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なんでお前ら、俺のこと好きになるんだよ!?  作者: みーわん
第1章 俺とアイツらの幸せ
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1-5 神聖なる闘いの儀「野球格ゲー」

 ーー『野球格ゲー』。


 その言葉を聞いた時、ゾッとした。

 いや、まさか、そういう意味じゃ……ないよな?

 そんな、公序良俗に反する、というか、法律に反して逮捕されるような、そういう意味じゃ、ないよな?

 野球をモチーフにしたキャラがいる格ゲーで勝負するとか、そういう普通の意味だよな?

 そうだって言ってくれよ!


 叶恵はまだ喋る。

「フン、わかりやすく説明してやる。

 『野球格ゲー』、それは……


 『野球拳』の如し、格闘ゲームで負ける度に、服を脱ぎ!

 どちらかを素っ裸になるまで終わらない『神聖なる闘いの儀』だぁっ!!!」


 あああもう嫌だあああ!!!

 俺以外の男達は

「「「うおおおおおおお!!!」」」

 と、4人の外国人が黙ってからの大喜びするのを彷彿とさせる大歓声をあげる。

 お前ら俺より最低のゴミクズ変態野郎どもじゃねーか!


 ありすは、真剣な顔で聞いている。

 叶恵はありすに、

「どーだーありす!? アタシはオメーがアタシよりヘタクソなくせに、頼人やここの男達にちやほやされて、オタサーの姫気分ご満悦なのを見て吐き気がするんだよ!

 アタシとオメーの直接対決で、オメーのすっぽんぽんを男達の前で晒し上げて、築き上げてきた地位と女としてのプライドを地に落として辱めてやるよ!

 だが……ありすもアタシが気に入らねーんだろぉ? ありすにもアタシを辱めるチャンスを与えてやる! 悪い話じゃねーだろー♪

 嫌なら別に断っても良いぜ? そうやってアタシら仲良しこよしするのもアリだろうよ?」

 と、挑発する。

 俺は恐る恐るありすに忠告する。

「お、おいありす、叶恵が断っても良いって言ってるんだから、断れよ……?

 こんなん誰も得しねーんだからよ……」

 それに対し、ありすは。

「ふふふ……らいくん、女の子っていうのはね、感情の生き物なんだよ?

 得なんてしない、傷つくかも知れない、人生が終わるかも知れない。

 だけど……どうしても譲れないモノっていうのが、女の子……少なくとも、ありすとかなちゃんには、あるの……♪」

 何を言ってるんだこいつは?

 ありすは叶恵の方を向き言い放った。


「いいよっ……『野球格ゲー』。

 ありすとかなちゃんのどちらかが裸になるまで、やってやるんだからっ☆」


 ぐあああこいつもダメだあああ!?

 俺以外の男達は

「「「YEAHHHHHHH!!!」」」

 と飛び跳ねる程に大喜び。

 俺に腕っ節があればこいつら全員葬りたいんだが!


「でも、ありすとかなちゃんの服や装飾品の数で差があっちゃいけないよね?

 だから……一回負けたら、下着以外の服を脱いじゃって、二回負けたら下着も脱いですっぽんぽんになる、二本先取で決着ということでどうかな♪」

「フン、いいぜ! 正真正銘、正々堂々と決着をつけようじゃねーか!」


 ルールの相談してんじゃねーよ!

 流石に腹立ってきた、ビシッと言ってやる!

「叶恵! ありす! いい加減にしろ!!

 公共の場で脱衣とか許されるわけねーだろ!?

 もう俺は怒ったからな! 今すぐゲーセンの店員や警察に通報してやる!!」

 俺はすかさずこのゲーセンのカウンターに向かおうと、したが……

「ほー、頼人よぉ、今この状況がわかってねーようだなぁ……♪」

「えへへ、らいく〜ん、ありす達の邪魔をするなら、容赦しないよ〜♪」

 なんだ、ありすと叶恵、いやそれだけじゃない。

 ここにいる周りの男達が、一斉に俺の方を、ギラリと見てきて……!?


「やっちまえ、お前らァ!!!」

「らいくんを縛っちゃえ〜☆」

「「「うおおおおお!!!俺達はありすたんのために!!!僕達は叶恵様のために!!!」」」


 ぎゃあああああああ!?!?!?




「んーーー!! んぅーーーー!!!」

 俺は、ゲーセンの柱にハリツケにされた。

 身体は縄で固定され、手は柱の後ろで、どこかのサブカルショップで売ってるような手錠をかけられ動かせない。

 口も布で塞がれ、唸り声しか喋ることができない。

 そんな状態の俺に、ありすと叶恵が寄ってきて話しかけてくる。


「らいくん、止めないで? これは、ありすとかなちゃんが、どうしても譲れないモノのための闘い。

 むしろ、らいくんに、この闘いの行く末を……

 ありすか、かなちゃんが、生まれたままの姿を皆に晒しちゃうところを、その目で見守って欲しいなっ……♡」

「この闘いの儀……頼人にこそ、見届けて欲しいんだよ……♪

 アタシとありす、どちらかが地位もプライドも失い、辱められる……

 だけどよ、その女同士の、熱く燃え滾るような闘いを、アタシとありすが、一番愛してる男である頼人にこそ、魅せたいんだよっ……♡」


 この二人の熱い想いを聞く。思わず涙が出る。

 ありす、叶恵、お前ら……


 何言ってんだよいい加減にしろ!?

「んぅ〜〜〜!!!」


 そして、俺が縛られている前で、ありすと叶恵の対戦の準備が進められた。

 周りの大勢の男達は囲いを作っている。

 大きなモニターに、ありすと叶恵の対戦に使う筐体の映像が映し出され、その近くに常連の一人が立ち、マイクで実況を始める。

「さー始まります! 格闘ゲーム『バスターレッド』、世紀の大決戦!」

 おい、この人このゲーセンの格ゲー大会でいつも軽快な口調の実況で盛り上げてくれる方じゃねーか!?

 そんな人がなんでこんな公序良俗に反するふざけた行為に加担してんだよ!?


「格闘ゲーム複数のタイトルの大会で数々の熱い闘いを繰り広げたトッププレイヤー、『スタービースト☆叶恵』!!」

「骨まで遺さず、喰ってやるぜっ☆」

「「「うおおおおお!!!叶恵様に喰われてえええええ!!!」」」

「そしてそれに挑戦するは、大人気コスプレイヤーながら本作をやり込んでいる期待の新星、『まじっくぷりんせす♡ありすたん』!!」

「ありすのげぼくにしてあげるっ♡」

「「「ありすたん、俺だあああ!!!下僕にしてくれえええええ!!!」」」


 実況、叶恵、ありす、観客がノリノリで盛り上がる。

 なんなんだ、アンタら。

 ちなみに『スタービースト☆叶恵』や『まじっくぷりんせす♡ありすたん』というのは叶恵とありすのハンドルネームである。

 ハンドルネームに本名が含まれたり、この二人がほぼ同時期に活動開始する際にお互い対抗意識を燃やして似たようなネーミングにするというのは、もうちょっと考えてつけるべきだったんじゃって俺は思う。まあもう遅いが。


「さあ御二方、いざ筐体に向かい、コインを投入してください!」

 実況に促され、叶恵とありすは筐体の椅子に座り、コインを投入し、準備万端。

「いよいよ始まります!二本先取での決着!

 『スタービースト☆叶恵』バーサス『まじっくぷりんせす♡ありすたん』

 レディー…ファイト!!!」

「「「イエーーーーー!!!」」」

 男達は大盛り上がりする中、ありすと叶恵はスタートボタンを押し、タイトル画面からキャラ選択画面へ。

 叶恵とありすは先程までと同じ、セクシー魔女、魔法少女のキャラを選択。

 ついに、二人の対戦が始まってしまった。

 周りの観客の男達は隠しもせず堂々とスマホを構えてパシャパシャとシャッターを切ってやがる。

 やめろ! この二人を撮ってネット上に流す気か!?

 何故かありすや叶恵も気づいてるはずなのに止めもしない。まるで撮影自由だと言わんばかりだ。

 これがもし『野球格ゲー』などと言うふざけたものでなければ、この二人の対戦を見るのは俺も楽しみだったのだが…

 どうすれば良い!? どうすれば、ありすと叶恵が服を脱ぐ前に、ありす、叶恵、常連の男ども、こいつらの暴走を止められるんだ!?

 誰かこいつらを止めてくれーーー!!!

「んぅーーーーー!!!!!」




 ピロリン。


 幸果<私もゲーセンに行くことにするわ

 アンタありすや叶恵にひどいことしたらぶっ飛ばすから!

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