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ドラゴンマスター

その日の内だけで

数箇所の的拠点を潰した勇者、

いやドラゴン達。


「また明日なー!」


勇者はドラゴン達を盛り上げるべく

笑顔で手を振る。

まるで接待でもしているかのようだ。


それからというもの、

連日ドラゴン達を連れ出しては

敵拠点を襲撃して回る。


連日連戦で

さすがのドラゴンも傷だらけ、

疲弊して回復もしきれていない模様。


それでも勇者は無理矢理に

ドラゴンを連れ出して敵と戦わせる。


『不死身なんだろ?

じゃあ、酷使させてもらうよ』


本当にこのドラゴン達が

みな不死身であるのかはわからないが、

いやわからないからこそ

ドラゴンの限界を試しておきたい

という気持ちもある、

自分が戦う羽目になった時のために。



それでも健気なドラゴン達は

毎日勇者に黙ってついて行き、

たまに勇者が傷薬を塗ってくれたり、

優しくしてくれると喜ぶ。


なんとなく勇者も気づく。


『これはあれだ、ヒモだ。

散々女に働かせて、

自分はのんびり楽して暮らして、

時々優しくして相手をつなぎ留める、

ヒモと一緒だ』


まぁこの人の場合、

気づいたところで

改善はされないのだが。


代行バトルならいざ知らず、

そもそも誰かを代わりに

戦わせようと言う発想がヒモっぽい、

いやドラゴンマスターが

みなヒモっぽいかはわからないが。


-


ダークナイトに成りすました効果は

まだよくわかってはいなかった。


勇者自身も

今回は突然の思い付きでもあるし、

稚拙と言えば稚拙、

それぐらいに思ってはいた。


ただ身内に疑いの目を向ける

きっかけになれば

それだけでよかったのだ。


実際に

もしダークナイトによる犯行だと

思って貰えれば

それはそれでラッキーでもあるし、

勇者による工作だと思われても

次に繋がるので問題はなかった。


その場合は、

次に本当に何かがあった際には

また勇者の仕業ではないかと

敵は思わざるを得ない、

それが勇者とは関係ない

事案であったとしてもだ。


真偽の境界線を曖昧にして行く。


それもまた勇者の狙い。


敵を内側から

疑心暗鬼にさせて行く、

その第一弾階としては

これぐらいで悪くはない

勇者はそう感じていた。


-


またドラゴン達を連れ回して

敵の拠点を襲っていると、

空に浮いている勇者の目に、

高速で接近して来る

巨大な何かが映った。


それが何か視認して判明した時、

さすがの勇者も少々焦る。


全長百メートルを超える巨大なドラゴン。


おそらくは

ドラゴンのおさ的な存在であろう。


このドラゴンを見た後では、

勇者が連れ回していたドラゴンは

まだ成長途中であろうことがわかる、

人間で言えば子供のようなものか。


巨大ドラゴンは連日仲間が戦わされ、

酷使され、傷ついていることに怒っている、

それが勇者にも伝わるぐらいには、

鬼気迫るオーラで向かって来ている。


まるで悪い男にたぶらかされた娘を

怒って取り返しに来た父親のように。






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