいって!」


 非難の嵐に耐えられなくなったのか、もしくは弁解するのも面倒だと考えたのか、霊夢は静葉の制止を全く聞かずにどこかへ飛んで行った。


 う~ん。

 やっぱり悪いことをしたかな。後で謝りに行こう。

 霊夢も鬼じゃないし、10円位持っていけば許してくれるよね。お賽銭300倍計画への第一歩とか言って・・・。


「フッフッフッ、私に恐れをなして逃げて行ったか。霊夢、恐るるに足らず!やっぱり私ってば最強だね!」

「あっ、姉さんそれってチルノちゃんの口癖のパクリ~?」

「流石は穣子。分かる~?」

「勿論だよ~。私の姉さんってば最強ね!」

「おっ、こいつぅ~」

「フフフ・・・」(二人)


 ・・・この二人、願い事なんかしなくても本当に幸せそうだな~。



「それにしてもルーミア。今度はファインプレイだったね。あの霊夢さんを退けちゃうなんて」

「えへへ・・・。私にしては上出来だったかな。霊夢には悪いことしちゃったけど・・・」


「そうかー!霊夢はセンサイドロボだったのか!どうりで強いわけだ。・・・でも、あたいの方が最強だもんね。巨大化とかしても、あたいの氷でカチンコチンにしてやるんだから。やっぱりあたいったら最強ね」

 チルノいつの間に!

 繊細弩ロボ!?・・・やっぱり本家は一味違う。繊細なくせになぜか弩級。弩級のくせになぜか繊細。最近人間の里で噂になっている河童にでも頼めば作ってくれるのかな?

 やっぱりチルノは最強だ!

「クスクス・・・。穣子さんの目は意外と確かなのかも・・・やっぱりチルノちゃんって可愛いね」

「え~、そうか~。バカなだけだと思うけど」

 いつも通りにバカをかますチルノを見てクスクスと笑う千穂。チルノの前で大っぴらに笑えないのかもしれないけど、すごくいい表情をしていると、正直にそう感じた。


「ねぇルーミア。センサイドロボとだいだらぼっちってどっちが大きくて強いか知ってる?」

 知るかっ!

「チルノの中では霊夢が繊細弩ロボなんでしょ。・・・だったら霊夢に聞いてくれば?」

「そうかっ!よ~っし、行ってくるぞー!」


 ・・・。


「・・・あ~」

 ・・・本当に行っちゃった。・・・霊夢が飛んで行った逆の方向に。


「あぅ・・・バカだ」

「あははは・・・。やっぱりチルノちゃんって可愛い」

 飛んで行くチルノの後ろ姿を指差しながら大笑いする千穂。こんなにも楽しそうな笑顔、久しぶりに見た。

「はぁ~。私もこんな中途半端じゃなくて、最強のバカに生まれてくればよかったのか・・・へへへ」

 私も仕方なく苦笑する。ちょっと敗北感・・・今日は何だかんだ言っても随分チルノに助けてもらっている。

「でもチルノちゃん・・・しばらくは戻って来ないよね」

「甘いよ千穂。ほっといたらいつまでたっても戻って来ないと思うよ・・・迷って」

「な・・・なるほど。・・・じゃあとりあえず、霊夢さんの誤解を解いておかないとね。より一層周囲も騒然としてきたし」

「そだね」


 と、まあ霊夢の誤解はみんなに説明したらすぐに分かってもらえたんだけど、まさかチルノの捜索に1時間以上掛かってしまうとは・・・。どうして空を飛べるのに森の中で迷うんだよ~。私はもう放っておいた方がいいって言ったんだけど・・・穣子がね、何か泣きそうな顔になるから仕方なく・・・。

 はあ~、変に時間をとったり、穣子がおかしくなったりと・・・今年もチルノは色々やってくれそう。仕舞いには、千穂までチルノのこと可愛いとか言い出すし・・・。

 人間の里に、バカブームが到来するのかな?


 もしそんなことになったら、心当たりのあるバカ友達を集めてユニットでも組んでみようかな・・・名付けて「バカルテット」。活動内容は、みんなを笑顔にして、幸せいっぱいな気持ちにさせてあげること。バカは幻想郷を救う。

 チルノはすごいと思ったよ。・・・だって、バカなだけで千穂を笑顔にして見せたんだから。


 不思議だね。今日私が出来なかった千穂の一番の笑顔を引き出したのは、自然で純度百パーセント、超天然のチルノのバカさだったんだから。


 何も考えてなくても、誰かを笑顔にしてあげることは出来る。

 ・・・だから、バカルテットのリーダーはチルノに決定だよ。

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