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両極端の対

「元々人間であったあんたが、

何で人間を追い詰めるような

真似をしたんだ?」


だいたい経緯は分かったが、

魔王が元人間だとすると

何故人間を死滅させようと

していたのかが分からない。


人間だった頃の記憶が

あると言うのなら

共存共栄するとことも

出来たであろうに。


「未来予測で

ワシは見たのだよ……」


毒に侵された魔王は

息も絶え絶えに続ける。


「ワシが愛する

この世界の大自然を

勇者と人間達が

破壊し尽くしてしまうところを……


だからワシは心を鬼にして

人間を追い込んだという訳だ、

この世界の大自然を守るために……


勇者がやって来る前に

人間を死滅させようとな……」


魔王が未来予測で見たのは

自分だろうという自覚は

勇者にもあるが、

経緯が解せない。


「それは逆なんじゃあないのか?

あんたが人間を追い詰めたから

勇者がやって来たんじゃないのか?」


卵が先か鶏が先か、

と言っているような話だ。


「どうであろうな……

今思えば、いずれにしろ

勇者は来たのであろうな……


神達は最初から我々を

生かしておく気は

なかったのだろうな……」



「先代の勇者は、ここに来たら

すぐに死んでもらった……


君にもすぐ死んでもらう筈だった……


しかしあの決起集会で

自爆テロにあったワシは

咄嗟に転移して逃げた……


しかし自分が魔王であることを

忘れてしまっていた……


記憶喪失になったワシは、

自分を人間だと思い込んで

東側のあそこで人間として

生活を送っていたんだ……


君があんなことをするまではな……


久しぶりに人間として暮らせて

ワシは本当に嬉しかったんだ、

美しいこの世界の大地で……」


『結局魔王は、

行き過ぎて危険な

環境保護団体や動物愛護団体の

過激派みたいなものなのか』


まさに勇者とは

対極に位置する存在、

しかも両極端の対極に。


一方は人間が生き残るために

徹底的に自然環境を

汚染しまくり破壊し尽くし、

もう一方は大自然を守るために

人間を全て抹殺しようとしていた、

互いは最初から相入れられない

存在であったのだ。


-


勇者にも段々話が見えて来る。


神々は自分達のミスを隠蔽するために

この世界の魔族、特に魔王には

早く死んでもらいたかった。


ただ神々が直接介入するとなると

いろいろと問題が生じる。


そこで送り込まれたのが

勇者である自分ということだ。


『道理でこれだけ自分が

好き放題やっても

神の連中は何も言わない訳だ』


勇者にも、好き放題やっている

自覚はあるらしい。



元々神などに頼ろうとした

この世界の元人間達に

同情する気はさらさらないが、

それでも自分が何も知らされず

利用されていたというのは

勇者としても気に入らなかった。






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