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革命家ダークナイト

時間をまた元に戻す。


魔王軍がしばらくの間、

ドラゴンと交戦している内に

勇者はいろいろと工作を

進めておかなければならなかった。


この世界、人間、

魔族や魔物以外にも

いろいろな種族がいるのだが、

現状そのほとんどが

魔王側にくみしている。


亜人やエルフ、妖精をはじめ

おおよその種族は

魔王軍の配下とされていた。


ドラゴン達のように

魔王軍に属さない種族もいたが、

あれは強過ぎて

魔王軍と言えども

迂闊に手出しが出来ないため、

放っておかれたからに他ならない。


現在、

魔王軍配下にある者達の中には

前回勇者と共に戦い破れ、

生き延びるために仕方なく

生き恥を晒しているという者も

少なくはない。


そうした者達を

魔王軍から離反させ、

内紛の火種を

つくっておく必要がある。


魔族の内部抗争で

魔王軍に自滅してもらうもよし、

別種族の彼等が

クーデターを起こすもよし、

その両方なら尚よし、

それが勇者の思惑であった。


ただ、あくまで

共に戦うということではなく、

勇者の目的は魔王軍の混乱、

そして混沌としたその隙に

魔王を仕留めることにある。


現状の魔王軍との総戦力差は、

他種族と共闘したぐらいで

埋まるようなものではなかった。


-


勇者は他の種族と密会する時、

ダークナイトの鎧を着て

ダークナイトに成りすます。


敵対関係にある勇者のままでは、

相手に会うことすら出来なかったし、

ダークナイトであれば

相手も心を開きやすい。


それと、この世界の現状を

憂うというストーリーが

相手を説得するには

どうしても必要でもあった。


所詮しょせん勇者は

他所からやって来た人に過ぎないのだ。


-


ダークナイトに

成りすました勇者は、

誰もいない奥深い森で

エルフのおさと密会する。


「下衆で卑劣な勇者めが、

我等が世界の美しい大自然を

汚染し、破壊して回っております」


ダークナイト特有の

低く唸るような、

迫力と貫禄のある声も

モノマネ能力を使って完コピ、

喋り方もそれっぽく

堅苦しい感じにしている。


「ええ、この近くの川も

勇者に汚染されてしまいました。

元の美しい川に戻すのは

もう無理かもしれません」


「おぉ、なんと嘆かわしい」


勇者の壮大な

マッチポンプに他ならない、

自作自演と言ってもいい。


「勇者は

魔王の首さえ差し出せば、

この環境テロを止め、

他の者達は殺さないと

言っているそうです……。


テロに屈してはならない、

本来ならそう言いたいところですが、

我々には今の魔王に義理立てする

筋合いもない、違いますかな?」


「ええ、おっしゃる通りです」


勇者扮するダークナイトは、

以前の勇者と共に戦い敗れ、

ここまで虐げられて来た種族を

扇動すべく奔走を続けて行く。



ここから、勇者は

二つの顔を持つようになる。


一つは

この世界の現状を嘆き、憂い、

魔王軍に異を唱える

革命家ダークナイト。


もう一つは下衆で卑劣、

非人道的なテロリスト勇者。


ダークナイトは他種族を扇動し、

テロリスト勇者は

魔族同士の権力闘争、内部抗争を

仕掛けて行く。


この先勇者は二つの顔を使い分け、

魔王軍を内側から翻弄して行くことになる。





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