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-ReReincarnation-  作者: KoTATU
2/6

-alone-

わかりずらいっすね。

Start with End


頭痛がする。

生まれて初めて経験するような痛み。

だけど...覚えている。

この痛み。

俺がビルから飛び降りて、自殺して、転生したとき。

同じような痛みを味わった。

似ているどころか、全く同じ。

「な...何が起こっているんだ...?」

直前まで暗闇にいて、不思議な声を聞いていた。

優しいような、懐かしいような、冷たいような。

そんな感じの声だった。

いや、それよりも。

「ノ、ノア...メフィ...ドラス...」

仲間たちの名を口にする。

少しだけ心が落ち着き、視界が安定してきた。

ゆっくりと周りを見渡す。

ビルと、交差点。信号機や、車。

そして...

「ひ、人...」

転生前の、世界へと戻って来てしまったという絶望感が、俺を埋め尽くした。


第 章


周りにたくさんの人がいる。

皆似たような格好をして、歩いている。

ある人は電話を片手に。

ある人はスーツケースらしきものを引きながら、足早に去っていく。

魔法や、魔物などという概念がない、さっきまでいた世界とは似ても似つかない光景。

何が起こっているのかわからず、情報量が俺のキャパを余裕で超える。

仲間たちはどうなったのか、ここは一体どこなのか、なぜ俺は生きているのか...

思考がぐるぐるめぐって、終着点が見つからず、思考のループへと陥る。

雨が背中にあたり、体温を奪っていく。

寒いが、動くことができない。

道ゆく人が俺を見て、振り返り、気にはするが。

関わりたくないと言わんばかりに無視し、歩き去って行く。

「な、んなん...だよ...」

出せない声を無理やり捻り出し、かすれた声で呟く。

声に出しても、答えてくれる人はいない。

何もわからない。

絶望感に苛まれる。

視界の端に駆け寄ってくる2人の男が見えた。

なすすべもなく、くるのを待つ。

近づいて来た二人は、おそらく警官だろう。

見覚えのある青い制服と、腰に下げられた無線機と拳銃。

すこし違和感があるが、この世界にいたのは9年前なのだ。

多少のことは変わっているのだろう。

そんなことを考えつつ警官らしき人の顔を見る。

二人で何か喋っているが、聴き取れない。

こちらに機械を向けてきた。

カメラのような、ゴテゴテとした機械だった。

ウィーン、という機械独特の音が発せらる。

懐かしい。

ピー、と音が鳴った。

検査でもしていたのだろうか。

なんなんだろうか。

この人たちなら、何か知っているかもしれない。

機械のことも少し気になる。

そう思って話しかけようとした瞬間。

二人のうちのガタイがいい方が俺に向かって話しかけて来た。

いや、話しかけたというか。

警告を発した。

「ふん。今時未登録劣等人種がうろうろしてるとはな。珍しい。おい蒲田、本部の許可が降りたから、こいつ始末しとけ。人種取締電装置の使用を許可する。」

突然、そんなことを言い出した。

始末...だと?

何だ、俺は。

この世界に舞い戻って来た瞬間、また殺されなくちゃいけなのか?

とゆうか意味不明な単語が多すぎる。

未登録人種?

何なんだそれは。

訳がわからない。教えてくれよ、誰か。

俺の顔に、銃のようなものが向けられた。

真っ黒な円が目の前にある。

俺に銃のようなものを向けている、蒲田と呼ばれた男が口を開けた。

「悪いな、ガキ。お前みたいなやつはこの社会には不要なんだ。今まで逃げられてたのかしらんが、運が悪かったな。」

そう行って、引き金に指をかける。

黒い円の奥に白く、鈍く輝く金属が見えて...

指一つ動かせない中、ずっとその光景を見ていたが。

脳裏に焼きつくくらい見つめていたが。

次の瞬間。

時間が、止まった。

人が歩いている姿で止まっている。

目の前で立ち尽くす警官の引き金にかかった指が、それ以上動かずに止まっている。

雨が空中で静止している。

鳥が空中で止まったまま、動かない。

何かが起きているが、何が起きているかわからない。

頭で理解しようとするが、失敗する。

そんな俺の頭の中で、一つの声が響いた。

前の世界で聞いた、馴染みのある声だ。

『情報の取得に成功。「タマヨリ ケイ」との接続に成功。クラス5の魔法:時間停止の発動を確認。続いて、転生者の健康状態を確認。スキャン開始...成功。「ノア」の身体、および「タマヨリ ケイ」の魂の健康状態に異常なし。記憶域:正常。会話に問題がないと断定。警告:「タマヨリ ケイ」にパニック症候群の恐れあり。直ちに回復を開始...失敗。会話による回復を試みます。』

矢継ぎ早に、声が頭の中に響く。

「な、何だ?『魔法の理』か?何でこの世界で...」

その声は、『魔法の理』の声ととても酷似していた。

しかしここが本当に日本で、俺は日本に転生したのなら、この声が聞こえるはずがない。

...だとしたら、ここはまだ日本じゃないのか?

とゆうかこの声が喋っていた内容...ノアの身体だって?

ノアは生きているのか!?

『警告:再び「タマヨリ ケイ」にパニックの恐れあり。原因:不明。これより、解析と対処を同時並行で開始。...人格を再編成。成功しました。この世界における干渉権を一部付与...成功しました。会話プログラム始動。』

いくつかの言葉を残し、声は沈黙した。

本当に、何が起こっているんだ?

もう何もかもが理解できない...

ここはどこで、仲間はどこへいってしまったんだ...

『はじめまして。「タマヨリ ケイ」。私は「イブ」。『魔法の理』のメインパーソナルで、世界の統括を任されているものです。あなたの現状と、あなたの疑問について無制限にお答えいたしましょう。』

急に、そんな声が頭の中に響いた。

先ほどの声と同じものだが、柔らかい感じがする。

『あなたが混乱しているのは理解できます。まずは周りの状況についてご説明いたしましょう。深呼吸をして、気持ちを落ち着かせることをお勧めします。』

「あ、ああ...。わかった。」

言われた通り、深呼吸をする。

すこしだけ、落ち着いた。

そして、頭を整理し、声に話しかける。

「ありがとう、気持ちが落ち着いたよ。」

『それは何より。ではまず、どこから話しましょうか?』

「えっと...じゃあ、前の世界...で最後、僕と仲間たちはベヒトレイアに奇襲を受けて死んだ筈なんだけど...。何で僕がここにいるのか、なぜ今魔法が発動しているのか、、あと他の仲間たちがどうなったのかについて説明してくれると嬉しい。」

回らない頭を何とか回転させて、端的に、聞きたいことを手短に話す。

本当に何でも答えてくれるのかわわからないが、少なくとも俺よりは現状を把握しているのだろう。

ノアの名前も出て来たし、何より、クラス5の魔法の発動を確認と言っていた。

今も発動中だし、この声が何かしたに違いはないだろう。

『それではまずはこの場所について。「タマヨリ ケイ」の推測通り、この場所はあなたが転生前に住んでいた場所、日本で間違いありません。』

「...やっぱりか。でもなんか...だいぶ雰囲気が違うけど。気のせいじゃないよな?」

『それに関してはこの世界の不可抗力による干渉が原因です。異なる世界をまたいでの転生には情報を書き換えるのには膨大なエネルギーと、時間を有します。「タマヨリ ケイ」は二度の転生をしたため、計56年のズレが生じています。あなたが一度目の転生先で過ごした時間も換算すると、あなたは元の時間軸より65年後の世界にいる、ということになります。これに関しては、私の権限をもってしても変更はできません。』

「じゃあ今は、2080年...ってことか。そりゃ、知らない機械やら建物やらがあってもおかしくないか。」

先ほどから見ている景色は、俺が元いた日本とは様々な場所で異なっている。

冷静になった今なら、至るところに見覚えのないものがあるのが分かる。

「それじゃあ次の質問。さっきあなた...イブさんは、クラス5の魔法の発動を確認と言っていたよな?この世界に『魔法の理』の概念があるとは思えないんだが...。しかも、時間停止の効果は数秒のはず。今も発動は継続しているみたいだけど、、何が起こっているんだ?」

『まずは魔法の概念について。私の本体である『魔法の理』は、この世界に存在する全ての次元と空間を統括する意思です。いくつかある世界の中で、『魔法の理』の存在が認識されているのはあなたが以前いた世界のみで、本来はこの世界で発動できるものではありません。しかし今回はイレギュラーにより、あなたの身体を通して私の権限でこの世界でも『魔法の理』に干渉できるように設定を上書きしました。そのため、「タマヨリ ケイ」限定ではありますが、この世界での魔法の行使が可能となりました。設定の上書きについては許可を取得済みです。』

「つまり、この世界で俺だけが唯一魔法を使えるってことか?」

『現状はその認識で間違いはございません。ただし、こちらで把握しきれていない...いわゆる自力での異空間転移等を駆使した上位存在については未確定なので、必ずしも断言できると言うわけではありません。また、時間停止魔法が現在も発動していることに関してですが、こちらは確かに数秒しか発動していません。しかし、貴方と私の間に独自の時間軸を設定し、時間の流れを124,333,653倍まで拡張してあります。そのため、本来の発動時間よりも長く感じているだけです。実際の効果は以前と変わりません。ちなみにですが、あなたが現在行使可能な魔法は全部で6つです。以前の世界で「ノア」と「タマヨリ ケイ」が取得していた魔法を引継ぎました。魔法は、クラス5:ステータス解錠 Ver.2、時間停止、空間制御、不確定並列次元移行、簡易物質生成、核融合エネルギー制御。以上です。その他の下位クラス魔法に関しては、引き継ぎに要するエネルギー量が莫大だったため、引き継ぎは困難だと判断し、引き継いでおりません。再取得をお勧めします。』

「...は?」

今こいつ...イブさんはなんて言った?

ノアと俺の魔法を引き継いだ?

何でノアと俺だけのをなんだ?

そもそも何でノアの保有魔法を俺が引き継いでいるんだ?

「な、何でノアの魔法を俺が引き継いでいるんだ?とゆうか、仲間はどうなったんだ!?それも教えてくれよ!!」

突然出て来た名前に興奮して、叫んでしまう。

頭の片隅では冷静になれと考えてはいるが、やはり気が動転してしまって、冷静になれない。

『警告:「タマヨリ ケイ」のパニックを再確認。落ち着いて、深呼吸をお勧めします。』

「んなのわかってるから!!早く教えてくれよ!仲間はどうなったんだ!?」

『当話題以外の会話は困難と判断...方法を変更。事実確認を最優先とします。...まずはお仲間の一人、「ドラス」についての報告をします。「ドラス」は竜種:ベヒトレイアの攻撃により身体が完全に破損。修復は不可能と断定しました。また、死亡時の身体的苦痛により、魂が破損。こちらも同様に修復は不可と断定しました。そのため、転生条件を満たさなかったため、完全なる死として記録されています。再生は不可能です。』

「そ、そんな...。何でだよ...」

淡々と伝えてくる声に苛立ちを覚えながらも、続きの報告を聞く。

『「メフィレア」に関しての報告をします。「メフィレア」は死亡と同時に“生”への渇望の喪失を確認しております。“生”への渇望を喪失した時点で転生の条件を満たせなかったため、転生は難しいと判断し、完全なる死亡として記録しております。同じく再生は不可能です。』

「そうか...報告ありがとう。それで...ノアは、どうなったんだ?」

『「ノア」に関しての報告をします。...まずはご自身のお姿をご確認ください。』

なんだ?急に。

自分の姿を、確認するだと?

何のために...と思いつつ、

数メートル先にある水溜りへと向かっていった。

雨が落ちて波紋が広がった状態で止まっている、水のなかを覗き込む。

そこにいたのは、

「...!?」

俺が救えなかった、ノアの姿だった。

「なっ...なんでノアの姿...!!ノアの体で俺は今動いているのか!?」

俺が顔に手を当てると、水に映っているノアも顔に手を当てる。

首をかしげると、同じ動作を繰り返す。

完全に、俺はノアになっていた。

『それでは「ノア」についての現状を説明いたします。...まずは前の世界での出来事について。「ノア」はベヒトレイアの奇襲を受けた際、身体の約20%を消失しましたが、「タマヨリ ケイ」への感情とともに、一定量の”生”への渇望を確認しました。これにより、転生の条件が揃ったため、転生を開始しました。しかし、転生直前に「タマヨリ ケイ」の死体を直視したことで精神に重大なダメージを負い、魂が分裂、破損してしまったため、転生が困難と判断。そこで、同時刻で転生を開始していたあなたの肉体を保護し、あなたの魂を「ノア」の体に適合、合成させることで転生先での肉体の消失を防ぎました。現在は安定しておりますが、あなたの魂が「ノア」の身体から分裂した瞬間、身体の崩壊が始まり、「ノア」の再生が永久的に不可能となります。現状で「ノア」の魂の復元に成功した場合は、私の権限で身体と魂の合成を行うことで、再生が可能となります。』

長々と説明してくれたが、要するにまとめると...

「つまり、ノアが生き返ることができるように、転生先で肉体が壊れてしまうのを防いでくれたってことか?」

自分で理解した部分を伝える。

この認識で間違ってはいないと思うが...

『概ねその理解で間違いはありません。余談ですが、あなたの身体は私の権限の下、異次元空間にて保存してあります。崩壊が始まることはないので、安心してもらって構いません。』

なるほどな。

「じゃあ最後にもう一つだけ...」

そう言って少し深呼吸をし、心を落ち着かせながら、言葉を発す。

「俺は... ノアを復活させることができるんだな?」

そう。

分裂してしまったというノアの魂を見つけさえすれば元に戻る。

今の話はそういうことだろう。

『可能です。』

短く、しかしはっきりとイブさんは答えてくれた。

だったら、俺がこの世界でしなくてはならないことが見えたな。

「ちなみにだが、俺はノアの魂の場所は特定できるのか?」

『可能です。大まかな場所の特定のみではありますが、クラス5魔法:空間制御に「ノア」の魂を登録することである程度の場所は把握が可能と断定します。』

「わかった。ありがとうな。」

そう言って、早速俺はクラス5魔法:空間制御を発動する。

前の世界でのノアの魂を登録しつつ、反応を探る。

「...まぁ、すぐに見つかるわけはないよな。」

とりあえずここから半径5キロ以内には反応はなかった。

「じゃあとりあえず俺はノアの魂の探索にあたりたい。時間を伸ばしてるやつ、解除できるか?」

『了解しました。この時間軸において10秒後に解除します。時間停止は13秒後に解除予定。それまでに退避することをお勧めします。この干渉は一時的なもののため、これ以上のあなたへの干渉は不可能です。御武運を。』

そういって、声は沈黙した。

干渉が不可能とかどうとか言っていたが、要するに手助けはできないってことだろうな。

それでも気にしない。

自分の魔法さえあれば、ノアを見つけ出すことができる。

そう、イブさんは最後に教えてくれたから。

待っていてくれよ、ノア。

そう心で宣言し、歩き出す。

もう少しで13秒が経つ。

その前にここを離れよう。

空間制御魔法を発動して、目的地との距離を縮める。

空間制御を駆使した、一瞬にして遠くへと移動できる技だ。

そして俺は、街の明かりが届かない真っ暗な路地へと、姿を消した。


記憶


9年前。

俺は、上っ面だけ取り繕っている同僚や、上司や、そして自分が。

嫌になって、どうでも良くなって。

何もかもに疲れて、ビルから飛び降りた。

自殺した。

...今も鮮明に覚えている。視界が暗転する前の、地面が迫ってくる映像。

直前まで雨が降っていて、濡れているアスファルトが目前まで迫ってきて。

はじめの世界で、最後に見たのは水溜まりに反射した自分の顔だった。

そして次に目を開ると、爽やかな花の香りと、現代の日本には似つかわしくない、鬱蒼とした森があった。

どこからともなく「声」が聞こえて、その世界の仕組みを理解した。

魔力や、魂、それにテンゴクやジゴクの概念もある、まるでおとぎ話、ゲームのような世界。

自分が転生したのはわかった。

キライだったあの世界から救われて、本当に嬉しかった。

道行く人が優しかった。

仲間に出会って、成長して、敵と戦って、時には仲間になって。

ただ俺は、みんなと仲良く暮らしていければ、それだけでよかったのに。

...。

もし、カミサマがいるならば。

一度だけ問いたい。

俺は大切なものを、見つけることができたのでしょうか。

それとも、俺は間違った道を選んでしまったのでしょうか。

カミサマ。

俺は、あなたが憎い。





ありがとうございました。

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